私が思考の道筋を言語化する理由~ロジカルシンキング~

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営している、理学療法士の唐沢彰太です。

皆さんは、
「ロジカルシンキング」
って聞いたことありますか?

和訳では、「論理的思考」と言いますが、良く引き合いに出されるのは、演繹法と帰納法です。
学生の頃、哲学などの授業で聞いたことがあると思いますが、その内容まで覚えているかと言われると…。

そこで!今回は、私が臨床で実践しているロジカルシンキングについて書いていきたいと思います!

ロジックとは道筋である

ロジックと聞くとなんとなく敬遠しがちですが、簡単に言えば道筋です。
どうしてその結論に至ったのか?
その結論までの道筋を言葉で表したものがロジックです。

学生の時の症例発表や先輩との臨床に関するディスカッション、後輩に質問された時の回答など、実は様々な場面で知らず知らずのうちに活用していると思います。
具体的に言うと、観察から分析をして問題点を抽出、その問題点と動作の関係を考えて介入を決定していく。
この流れの中で、

  • どうしてそこに着目したのか?
  • どうしてそこが問題だと思ったのか?
  • 動作とその問題点がどうしてつながっていると思ったのか?
  • その介入にした理由は何か?

など、いくつかの点で言葉で説明しなければならない点が存在します。
つまり、自分の思考を時間軸に沿って説明していくことこそが、ロジカルシンキングに直結します。

なぜロジックが大切なのか?

ここまでで、ロジカルシンキングがリハビリの臨床ととても近いところにあること、ロジカルが道筋であることが少しお分かりいただけたと思います。

ではここで、
なぜロジックが大切なのか?
について触れていきたいと思います。
ここでは大きく3つについて書いていきます。

1,エビデンスベースの臨床が求められている

効果が不確かな中、職人技のように行われてきたリハビリですが、医学の領域と同様にエビデンスが求められてきています。
つまり、行っている介入が妥当かどうかですね。
この風潮の中で、「なんとなく」という雰囲気で様々な決定が行われやすい臨床は生き残れない可能性が出てきています。

どうしてそこが問題なのか?…先輩が言っていたから。
どうしてその介入をしたのか?…本に書いてあったから。

これではダメということです。自分の言葉で、そう考えた道筋を表し、それが何かしらに基づいていなければならないのです。
そのためには、臨床にロジックを持ち込んでいく必要があるということです。

2,患者さん・利用者さんへの説明と能動的なリハビリ

私が今勤務している保険外リハビリの領域では、利用者さんの今の身体状況や高次脳機能障害など、様々なことについて本人に説明していきます。
モチベーションが高く、本人が知りたがっているからというのはもちろんありますが、理由はもう1つあります。

保険外では期限がなく、本人が通い続けられれば半永久的に通うことが出来ます。
だからこそ、リハビリからの卒業について本人と丁寧に話していく必要があります。
そのためには、自分で問題と向き合い解決していく力が必要です。

この能力を獲得していくためには、自分の身体や行為を出来るだけ正確に知り、捉えられなければなりません。
このことを手助けするためにも、患者さんに出来るだけわかりやすく、私たちセラピストの考えを伝えていく能力が必要です。

そのツールとして、ロジカルシンキングが役に立ってきます。

3,他セラピストとのディスカッションツール

自分が休みの時に代わりにリハビリに入ってもらう時や、先輩への質問、後輩からの相談への回答など、セラピストへ説明する機会は多くあります。
その中で、このロジカルシンキングはとても役に立ちます。

それだけではありません。
自分の思考をまとめることは、アウトプットにもなり、自分の成長にも直結します。

臨床でロジカルシンキングを実践していくために

このように、リハビリの臨床の中でロジカルシンキングを実践していくことは、多くのメリットを生み出します。

実際どういう感じなのか?
どうやっていったら良いのか?

など素朴な疑問が出てくると思います。
私のblogを読んでいただけると、ロジカルシンキングの雰囲気がむんむん出ているので感じていただけるかと思います。

実際にみてみたい!
という方は、是非ご連絡ください。
症例発表が一番わかりやすいと思いますのでご招待いたします!!

