運動にはイメージが必ず先行する【臨床編】

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プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
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<イメージが鮮明なほど行為は洗練化される>

前回の基礎編で、運動に先行するイメージがどういうものなのかについて書きました。
その中で、イメージが鮮明に行えるほど行為は洗練化されていくことがお分かりいただけたと思います。

このように運動に先行するイメージを介入時にいかしていくためにはどうすれば良いのでしょうか?今回はこの点について書いていきます!

こちらも合わせてご覧ください!→運動にはイメージが必ず先行する【基礎編】

イメージからいかに知覚を想起させるか

運動のイメージは大きく2つの種類があります。(図1)

  1. 視覚性イメージは、実際に目で見ているかのような感じでイメージします。実際に今座っている所から立ち上がる所をイメージしてみてください。すると、視覚性にも2種類あることが分かります。
    1つは、前や横などから自分を3人称的にみている所をイメージする方法。
    もう1つは、実際の自分の目線で立ち上がる時の視線の移動をイメージする方法。
    立ち上がりの場合は全身運動なので少しニュアンスが変わってしまいますが、肘を曲げる運動をイメージした時に自分が肘をみながら肘を曲げるイメージをすることが出来ます。
  2. 体性感覚性イメージは、運動をした時の感覚をイメージします。肘が曲がるとはどういう感覚か、目の前のひよこに触れるとどんな感じがするかなどです。このように、体性感覚性のイメージにも2種類あり、運動覚にもとづくイメージ(非言語的)と触覚にもとづくイメージ(言語的)があります。
    ただここで注意しなければならないのは、運動覚に基づくイメージは言語化が非常に難しいという点です。触覚はオノマトペがあり、「ふわふわ」「ざらざら」と言語化出来ますが、運動覚に適した言語は存在しないため「手が移動している」など運動覚そのものを言語化することは難しいんです。このことは介入にイメージをいかしていく時に注意しなければならないので覚えておいてください。

図1 運動イメージの種類

このようにイメージには種類があり、人によって得意なイメージと不得意なイメージがあります。担当の患者さんにイメージが介入に有効かどうかを判断するためには、Vividness of Movement Imagery Questionnaire-2(VMIQ2)などの検査を使用するとスムーズに組み立てられます。

 イメージは予測の一部であることは【基礎編】でお話しましたが、この予測には更に知覚の要素が大きな意味を持ちます。つまり、目の前のコップに触れると自分の体にはどんな感覚が生じるのか?とイメージすること自体が、行為の予測に繋がるということです。
 コップに手を伸ばしていく時の肩や肘、前腕、手首、手指の運動覚、コップに触れた手の部位や感触などをどれくらいイメージに含めることが出来るのかが臨床では大切になります。

 よくある間違いで、「イメージした感覚が今したか?」「さっき感じた感覚を探しながら動いてください」などのように、イメージした感覚を使用するとただの感覚のあてっこになってしまい意味がありません。感覚をイメージすることはあくまで予測です触覚を予測すると言語化されます。目の前の絨毯に触れるとどんな感じがするかをイメージすると「ふわふわするかなぁ…?あ」と言語に置き換えられ、実際に触れた時に「ふわふわしているか?」が大切になります。運動覚をイメージすることは難しいので、手の位置や方向などをイメージすることで活用していきます。

 ただやみくもに動くのではなく、予測してから動くことでエラーに気付くことができて、患者さんも学習しやすくなります。

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運動にはイメージが必ず先行する【基礎編】

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<運動にはイメージが必ず先行する>

認知神経リハビリテーションを勉強している人なら必ずと言って良いほど耳にするこの有名な言葉は、【運動】に対する私の価値観を変えました。この言葉と同じように、

<イメージが出来ない運動は行うことが出来ない>

<経験したことがないことを見てもミラーニューロンは活性化しない>

これらも私の中ではとても重要な言葉になっています。

  • 運動とイメージはどう関係しているのか?
  • そもそもイメージとは何なのか?
  • これらのことをどう臨床でいかせば良いのか?

2回にわけて書いていきたいと思います。

運動に先行するイメージの役割

運動に先行するイメージは実際どんな役割があるのでしょうか?このことを考えていく時に大切なのは、「身体が実際に動いた時にはすでに脳で様々な処理が行われている」ことを理解することです。
つまり、運動は氷山の一角でその下にはもっと大きな見えない氷が存在しています。この見えない氷の1つが運動に先行するイメージになります。

 ホームセンターなどで食器を見ている時、見た目が気に入った食器を実際に手に取ると、

「おもっ!!(重い)」

となったことありませんか?この場合の「重い」は、【思っていたよりも重い】です。この【思っていた】は食器の重さを<予測>していた意味であり、何を手掛かりに予測していたのでしょうか?

