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本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
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 半側空間無視(unilateral spatial neglect:以下USN)は、右半球損傷における高次脳機能障害のうちの1つです。
あらゆる空間の正中(真ん中)より左側をあたかも無視しているかのように振る舞う現象で、特に回復期において頻繁に出会います。
USNは、ADLに大きな影響を及ぼすため、リハビリテーション(以下リハビリ)では介入において重要なファクターとなります。

近年では、縦上束との関連が指摘され、USNが長期化し残存するかどうかなどの予後が予測できるようになり、リハビリの介入方法についても明確になってきています。
一方で、人が生きていく上で、【空間】という概念は非常に幅広く、様々な場面や文脈で空間処理が求められている影響で、USNの病態も多様化してしまっています。

そこで今回は、USNを視覚ではなく<運動と感覚>という側面で介入に落とし込む方法を、何回かに分けて書いていきたいと思います。
第1回は、USNと運動と感覚との関係について書いていきます。

USNの運動的側面と感覚的側面

 運動と感覚には、空間処理が必須です。
その為、それぞれに関わる空間認知にはUSNが大きな影響を及ぼします。
そこで、運動と感覚それぞれに関わる空間認知からUSNを考えていきます。

運動に関わる空間認知

 前方に手を伸ばす。
いわゆるリーチングをすると、手が外部空間の中を移動していきます。
また、肩・肘・手首・前腕・指などの関節が動き、身体空間そのものが変化していきます。

 通常リーチングの時には、視覚で物体を捉えて位置を把握し、その方向へ運動を行います。
 この時、右手をリーチングしていくのであれば、右肩よりも物体が内側なのか外側なのかそれとも正面なのかによって、肩関節の運動方向が決定づけられます。
 同時に、自分の身体からどれくらいの距離にあるのかによって、肩関節と肘関節の運動距離も決定されます。

 このように、外部空間においては視覚とのマッチングが重要で、USNにおいては

【左側が見えているのにリーチングが出来ない】

という現象はあまり見られません。
一方で、

【左側を視覚で認識出来ず、左側への運動も同時に困難】

という現象は多くみられます。

 では身体空間についてはどうでしょうか?
座っている時よりも立っている時の方が身体空間は広がりますし、上記したようにリーチングをすればリーチした方へ身体空間は広がっていきます。
つまり、左側へリーチングすれば身体空間は左側へ広がっていき、認知しなければならない身体空間は無視側へと広がっていきます。

よって、USNが見られる方の場合、身体空間において無視が見られるかどうかによって、無視側への運動にも大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。
左身体の知覚は出来るのに左側への運動が見られない、歩いている時に左側へ向かうときに体全体で左を見る等の現象が関係しています。

 

 この様にUSNを見ていく時に、どの運動の時に無視が影響しているのか?
どの空間認知に無視が影響しているのか?
これらを考えて行く必要があります。

 次回は、感覚の空間認知について書いていきます!

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