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高次脳機能障害と行為を関連付ける方法

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営している、理学療法士の唐沢彰太です。

今回は、皆さんより多く声をいただいている高次脳機能障害について書いていきたいと思います。
その中でも特に、高次脳機能障害と動作をどう関連付けて行けば良いのか?に焦点を当てて行きたいと思います。

本テーマはトレンドでもあり、先日開催された日本神経理学療法士学会のカンファレンスでも取り上げられていました。
本学会では、半側空間無視と歩行についての関連性についての討論がされており、多くの療法士が悩んでいる現状を知るきっかけにもなりました。

実際、私の職場の療法士も、どうしても高次脳機能障害と動作を分けて考えてしまう人が多く、リハビリも悩んでいるという声を聞いています。
なぜこのような事態になってしまうのでしょうか?
この点を踏まえて書いていきたいと思います。

高次脳機能障害を一言でいうと…?

そもそも高次脳機能障害の診断基準は日本ではどうなっているのでしょうか?
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部、国立障碍者リハビリセンターによると、

  1. 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
  2. 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。(省略)

とされています。
つまり、高次脳機能障害は、

  1. 何かを認知することが出来ない
  2. 何かを認知しようとすると上手くいかず、エラーが生じる
  3. 認知できることに偏りがある

これらに加え、

  1. 認知した結果を動作に反映できない
  2. ある動作において必要な認知が出来ない

と考えることが出来ます。

リハビリの臨床において、高次脳機能障害を特定していく為には、検査が必要です。
検査結果から、ある高次脳機能障害が疑われれば、追加の検査を実施したりしながら病態の解釈へと進んでいくと思います。
それらを統合し、疑いがある〈高次脳機能障害へのアプローチ〉が開始されていきます。
もちろん正確に高次脳機能障害を理解するためには検査や評価は必須です。
それは言うまでもありません。
ですが、ここには大きな落とし穴が隠されています。それは…

  1. 検査を行わなかったものに関しては、見逃してしまう可能性がある
  2. 動作との関連性を考えることが非常に難しくなってしまう

この2点をクリアできなければ、本来の目的である生活の改善を目指すことが出来なくなってしまいます。
ではどうすれば良いのか?私なりの考えを書いていきます。

【情報】の落とし穴

リハビリでの介入は、情報収集から始まります。
年齢・性別などの基礎情報に加え、疾患名・障害部位・画像所見などの医学的情報、家族構成・家屋情報・職業などの社会的情報などを包括的に収集していきます。
その中でも、医学的情報の障害部位や画像所見は、介入前に情報を得ることで、患者さんの病態予測を行うことが出来ます。
そして、高次脳機能障害の検査の選択もある程度この時点で目星をつけていきます。
効率的かつ根拠をもって介入していく為には必要な手続きになりますし、必須であることは間違いありません。
ですが、先ほど書いた落とし穴の1番である、障害の見落としが発生する可能性は否定できません。

先入観の無い観察の大切さ

事前情報を最大限に生かしていく為には、【観察】が必要になります。
事前情報は予測する事を可能にしてくれますが、時には先入観となって観察内容に干渉してきてしまうことがあります。
錐体路が損傷していないから運動は問題ないだろうという考えが代表的でしょうか。
運動障害の原因は麻痺だけではありません。
補足運動野が損傷していたり、機能解離1)によって機能停止している場合では、運動を遂行できないケースも存在します。

私は、この様な事態を避けるために、観察と分析を分けて考えています。

  • 観察:観察者の主観を入れずに、患者さんに生じている事象をそのまま記述する手続き
  • 分析:事前情報、観察結果、検査結果などを統合し、病態を解釈していく手続き

この場合、先入観によって観察内容がズレることはありませんが、記述内容には工夫が必要です。
学生の頃に習った様な、「股関節が屈曲し…」の様な、関節運動学に基づいた観察だけではなく、むしろ患者さんの【振る舞い】そのものを記述していきます。
その中には、立ち上がりの時にはどこを見ていたか、何に気を付けていたのかなどの患者さんの1人称による発言も記述していく事も大切です。
この観察の中で気になった事、違和感程度のことでも構いません。それを記録として残しておき、検査の対象にしていきます。すると、検査の対象は、

  • 事前に得た情報に基づいた検査(右の中大脳動脈の梗塞だから、半側空間無視の検査など)
  • 観察や検査、評価を行っていて気付いたこと、違和感を解釈するために必要な検査(単関節では動きは良好なのに、歩行ではぎこちない:失行症の検査など)