  1. 見た目
    食器の見た目を気に入って実際に手に取っているので、その食器の手掛かりは見た目です。ガラスなのか陶器なのか木なのかなど、材質や大きさなどが重さの手掛かりになっています。
  2. 今まで持ったことのある食器の重さ
    1の見た目から食器がガラスだったとします。今まで持ったことのある食器の中で、同じような大きさ・形でガラスの食器の重さを手掛かりに、気に入った食器を持った時の重さを予測します。

この1と2から、まだ持ったことがない目の前の食器の重さを予測して、【どれくらいの力で持てば良いのか】をイメージします(一般的にシミュレーションやプログラミングと呼ばれる手続きに似ています)。力の量や持ち方などがイメージに含まれていて、このイメージはさらに予測に含まれます(図1)。

予測とイメージと運動の関係図

図1 予測とイメージと運動の関係図

この時の力の量と食器の重さが一致すれば、【思った通りの重さ】になります。一方で、食器の重さに対して力が足りなければ【思っていたより重い】と感じます。

 日常生活では、イメージが含まれた予測と実際の運動(行為)の結果から様々な認知が生まれています。重さ、熱さ、固さ、高さなどの価値観が一人一人異なるのは、予測に一人一人の今までの経験が含まれているからです。この過去の経験と今の身体能力や認知能力が一致しなければ、正確な認知が行われず環境に適応して行為を遂行することが難しいのが少し分かっていただけたのではないでしょうか?

 では実際に臨床ではこれらの知識をどう生かしていけば良いのでしょうか?次回をお楽しみに!!

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痛みは感覚なのか?

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皆さんはいま、どこかに痛みを【感じている】でしょうか?私はパソコンと向き合う時間が多く、肩に痛みを感じています…。

リハビリテーションの現場で働いていると、痛みを持つ多くの患者さんと出会います。骨折による痛み、姿勢不良による痛み、脳卒中後の痛み、線維筋痛症による痛み…同じ【痛み】という言葉で表していますが、実際は全く異なる性質を持っていて到底同じ言葉で表せるようなものではありません。

そこで今回は、最初に書いたように痛みは【感じるもの】として捉えられていますが、表在感覚や深部感覚など他の感覚と同じ感覚なのか?について考えていきたいと思います。

痛みと感覚の違いから考える

つま先が痛い、膝が痛い、頭が痛いなど痛みには身体部位を特定できる特徴があります。これは通常の体性感覚と同様で、手に何か触れている、肘が動いているなどがこれにあたります。このような痛みの身体部位を特定できる特徴は、痛みの<感覚的側面>と言われており、脳にある身体再現と比較されていることが分かります。

一方で、痛みには「この辺が痛い」といったような痛みの部位を点で特定できないものも存在します。その多くは慢性痛で、例えば腰痛であれば痛いのが左右どちらかわからなかったり、日によって痛いところが違ったりと感覚では説明できない側面があります。

これらのことを踏まえると、痛みには感覚的な側面を多く含むものとそうではないものがあることがわかります。では感覚的な側面を多く含むいわゆる急性痛に関しては、体性感覚などの感覚と同じと考えて良いのでしょうか?答えは半分YESで半分NOです。つまり、痛みには体性感覚にはない特別性が存在していて、それが痛みが単なる感覚ではないと言わしめている原因なのです。

それはなんなのか?答えは、【心理面】です。心理面をもう少し細かく言うと【情動】となります。痛みはもともと危険信号で、身体に危険が生じていることを脳に知らせて、それを回避・逃避するためのものです。よって、痛みには負の情動(嫌だ)が働くことがもともと動物的に備わっています。これは、脳で処理される過程でもわかり、痛み刺激は感覚を処理している頭頂葉だけではなく、情動に深く関与する島皮質へも伝達されています。もちろん体性感覚でも情動は働きますが、直接的・同時的ではなくその役割も異なっています。
最近ではよく聞くようになりましたが、痛みとは情動体験だということが、通常の感覚とは異なる点なのかもしれません。

