新しい風を起こす

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法士の唐沢彰太です。

私は理学療法士の育成校で勉強していた時と、理学療法士になって実際に現場で働いてからとでギャップがありました。
このギャップは今でも感じていて、
「どうしてなの?」
と思うことがたくさんあります。
その中でも、最もギャップに感じた、臨床で不足している点について書いていきたいと思います。

学生の頃はあんなに念入りにやったのに…

学生の頃に行く実習。
私は、見学実習・評価実習・臨床実習と合計すると30週間近い時間の実習を経験しました。
その中で最も学んだことは、
「観察と分析、更に評価の統合と解釈」
でした。

これは、実習において「評価実習」というものがあることからも、リハビリテーションでは、
患者さんを正しく理解することが重要である
こととつながっています。
念入りな情報収集、網羅された評価・検査、多くの動作の観察と分析、これらを統合する作業…。
実習の時はレポート作成に必死で気付きませんでしたが、実際に臨床に出るとこれらが非常に重要なプロセスであることを痛感しました。

ですが、実際の臨床現場ではどうでしょうか?
初回介入の時に行う評価も念入りとはいえず、毎回の介入で十分な観察から評価までを行うことは非常に少ないのではないでしょうか?
なぜなのでしょう…?

【トップダウン】という魔法の言葉

現場では時間に追われています。
回復期では1日21単位(20分/1単位)、7人の患者さんのリハビリが義務付けられている所もあると聞きます。
実習では一人の患者さんを念入りに評価していく形になる為、環境的にも全く異なっています。
これが、1つの要因でしょうか。

また、患者さんを評価していくプロセスに、
・ボトムアップ
・トップダウン
の2つの表現が使われます。
1つ1つ丁寧に評価し、全ての問題点を洗い出してから介入を考えて行くボトムアップに対して、トップダウンでは獲得を目標とする動作を観察・分析してそれに必要な評価を行っていきます。
先述したように、時間との勝負であるリハビリの現場においては、より効率が良いトップダウンで患者さんをみていくことが多い…とよく聞きます。

このように聞くと、非常に理にかなっていて、評価を必要な分のみを行っていくことが当たり前のように感じます。
ですが、ボトムアップにしろトップダウンにしろ、患者さんの全体像や特徴を掴んでいくためには、十分な観察と評価が絶対に必要です。
このトップダウンの考え方は、まだ経験の浅い理学療法士や作業療法士が実施すると、
【大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術だから、股関節周りの筋力トレーニングが必要だな】
といったような、人ではなく疾患と結びつきやすいリスクがあります。

リハビリテーションの基礎である【その人らさ】が失われてしまっては本末転倒です。
疾患別に必要な評価に加えて、その人に必要な評価は何なのか?
ここを大切にしなければ、退院後大変な生活が待っていることは言うまでもありません。

新しい風を起こす

私は、この様なギャップを感じながら現場で働いてきました。
「何かが違う…」
そう感じながら臨床に入ることは非常にしんどかったです。

臨床は、患者さんを知ることから始まります。

患者さんの一挙一動を見逃さないように念入りに観察し、気付いた点を分析していく為に評価を実施する。
これを臨床の中で繰り返し患者さんを知っていきます。
実際の介入の中でも、観察は常に行い、必要であれば評価や検査を実施します。

これは、ある症例検討にて先輩セラピストが言っていた言葉が影響しています。
新人セラピストが担当していた患者さんについて発表していると、質問に窮してしまいました。
その時、その患者さんに代診(担当のセラピストが休みの時に、代わりのセラピストが介入すること)で介入した事のある先輩が質問に回答しました。
すると、この代診に入った人とは別のセラピストが
「この患者さんの担当は○○でしょ?誰よりもその患者さんのことを理解していないとリハビリは出来ない。」
と言っていました。
これは、非常に刺さりました。その通りです。
患者さんの理解の深さに経験年数は関係ありません。
どれくらい知ろうとしたのか?が大切です。

このように、今のリハビリの現場には手技や理論などのHow toが浸透しすぎています。
もっと初心に戻り、なぜそう動くのか(Why)を突き詰めて考えていくことが必要です。
この風を起こしていきたい…
この気持ちを持って臨床に向かっています。

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