と幅が広がっていきます。

高次脳機能障害と行為を結び付ける

ここまで書いてきた観察と分析を分けて考える方法は、障害の見落としが減るのはもちろんですが、もう1つ利点があります。
それは、

観察の中で気付いた点や動作の違和感であるため、動作と結びつけやすい

ことです。
「本患者さんには、半側空間無視がある」ではなく、
「歩行の時に麻痺側の振り出しがぶらぶらしているように見えるのは、全身動作において麻痺側に注意喚起が難しいからだ」
と、行為において生じている現象を理解するために、認知機能や注意機能の検査を行っていきます。

介入の一連の流れに、観察を取り入れ、検査の持つ意味合いを少し工夫すると、高次脳機能障害と行為とのつながりが見えやすくなるのではないでしょうか?
もちろん、この観察はすぐに出来るようになるわけではありません。
特に関節運動を中心に観察する方法を学校で習ってきた理学療法士は、観察の方法を工夫したり、時には1から組みなおす必要もあるかもしれません。

ですが、このような観察は訓練の幅そのものも広げてくれると考えています。
動作と高次脳機能障害の関係性が理解できていれば、訓練もおのずと認知的な側面(高次脳機能障害は認知障害であることを前提に)を考慮したものへと変化していきます。
つまり半側空間無視への介入、歩行への介入ではなく、

半側空間無視を呈している人への歩行改善を目的とした介入

です。
つまり、もっと歩きやすくなってもらう為には、患者さんを半側空間無視がある人として捉えて、訓練を工夫していくイメージです。

現在のリハビリでは、

  • 歩行を改善していくためには、半側空間無視を改善していかなければならない
  • 半側空間無視のあるなし関係なく歩行練習をおこなっていかなければならない

など、いろいろな考え方があります。
その中でも私は、高次脳機能障害を認知の癖として考えて、介入方法や関わり方、コミュニケーションまで全てをプランニングしていきます。

『こんな観察できるようになりたい!!』
『そんな訓練どうやってやるの??』

そう思っていただいた方、一緒に勉強してみませんか?

1)機能解離:限局性脳病変から離れて発生する神経生理学的変化を説明するために、1914年にvon Monakowによって提唱された概念。機能的に連結している部分などの脳血流量の減少や過剰興奮などが観察されている(E Carrera,et al 2014)

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運動・動作・行為を使い分ける!!

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本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

言葉って大事ですよね?
専門家として、言葉や用語を正しく使うことはとても大切で、多職種での連携が大切なリハビリではその面においても重要です。
その中でも、

  • 運動
  • 動作
  • 行為
の3つは、似ている言葉ですが、絶対的に中身が異なっている用語です。
これら3つを意識的に使い分けることで、頭が整理されてリハビリの臨床がスムーズになるなど非常に役立ちますのでぜひご参考ください。

3つの違いは?

まずは簡単に3つの言葉の違いに触れていきたいと思います。

1,運動

物体がある力によって動く事ですね。
人で言うと、関節を動かす事からランニングなどまで広い範囲で運動って言います。
『運動しましょう』のような使われ方ですね。
一方で、『肘を曲げる』のような【重心の移動を伴わない】動きを私は運動と定義しています。
リハビリにおいて、この運動の獲得をゴールにすることはまずありませんよね。
観察や分析をしていく過程で、どこの運動に問題があるのかを考える時に使用するイメージです。

2,動作

運動が様々な身体部位で同時的に動くことで、重心が移動することと考えています。
同時に支持基底面(身体を支持する、外部環境と接している面積)の変化も生じます。
ただ基本的には、この動作自体には目的はないことが重要です。
例えば、起き上がりは動作ですが、起き上がることが目的となることは日常生活ではありません。

3,行為

目的や意図に応じて、2つ以上の動作を組み合わせて遂行されるものです。
つまり、行為は意図や目的が先行していて、様々な機能や能力が同時的に働いています。
リハビリでは、この行為の獲得が目標となります。
「動作じゃないの?」と思われた方がもしいらっしゃれば、リハビリの時は出来るのに病棟では出来ない問題を考えてみてください。
この問題の重要な点は2つです。
 
1つは、環境が違うこと。
これはいろいろなところで言われているのでなじみ深いかと思います。
もう1つは、意図と目的が違うことです。
リハビリの時は、セラピストに指示をされて行われる動作ですが、病棟では自分の意図に基づいて行われます。
この目的と意図が異なる場合、行為そのものが異なると考えた方が無難です。
つまり、病棟での行為をいかにリハビリに持ち込み、介入出来るのかが大切になります。

どういう場面で使い分ける?