痛みを改善していくためには

リハビリテーションで痛みのある患者さんへ介入していくためには、ここまでのことを念頭に痛みの種類や質を患者さんに聞いていくことが大切になります。原因は何なのか?どのように痛むのか?どんなことをすると痛いのか?…これらのことを問診で聞きながら、痛みへと迫っていきます。これは、痛みにはいろいろな原因があり、またいろいろな要素が関係しているからに他なりません。
さらに、痛みが情動体験であるならば、患者さんは痛みをどう体験していて、痛みのある人生をどう経験しているのかまで考えて行く必要があります。これは、脳卒中後の患者さんの感覚障害でも同様で、感じにくい身体で人生をどう経験しているのかを考えなければならないのと一緒です。

患者さんからすれば、今ある痛みや感覚障害を最も理解しようとしてくれて、自分のことを考えていてくれる存在がセラピストなのです。自分がそんな存在になれているかどうかを大切にしながら、今日も患者さんとリハビリテーションの旅に出ていきたいと思います。

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8/31の20:00~、感覚障害」をテーマにセミナーを開催します!

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いろいろな感覚を統合すると…?

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人はいろいろな感覚を通して様々なことを知覚しています。それらの感覚にはそれぞれの役割があり、受容できる刺激も限定されています。

例えば、視覚は光を受容して環境を知覚する役割があります。また、深部感覚は伸張を受容して身体を知覚する役割があります。聴覚であれば振動を知覚して、言語や音を知覚する役割があります。
このような基本的な感覚は、脳で処理されていくと統合されて情報の信用性を増加させたり、新たな情報を作り出したりしています。

今回は、この感覚を統合する観点からリハビリにどう活かせるのかを考えて行きたいと思います。

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感覚を統合するってどういうこと?

生きていくことは常に多くの感覚の入力を受けていくことです。この多くの感覚は常に同時に入力されていて、これらの感覚を脳はフィルターをかけながら処理することで、行為を行うことが出来ています。
人は1つのことしか意識することが出来ません。(詳しくは<注意の配分性って間違えやすい…大丈夫ですか?>をご参照ください)
この【意識】はいろいろな感覚が含まれていて、多くのことを知覚することで可能になっています。
家でソファーに座ってテレビを見ているときを例に考えてみます。(図1)

テレビを見ている時はテレビが意識にのぼっています。この時、

  • テレビ画面を見ている:視覚
  • テレビの音声を聞いている:聴覚

の2つが知覚されています。つまりこの2つが知覚されることによって、<テレビを楽しむ>ことが可能になっていることになります。
また意識にのぼっていない感覚もあります。

  • ソファーに座っている:体性感覚(触圧覚、深部感覚)前庭感覚など

これらの感覚は常に入力されていますが、意識にのぼっていないため知覚することはありません。もし2時間以上座りっぱなしであれば、腰が痛くなってきて痛みを意識し始めてしまい、テレビに集中できなくなるかもしれません。

この例の中で大切な感覚の統合は視覚と聴覚を統合することによって、テレビを楽しむことにあります。音が聞こえないないテレビよりも音が聞こえた方が楽しいと思います。もし視覚と聴覚が統合できなければ、聞こえている音がテレビから聞こえていると理解できないかもしれません。

テレビを見ている時の多感覚

テレビを見ていてスマホが鳴る音が聞こえてきた時、自分のスマホが鳴ったと勘違いした事はありませんか?このスマホが鳴った時に、画面にスマホが鳴っている画面が写っているかどうかでこの錯覚が生じるかどうかが大きく影響します。つまり、視覚でテレビでスマホが鳴っていることを見て、聴覚でスマホが鳴っていることを聞くことでこれらが統合され【テレビでスマホが鳴っている】と認知することが出来ているのです。

このように、単感覚ではわかりにくいことが2つ以上の感覚を知覚し統合することで分かりやすくなることが非常にたくさんあります。このことをリハビリに活かしていくにはどうすれば良いのでしょうか?

感覚を手掛かりと考えてみる

人指し指でテーブルの手触りを確かめてみてください。この時、自分で人指し指を動かして手触りを確かめたと思いますが、指先の触覚だけではなく指が動くことで生じる運動覚も知覚しています。実際に行っていただくと分かりますが、紙の手触りを確かめる時に指を動かすのか、紙を動かすのかで手触りが変わると思います。圧の変化もありますが、運動覚による触覚の変化が生じています。
言い方を変えると、運動覚によって手触りがよりわかりやすくなっていると言えます。実際、自分で指を動かして紙の手触りを確かめた方がより分かりやすくなったのではないでしょうか?このことから、感覚は知覚することの手掛かりになると考えることが出来ます。

臨床において、感覚がわかりにくいと訴える患者さんに対して、1つの感覚を対象として介入していませんか?触れている感じがわからない患者さんに、触覚のみを感覚刺激をして知覚してもらおうとするよりも、運動覚を同時に入力した方が触覚の役割である、物の材質の知覚が出来ることを数えきれないくらい経験してきました。

感覚の評価はまず単感覚から始めていき、2種類の刺激を知覚した時の能力を評価して短角の時と差がないかどうかを見ていくと、患者さんの本当の知覚に関する能力が見えてくるかも知れません。

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感覚の基本中の基本とちょっと豆知識

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 感覚は人が人らしく振る舞う為には、必須な能力です。
運動がどの動物よりも高度であるように見えるのは、道具を使用することが出来る手、2足歩行を可能にしている下肢、そしてそれらの行為を縁の下から支えている体幹の機能が重要なことは言うまでもありません。

 ですが、それらの手・下肢・体幹の高度な行為を遂行する為には、感覚も同様に高度な処理を行えなければなりません。
加えて、感覚は言語との関係が非常に密接で、知覚したものを言語化することで様々なことを認知しています。
そこで今回は、そんな感覚の基本中の基本の部分を簡単に書いた後、感覚がいかに高度なのかの豆知識を書いていきたいと思います。

受容器から知覚まで

 感覚は、体全体のあちらこちらにある様々な種類の刺激に特化した受容器に対し刺激が加わった瞬間から始まります。(知覚は刺激を受容する前の予測から始まります)

  • 視覚:光
  • 聴覚:空気振動
  • 表在感覚:接触、圧、振動、伸張など
  • 深部感覚:筋の伸張

このような具合です。
 さらに、これらの刺激は受容器より後で電気信号に切り替えられ、神経線維を通り脳へ伝達されます。
この脳でも感覚毎に処理される場所が異なっていますね。

  • 視覚:後頭葉
  • 聴覚:側頭葉
  • 表在感覚:頭頂葉
  • 深部感覚:頭頂葉、小脳

これらの脳に刺激が到達するまでに、脳で処理できる状態まで感覚は加工され、脳で処理されていく過程で知覚できるようになります。

 つまり、「目に光が入った!」という状態から、「今何か見ている!」そして、「今見ているのは○○だ!」と脳での処理によって知覚が進んでいきます。
もちろん実際は猛スピードで処理されていて、意識することは出来ませんがイメージするとこんな感じになります。

 感覚の種類によって、どの段階で知覚できるのか(感覚を意識出来るのか)、知覚するためには何が必要なのかなどのプロセスは異なっています。
その為、いわゆる感覚障害における原因は、感覚の種類によっても分けて考えなければなりません。
単純に「感覚麻痺だから」と片付けずに、「どうして感じないんだろう?」を突き詰める姿勢が必要です。

 通常感覚麻痺は、

  • 受容器の損傷
  • 受容器から脳へ伝達する際の障害(神経損傷、シナプスの障害など)
  • 感覚を処理する領域の脳損傷

の3つを指します。
これら以外の原因による感じにくさは、知覚障害と呼ぶことが妥当です。
人の身体の専門家である以上、正確に言葉は使いたいですね。

感覚を知覚し、物事を認知する

 さて、ここまで感覚の基本中の基本を本当に簡単に書いてきましたが、この感覚を非常に高次だと考えている理由を豆知識としてここから書いていきます。

まず【感覚は何のためにあるのか?】から考えていきます。

 感覚の大きな役割は2つあります。

  1. 環境を認知するため
  2. 自分を認知するため

 これら2つは、【地球という環境で生きていくために、行為を遂行する】目的で行われると考えることが出来ます。
つまり、環境と自分を捉え、行為を遂行していくためには感覚は必須であり、最も重要な能力であると言えます。

 スムーズかつ安全に歩くためには、材質や傾斜などの地面の状態を視覚や足底感覚、足関節の深部感覚などから把握し、動いている自分の身体をリアルタイムに知覚した結果から姿勢に昇華しなければなりません。
 このように、感覚は時間的にも空間的にも同時的に発生していて、これらを感覚毎に処理して時に統合し、新しいものを作り出していく必要があります。

個人的には、動く事よりも感じることの方が人間らしさを作り出す要素としては貢献度が高いと思っています。
 その理由はここまで書いてきたような、感覚の役割はもちろん、もう1つ認知という側面からも感覚の重要性が高いことが分かるからです。

知覚と認知と記憶

 感覚は脳に蓄積していきます。
一方運動は、知覚がなければ蓄積することが出来ません。
なぜか?
感覚が無ければ自分が動いたのかどうかすら分からないからです。

記憶によって蓄積された知覚は、いつでも再生できイメージすることが出来ます。
その記憶には運動が含まれており、運動イメージとして再生することも出来ます。

すでに書いた通り、感覚の役割は環境や自分を認知することであり、この認知には記憶が重要になってきます。
今までで見たことがあるのか、感じたことがあるのか、使ったことがあるのか…この記憶に基づいて<今>を知覚することが出来ています。

如何でしょうか?
いかに知覚が大切なのか、また高次なのかが少しでも伝わって頂ければ幸いです。
この知覚が障害されるということはどういうことなのか?
このことをセミナーで話していきたいと思います!