このように見ていくと、それぞれ特徴のある言葉だということがお分かりいただけると思います。
では、実際にこの3つをどう使い分けるのか?
 
結論から言いますと、分析時と介入時です。
患者さんの問題点と出来ている点を、それぞれ運動レベル、動作レベル、行為レベルでみていくことが大切です。
 
また介入時にも、今のリハビリがどのレベルで何を対象に行っているのかを、療法士は整理していくことが大切です。
介入の結果、どの様な変化が生じたのかを細かく見ていく為にも重要なことになります。
 
いかがでしょうか?
いつも何気なく使っている言葉かもしれませんが、すこし意識して使うだけで頭が整理されていくことを実感できると思います。
是非お試しください!!

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基礎ってどうして大事なの?

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

<基礎が大事>

って耳にしませんか?
リハビリに限らず、何においても基礎をおさえておくことは大切です。
足し算・引き算・掛け算・割り算は数学の基礎です。
これらが出来なければ、因数分解は出来ません。

また、この基礎が生活にも必要なことがとても重要です。
教科として習ったことが、生活にいかされるこの構造はリハビリにおいてもみれらます。

本記事では、基礎について書いていきたいと思います。

基礎から臨床が作られている

学生頃、とてもたくさんの科目があったと思います。
解剖学、生理学、運動学、解剖生理学、病理学、心理学、精神学、哲学、社会学…
なぜこれほど多くの教科を学ぶ必要があったのでしょうか?

1つは、人の体や疾患を理解するためです。
リハビリテーションは、人を対象とする職種です。
様々な側面から人を理解することが求められるため、このように多くの教科が必要になってしまいます。

もう1つは、患者さんを理解し、目標へ向かっていく手助けをするためです。
例えば、病気になった患者さんの気持ちに寄り添う為に心理学、行為とは何かの本質を考えるための哲学、障害をお持ちの方の社会参加の側面を理解するための社会学などなど…
これらを理解するためには、その【基礎となる学問】を学ぶ必要があります。(学生の時もこんな感じに教えてもらいたかった…)

このように、臨床を形作る基礎は、その名の通り様々な学問の基礎から成り立っています。
ただ、1つ問題があります。

臨床に必要な基礎は、自分で学んでいくしかない

先ほど述べた、学生の頃にならう基礎の学問ですが、学生では実際の臨床を知らないため、患者さんをイメージしながら学ぶことが出来ません。
ここがとてもネックになります。
実際の自分が担当している患者さんのために、学んでいくプロセスは学校では教えられないのです。

更に、臨床心理学、臨床哲学のような、臨床に直結する学問は、卒業後自分で学んでいかなければならない環境です。
しかし、【臨床】と付く学問は、臨床の中から生まれてきている学問であり、リハビリにおいてもとても大切な知識になります。
例えば、患者さんの観察や病態解釈には臨床心理学の知識は非常に有用です。

このように、学校の頃に学んだことだけでは不十分であり、自分のリハビリ特に担当している患者さんに合わせて学んでいく知識を選択し、更に本や勉強会も選択していかなければならないのです。

これを1年目からやっていくのは非常に難しく、もし周囲にそのような勉強をしている人がいなければ、自分の勉強法を見つけなければなりません。
それでは勉強していくのが嫌いになってしまいます…

悩んだ時こそ基礎!!

リハビリで良く聞く悩みが、
「この患者さんに何をしたらよいかわかならない」
つまり、改善がみられないという悩みです。
もちろん介入の手段の引き出しを多く持つことは大切です。

ですが、なぜその患者さんにその方法なのか?を理解しないまま介入するのは絶対にダメです。

何をしたら良くなるのかわからない=何が問題か分からない

この構図を理解しなければ、介入の手段にどんどん引っ張られていきます。
そうではなく、患者さんを理解するために基礎を学びなおして、問診・観察・検査・分析を丁寧に行っていくことが足りない人がほとんどです。
なので基礎が大事になります!!