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運動と感覚を分けるのはもうおしまい

運動と感覚を分けて考えるのはもうおしまい

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 リハビリでは一般的に、運動と感覚をそれぞれ分けて評価をして介入していきます。
ですが、人が行為を行う上で運動と感覚はそれぞれ密接な関係にあり、お互いに影響を及ぼし合っています。
その証拠に、運動器官である筋は同時に非常に重要な感覚器官であり、その感覚器官である筋紡錘は正確に感覚を受容するために運動を用いています。(α-γ連環)

 そこで今回は、感覚のおさらいと感覚障害について書いていきたいと思います!

感覚が脱失していたらスムーズに動けますか?

私が学生の頃に行わせていもらった臨床実習で、視床出血の患者さんのリハビリを見学していた時の話です。
その患者さんは、非常にぎこちなく動いていて、歩行においては平行棒を両手でしっかりとつかんで目で足元を確認しながら行っていました。

 その時の私は、「何の疾患なんだろう…?」と疑問に思っていましたが、担当の理学療法士の方が、

「感覚だけに障害があると運動に問題はでないと思う?」

と質問してきました。

つまり、運動麻痺がなく感覚麻痺だけがある場合、その人の行為はどうなるのか?という質問だったのですが、私は普通には動けないだろうなと思う程度でした。
実際見学していた患者さんは、脳画像からも評価からも運動障害はなかったのですが、感覚障害によって行為を思い通りに行うことは出来ていませんでした。
このことがきっかけで、私は運動と感覚の深い関係性について考えるようになりました。

人は動物である以上動きますし、環境に適応する必要がある以上知覚します。
この2つは必然なので、人の身体を対象としているリハビリでは外すことが出来ません。
またそれ以上に、人は知覚するために動き、動くために知覚しています。
つまり、運動するためには知覚できなければならず、行為において知覚は非常に重要な役割を持っています。

評価をしていく時に、要素ごとに評価してその結果を統合し問題点を抽出していく作業は非常に一般的ですが、私はこの方法をとっていません。
この方法をとってしまうと運動と感覚の関係性が見えにくく、実際の患者さんの像と少しずつずれて行ってしまうからです。

 ではどうすれば良いのか?
それは、運動と感覚を同じカテゴリーに入れられるような分析の方法を行えばよいのです。

行為をベースに考えて行く

私は、臨床の目的は運動を改善することでも、感覚を改善することでもないと思っています。
関節が曲がるようになっても、その関節の角度を行為で発揮できなければ意味がないように、動くようになってもまた感じるようになってもその人の生活が良い方向に変化しなければ意味がないからです。
つまり、リハビリの臨床においてよく見て、よく考えなければいけないのはあくまで行為であり動作でなければなりません。

 更に、臨床における介入では、患者さんの得意な部分を使えるような方法で展開されていくことが大切です。
例えば、歩行の時に立脚期が安定していない時、筋力トレーニングをするだけではなく、立脚時の足底の圧感覚を使用した介入も引き出しとして持っておく必要があるということです。

 なぜか?
1つは、運動と感覚が関係しあっていて、立脚期の問題が運動だけではない可能性があるからです。
もう1つは、行為の特性を考えていくと、歩行における立脚期では身体を支えている側の足底に荷重され、体幹の立ち直り反応が出現するなどの特異的な関連がみられます。
この時に、股関節周囲には確かに筋収縮がみられるのですが、これは立脚期の時だけに見られる収縮で、他の姿勢や運動ではこの収縮を再現することは出来ません。

 つまり、歩行という行為において、様々な知覚、反応が生じた中で筋が収縮しているのです。

 この事を考えると、運動という側面のみから介入していくのでは不十分で、感覚/知覚を交え姿勢や反応を考慮した介入が必要になってくることが分かります。
そのために、行為をベースに考えいかにその行為の特性を介入に持ち込めるのか?が勝負になってきます。
このことを前提に、観察から評価、分析までを行っていくためには、運動、感覚というコンポーネントではなく、歩行の時の立脚期に必要な能力と、能力同士の関連性を考える必要が出てきます。
 もうすぐリハビリが日本に入ってきて100年…そろそろ運動と感覚を分けて考えるのをおしまいにしませんか?