ぜひ基礎から学びなおしたい人、臨床を学びなおしたい人、勉強の方法を学びたい人は是非ご参加ください!

観察でみえる世界を広げる

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。

皆さんは、観察や分析は得意ですか?それとも苦手ですか?
HPのTOPにも書いている通り、リハビリでは観察と評価、それらの結果を統合する力はとても大切です。

皆さんの周りにも、
どうしてみただけでそんなことがわかるの?
と思う療法士の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、この臨床の核である観察と分析について大枠を書いていきたいと思います。

1年目と10年目のセラピストではみえている『世界』が違う

後輩育成に力を入れてきた私ですが、10年目になった時あることに気付きました。
それは、まだ経験の浅いセラピストに、観察と分析について教えている時でした。
患者さんの動画を用いて、立位姿勢から歩行を観察していると、私から見れば一側に荷重していることは一目瞭然でしたが、その研修のセラピストには【観えていない】様子でした。

この時私は、「観察1つ取っても、一人一人みえている物が異なっているのか」と気付かされました。
みえているものの違いは、いくつかのことが影響していることが分かってきました。

  1. 今までみてきた患者さんの経験
  2. 知識(なにに興味があるのか)
  3. 介入の引き出しの数(介入出来る部分しかみえない)
の3つです。これらは療法士として働き、しっかり勉強している人であればピンと来ると思います。
この3つを1つずつ見ていきます。

1,今までみてきた患者さんの経験

観察から介入までの経験を重ねていくと、いろいろな「予測」がたつようになってきます。
言い換えると、自分の中で【カテゴリー分け】されていくようなイメージです。
「左の視床出血の方でこのように動く人は、○○のことが多い」
といった感じです。
この「予測」がみる所をしぼる役割をして、より深い観察を可能にしてくれます。

同時に、観察から介入まで流れるように浮かんできます。
患者さんの個人差を加味するために、他の動作を観察したり、問診で情報量を増やしていくことで、自分の考えをより正確にしていくことも出来ます。

このように、今までの患者さんの経験を、目の前の患者さんにいかすことが臨床を豊かにしていく第1歩です。

2,知識(なにに興味があるのか)

これは誰でも経験されていると思います。
カバンが欲しいときには、電車に乗っているといろいろな人のカバンが目に入りませんか?
これは注意の特徴の1つで、自分の興味のあることに注意が引っ張られやすいのです。
例えば、運動学の勉強をしている人は、関節の動きに注意が向きますし、感覚に関する勉強をしている人は、感覚に関する質問をしたくなります。

1つ注意が必要なのは、観察は多角的な視点から行う必要があるということです。
観察はあくまで全体像を捉える手段です。
分析は、運動の側面、感覚の側面、認知の側面などいろいろな情報を元に可能性を探っていきます。

入り口は人それぞれでOKですが、最終的にはいろいろな可能性を探れる考える力が必要です。

3,介入の引き出しの数

リハビリの介入の目的はあくまで患者さんに学習してもらい、動作をより楽に行えるようにすることです。

つまり、【介入方法のわからない部分に関してはみない】傾向が強いです。

例えば、視覚障害をもつ患者さんが初めてだったり、介入方法をまだ知らない療法士では、視野に関する観察や検査はあまり行いません。
これは意図的ではなく、無意識で選択されてしまいます。
知らず知らずのうちに避けているのかもしれません。

このように、どれくらいの介入の幅を持っているかは、実は入り口である観察にも影響してきます。

これら3つが関係している観察では、一人一人みえている世界が異なっています。
このことを知ったうえで、先輩や他の療法士と観察や介入について話すことは、自分の臨床を高めることに最も有効なことは、言うまでもありません。
出来るだけ多くの、また異なる環境の人と話すことで自分の小さな悩みから大きな疑問まで、解決する方法が見つかるかもしれません。

痛みをもつ患者さんとのかかわり方

お読みいただいている皆さんこんにちは。本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。

理学療法士や作業療法士では、痛みを持つ方とリハビリを行う機会は非常に多く、患者さんは痛みに悩まされています。
今回はそのような痛みを抱える患者さんとのかかわりかたについて書いていきます。

『痛み』とは?

理学療法士や作業療法士では、痛みを持つ方とリハビリを行う機会は非常に多く、患者さんは痛みに悩まされているます。
整形外科疾患、慢性疼痛、脳卒中後の痛みなど、痛みの原因や種類は多岐に渡っていて、それぞれリハビリの方法も異なっています。

【痛みとは情動体験である】

と国際疼痛学会では定義されていて、触れている・動いているなどの感覚とは異なっていることが重要視されています。
痛みを感じると、通常の感覚と同じ脳領域に加えて、情動に関する脳領域が活動することが報告されています。
つまり、<痛い>と感じたことと同時に、<嫌だな>と思うことになります。
これは、痛みにもいろいろなものがあり【いた気持ちい】という非常に絶妙な感じがあることも、情動が関わっている証拠になります。

痛みは大きく2つに分けることが出来ます。

  1. 原因の明確な急性疼痛
  2. 原因が不明確な慢性疼痛

です。
痛みが発症してからの期間で分けられていると勘違いされがちですが、原因が明確かどうかで分類がされています。

このように、原因や種類が様々であり、情動が関係している痛みは、リハビリにおいてとても難しい症状の1つです。
では、リハビリテーションの中で、痛みを持つ患者さんとはどのように関わっていけば良いのでしょうか?
本記事では、治療よりも関わり方にフォーカスしていきたいと思います。

 コミュニケーションの大切さ

痛みは個人的な経験です。
今患者さんが感じているその痛みは、本質的には感じている<その人>にしか分かりません。
どれほど知識を持っている人でも、他者である限り療法士には理解できない部分があるのが痛みです。

例えば、
○○の様な痛み
と患者さんが表現した痛みだとしても、100%理解し共感する事は出来ません。
「あんな感じの痛みなのかな」
想像し、抽象的な理解にとどまります。
これは、痛みが情動【経験】であることが関係しています。
「○○のような」という表現には、その人の経験が含まれていて、他者と共有できないことを含んでいます。
このことからも、この表現は経験的と言え、理解することには限界があります。

これらに対して、
ズキズキ、ヒリヒリ、ジンジン
など、感覚的な比喩で表現される痛みに関しては、<言語>という感覚レベルでの共通ツールを用いいていることで、経験的な表現よりは理解しやすくなっています。
療法士は、患者さんの痛みの表現方法がたくさんあることをまず知る必要があります。

  • 患者さんがどの表現で説明しているのか
  • 療法士側は、患者さんにどの表現で説明して欲しいのか

などをリハビリの中で明確にして、患者さんと関わっていく必要があります。
これは、コミュニケーションの基本となります。

痛みと真摯に向きう姿勢

このように、患者さんが話していただいた痛みに関することは、コミュニケーションにおいて非常に大切になってきます。
ですが、その時に注意しなければならないのが、「共感」です。
痛みがあくまで個人的な経験であることはすでに書きましたが、その経験に含まれた【辛さ】などのネガティブな情動は、

「自分にしか分からない」

と考えている患者さんも少なくありません。
もちろん、理解して欲しいと思う患者さんも多くいらっしゃいますが、その為には患者さんとの信頼関係を築くことが必要になります。

個人的な経験であるがゆえに、

「どうせわからないでしょ…」

と患者さんに思わせてしまっては、リハビリは上手くいきませんし、信頼関係は到底築けません。
つねに、相手がどんな内容でも話してもらえるような雰囲気や関係性を構築し、時に教育的に介入していく事が求められます。

この様に、少し考えただけでも療法士側の姿勢が非常に大切なことが分かります。
療法士が<唯一の理解者>となるケースもあるくらい、患者さんにとってリハビリはとても大切です。
我々療法士は、患者さんを知りたい、いろいろ教えて欲しいという姿勢で日々関わっていくことが求められています。

おわりに

本サロンでは、幅広い知識の提供や、実践的な思考方法などをみんなで向上していっています。

  • 患者さんの一人称をリハビリに活かしていく方法に興味のある方
  • コミュニケーションスキルから学びたい方
  • 臨床に新しい切り口を作りたい方

これらに1つでも当てはまる方、これら以外でもいろいろな人が一緒に勉強できる環境です。
ぜひオンラインサロンで一緒に勉強して、切磋琢磨していきましょう。

FAQもご参考ください。

患者さんの一人称

お読みいただいている皆さんこんにちは!(こんばんは!)
本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。
今回は、リハビリテーションの臨床の中で欠かせないスキルの1つ、コミュニケーションスキルについて書いていきたいと思います。