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予測なしで動くのは大変…?

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人は運動しながらいろいろなことを感じ、感じるために動いて生きています。
日常生活においても実感できるこのサイクルは、行為を行っていくためにはなくてはならないものです。
例えば、

  • シャンプーがあとどれくらい残っているのかを確かめるためにボトルを持つ
  • ベッドを買うときに、硬さを確かめるために座る
  • タオルの手触りを確かめるために優しく触る

この時、思っていた感じと違っていた時の驚きを誰もが感じたことがあるのではないでしょうか?

  • シャンプーが思っていたより少なくて、軽かった
  • ベッドのマットレスが思っていたより柔らかくて、座ると凄く沈んだ
  • タオルの手触りが思っていたより硬く、手触りが悪かった

このような現象はどうして生じるのでしょうか?
これを知っておくと、人の動きのメカニズムを知っていく上で大切な手掛かりとなります。
今回はこの「予測」について書いていきたいと思います。

視覚からいろいろなことを予測している

人には五感があります。

 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚(体性感覚)の5つですが、人が行為を行う上で最も多くの情報量を脳に提供しているのが「視覚」です。
 <百聞は一見に如かず>という諺があるように、人の視覚に対する信頼度は非常に高いことがうかがえます。

では、人は行為において視覚からどんな情報を得ているのでしょうか?
いくつかの行為で考えて行きたいと思います。

上肢と視覚

1.コップを持つ

 コップなどの物を持つ時には、視覚はどの様な情報を脳に提供しているのでしょうか?

  • 物の同定:これから持つために見ている物が「コップ」だと認識するための情報
  • 物の位置の同定:
    コップがある場所がどこかを認識するための認識。自分から見て正面かどうか?机のどこにあるか?など様々な空間内で認識が必要
  • コップの重さの予測
    今まで持ったことのあるコップなどから今から持つコップの重さを予測することで、どれくらいの力で持ち上げれば良いのかの手掛かりとする。
  • コップの触覚の予測
    コップに触れたときの手触り、硬さ、温度などを予測して、コップを持った時の力加減や触れる面積などの手掛かりとする。

コップを持つ時の視覚の特徴としては、コップを認識して手を伸ばす方を決定するリーチングに関することと、コップを持つことに必要な<予測>をすることにあります。

2.鍵穴に鍵を入れる

  • 鍵穴を認識する:コップの認識と同様
  • 鍵穴の位置と向きを認識:コップの時の位置と同様
  • カギを入れた時、また回したときの感覚の予測
    鍵穴に入っているか、また入れた鍵で合っているかなどの手掛かりに使用されます。

コップの時のような【持つ】動作がないため、何かを持った時の予測はありません。一方で、カギを回したときの感覚の予測がされています。

全身運動と視覚

3.段差昇降する

  • 段差があることを認識する:
    歩行から段差昇降をするための動作に変更する手掛かりに使われます。
  • 段差の位置を認識する:
    今の自分の位置からどれくらい先に段差があるのかを認識します。
  • 段差の高さを認識する:
    どれくらいの高さなのかを手掛かりに、足を上げる高さを予測します。

 段差昇降の時の視覚は、段差に関する情報収集を中心に行われます。
安全にかつスムーズに段差をのぼるために必要な情報を視覚が脳に伝えてくれます。

4.外を歩く

  • 周囲環境の情報収集:
    車などの危険はないか、自分の進む方向はどっちかなど環境の把握を行います。
  • 歩行速度・歩行の自覚:
    周囲で流れていく景色と体性感覚と合わせて、自分がどれくらいの速さで歩いているのか、自分の足で今前に進んでいるといった自覚をします。
  • 路面・床面の形状を認識する:

これから歩くところの形状の上を歩くとどんな感じがするのか、その感じに必要な姿勢の制御は何なのかを予測するために使用されます。

予測で動けるようになると動きはスムーズになる!