リハビリにおけるコミュニケーションとは

リハビリが患者さん対療法士という構造を持っている以上、1対1でのコミュニケーションスキルが必要不可欠です。

またこれと同じくらい大切なのが、観察のスキルです。
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が一般の方と一線を画す能力でもあるこの観察スキルは、臨床そのものの質を変えてしまうくらい大切です。

ですが、一方で【外から見る観察】だけでは得られる情報には限界がある事を知っておかなければなりません。
例えば、どう動いているのか?は見れば分かりますが、なぜそう動いているか?は見ただけでは想像の域を越えません。
ここに、評価や検査を加えていくことで、観察で浮かんだ想像は仮説へと昇華していきますが、やはりまだ足りません。

では何が足りないのか?
患者さんの一人称です。
代表的なのは、感覚検査です。
感覚に関する答えは患者さんの中にしかありません。
そうなると、必然的に患者さんに<聞く>スタイルの評価になります。
もちろん観察から感覚に関することを仮説立てる方法もありますがそれはサロン限定で…。
感覚以外にも患者さんの一人称からは非常に多くの情報を得ることが出来ます。
その方法と情報を簡単に書いていきたいと思います。

コミュニケーションのポイント

患者さんの1人称を聞き出していく為には、最初に書いた通りコミュニケーションスキルが必要です。

  • どんな質問をするのか?
  • 質問で使う言葉は何が良いのか?
  • 相槌のタイミングはどうするか?
  • オープンな質問にするかクローズな質問にするか?
  • 正面に座るか斜めに座るか?
  • リハビリのどのタイミングで切り出すか?
  • etc…

挙げればきりがありませんが、コミュニケーションには数えきれないほどの要因が関わっていることが分かるかと思います。
また、コミュニケーションにおいて特に重要になるのが、信頼関係です。

「この人(POST)には、この話をしても大丈夫」
「この人(POST)なら私の問題を解決してくれる」

などの、リハビリの専門家としての信頼を得ていなければなりません。
「話しても無駄」と1度でも思わせてしまうと、最も重要かもしれない内容を話していただけなる可能性があるので注意が必要です。

よって、基本となるのは
<傾聴>
<行動>
になります。

もしかしたら何気なく「ぽろっと」言った言葉が重要かもしれませんし、介入中に言った言葉が本心かもしれません。
介入中は少しも油断してはなりません。

患者さんの言葉をどうやっていかしていくか?

次に、患者さんが話した内容をどう考えて行くかです。

患者さんの言葉には、癖がある場合があります。

例えば、左側の股関節の運動覚の検査を背臥位(ベッドに上向きで寝ている状態)で実施している時に股関節を外転したとします。この時セラピストは、【外に開いた】と回答すると予測していたのに、患者さんは「左に動いた」と回答したとします。

ちょっとしたことですが、もしかしたら内側外側の概念よりも、左右の概念が認識しやすい可能性があるかもしれません。

そうなると、介入の時にセラピストの使用する言語は、内外より左右を使用したほうが患者さんはわかりやすくなってきます。

この様に、患者さんが使う言葉の頻度や介入している時の回答など様々な場面で情報が散りばめられています。

これを拾っていく為には、コミュニケーションスキルに加えて、観察・分析のスキルが必要になってくるのが分かるかと思います。

ですが、慣れるまでは意識していないと聞き逃してしまいがちですし、患者さんの一人称をどうリハビリにいかしていけば良いのかは、教えてもらう必要があると思います。

おわりに

近年痛みを有する方へのリハビリにおいて、患者さんの一人称が重要であることが認識されてきています。1)

私は、痛みを有する方だけではなく、リハビリを必要としている方すべての一人称が、リハビリの効果を向上させる情報だと信じています。

  • 患者さんの一人称をリハビリに活かしていく方法に興味のある方
  • コミュニケーションスキルから学びたい方
  • 臨床に新しい切り口を作りたい方

ぜひオンラインサロンで一緒に勉強していきましょう!!

FAQもご参考ください。

1)森岡周:脳とこころから考えるペインリハビリテーション, 杏林書店(2021)

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