4つの行為で視覚の役割を見てきましたが、全ての行為で共通しているのが<予測>です。
この予測は、今までの経験や記憶をもとにされるのが前提で、雪の上を歩いたことがない人と毎年歩いている人では、今から雪の上を歩くときにされる予測は全く異なるのは想像に難しくないと思います。

歩いたことがある人は、ほとんど普通の道を歩くように歩けますし、歩いたことがない人はひっぺり越しで全身に力を入れてへんてこりんな歩き方になります。
これは、雪を歩いた経験から、これから雪の上を歩く!という状況ですでに、踏みしめた感覚などを予測することが出来るからなのです。

 この予測は、初めて行った動作の時は働きにくく、動作が習熟すればするほど出来るようになってきます。
つまり、習熟した動作であればあるほど、予測のみで動けるくらい脳の負担は減っていきます。
学習とのつながりが強いんです。
いわゆるルーティーンに似たような感じかなと考えています。

 人がいかに予測で生きているのか、反対に言えば予測が出来なければ人はスムーズに動く事すら出来ないのかがお分かりいただけたと思います。
この予測がもし違うことに使われていたら…痛みがある人が動く前から痛みを予測したり…脳血管疾患の人が代償運動を予測していたら…。

介入に新しい視点を得られるきっかけになれば幸いです。

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運動と感覚と記憶と学習と

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リハビリを行っていると、患者さんに覚えて欲しいことと出来るようになって欲しいことがあります。
例えば、起き上がる時に麻痺側上肢をお腹の上においてから起き上がって欲しいときに、動作手順を覚えてもらうための介入を行います。

この時、患者さんは

<記憶すれば良いのか?>
<学習すれば良いのか?>

どちらになるのでしょうか?
今回はこの記憶と学習を臨床上しっかりと選択する大切さを書いていきたいと思います。

覚えてもらえないのは、記憶ではなく学習が必要?

最初にも書いたような動作手順を覚えて欲しい時、皆さんはどういった方法で行っていますか?

多くの方は、声掛けによる気付きを与えて覚えてもらう方法を取っているのではないでしょうか。
例えば、麻痺側上肢の管理について教えたあとに起き上がる時、患者さんが麻痺側上肢を忘れていたら、

「〇〇さん、左手忘れていませんか?」

のような感じです。
ですが、麻痺側の感覚障害が重度であったり、無視や失認などの高次脳機能障害がある場合なかなか動作変容が生じないケースがあります。

このような時、声掛けや張り紙などの「記憶」に頼る方法ではなく、体性感覚に基づく運動学習が必要になってきます。

例えば、声掛けだけではなく必ず非麻痺側上肢をセラピストが介助して麻痺側上肢をお腹の上に移動してもらうといった流れになります。
このひと工夫を加えることで、学習が生じやすくなり動作変容がみられてくる方がいらっしゃいます。

体性感覚をどう考えるか

私がまだ学生だった頃の実習で行った病院で、セラピストとして働かれていたPTの方にある質問をされました。

「全く運動に障害がないけれど、感覚が消失している患者さんはどんな風に動くと思う?」

まだ学生だった私は、運動に障害がないなら、感覚が消失していたとしても視覚で代償したりでほぼ普通に動けるのではないか?と。

この運動と感覚の関係性は行為や動作を考えていく上で切っても切り離せない関係です。
動作を洗練していく、エラーに気付く根本は基本的には体性感覚が必須です。
その感覚を、患者さんがどう使うのか?を考えていく事はリハビリテーションにとっては非常に重要であることは間違いありません。

つまり…

感覚に問題ないかどうかの先には、感覚が上手く動作に使われているのか?

を考えていくということです。

みなさんは目で見える動作や運動だけではなく、目に見えない感覚をどう考えていますか?
実は動作から感覚を観察することも出来るんですけどね…。

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運動・動作・行為を使い分ける!!

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

リハビリテーションの専門家として言葉を正しく理解して使用することはとても大切です・
臨床の中ではもちろん、多職種での連携が大切なリハビリではその面においても重要です。
その中でも、

運動・動作・行為

の3つは、なんとなく似ているように見える言葉ですが、実は全く意味が異なっている用語です。
そこで今回は、これら3つを意識的に使い分けることで、頭が整理されてリハビリの臨床がスムーズになったり他職種の方への説明がしやすくなるなど、非常に便利ですのでぜひご参考ください。

運動・動作・行為

まずは簡単に3つの言葉の違いに触れていきたいと思います。リハビリの臨床で頭を整理しやすくする目的で、少し解釈をアレンジしています。

1,運動

<力が作用することで物体が動くこと>
人でいいますと、関節を動かすことからランニングなどまで幅広く運動ということが多いです。
『運動しましょう』のような使われ方です。
ではリハビリの臨床の中ではどう考えれば良いでしょうか?
動作や行為と分けるために、『肘を曲げる』のような【重心の移動を伴わない動き】を運動と理解すると分かりやすいと思います。
リハビリにおいて、この運動の獲得をゴールにすることはまずありません。
観察・分析・評価をしていく過程で、どの運動に問題があるのかを考える時に使用していきます。
立ち上がり獲得を目標にした場合、膝関節の【運動】に問題があると言った具合です。

2,動作

<いくつかの身体部位が同時に運動することで重心移動が生じること>
重心移動が生じるのと同時に支持基底面(身体を支持する外部環境と接している面積)の変化も生じます。
時間軸としては、動き始めてから動き終わるまでを動作としていて、起き上がり動作、立ち上がり動作のように使います。
また行為との使い分けとして、この動作自体には目的を含まないようにしています。

具体的には、何のために起き上がったのか?起き上がって何をしたいのか?などの目的は含まずに、起き上がること自体を動作として指しています。
よって、リハビリの臨床では日常生活の起き上がりは起き上がりそのものが目的とならず、目的を達成するために起き上がるといった思考が大切になります。

3,行為

<目的や意図を持って遂行される、複数の運動や動作が組み合わさったもの>
行為には意図や目的が先行していて、注意機能やバランス能力など様々な機能や能力が同時的に働いていることになります。
リハビリでは、この行為の獲得が目標となります
「動作じゃないの?」と思われた方がもしいらっしゃれば、リハビリの時は出来るのに病棟では出来ない問題を考えてみると分かりやすいと思います。
この問題の重要な点は2つです。
1つは、リハ室と病棟では環境が違うこと。
これは病院と自宅など、いろいろなところで言われているのでなじみ深いかと思います。
もう1つは、リハ室と病棟生活や日常生活では、意図と目的が違うことです。
リハビリの時に行っているのは<動作が目的>であり、病棟生活や日常生活で行うのは<目的を達成するために行われた行為>だということです。
リハビリの時は、動作を獲得するために様々な練習が行われていて、その動作を行うこと、更に言うと練習を行うことが目的になってきます。
患者さんは、自分が<立ち上がってトイレに行きたい>といった意図に基づいて立ち上がるわけではありません。
一方で病棟では、それこそトイレに行くために立ち上がると言った意図があります。
そうなると、リハ室で行っていた動作では不十分で、意図や目的を達成するために行う行為が必要になります。
これらを考えて行くと、リハビリ中にいかに意図や目的を持ちこんで、病棟の時の<行為>を改善するのかが重要になってきます。

どういう場面で使い分ける?

このように見ていくと、それぞれ特徴のある言葉だということがお分かりいただけると思います。
では、実際にこの3つをどう使い分けるのか?
 
結論から言いますと、仮説を立てる時と介入する時です。
患者さんの問題点と出来ている点を、それぞれ運動レベル、動作レベル、行為レベルでみていくことで介入していく対象が明確になるなどメリットがあります。
 
また介入時にも、今行っているプログラムが運動・動作・行為どのレベルを対象に行っているのかを、療法士は整理していくことが大切です。
これは重心移動を含めるのか、注意機能はどうか、意図や目的をイメージする必要はあるかをプログラムに含めるかどうかを考える必要がある為です。
また介入の結果、どの様な変化が生じたのかを細かく見ていく為にも重要なことになります。
 
いかがでしょうか?
いつも何気なく使っている言葉かもしれませんが、すこし意識して使うだけで頭が整理されていくことを実感できると思います。
この考え方を臨床で実際にどう生かしていけば良いのかを知りたい方は、ぜひプロリハ研究サロンにお越しください!
お待ちしております。

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脳は身体をどう動かしている?

お読みいただいている皆さんこんにちは。
本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

人の脳が、どうやって身体を動かしているのかご存知ですか?
【○○筋を動かす】
のように、筋レベルでコントロールしているのか?
それとも
【膝を伸ばす】
のように、関節レベルでコントロールしているのか?
本記事では、この点について書いていきたいと思います。

筋力トレーニングの落とし穴

歩行獲得を目指す整形外科疾患の患者さんでは、骨折をした側の安定性を向上するために、中殿筋の筋力トレーニングがよく行われます。
歩行中の立脚期において、ふらつかないためには中殿筋が重要だと考えられているためです。
これは、リハビリの中では中殿筋の筋力低下が原因と考えられていることが一般的で、介入においても【中殿筋の筋力強化】が行われます。
これは、学校で教育されており重要な視点です。

このようにリハビリにおいて、ある動きが難しい時にその動きを主動する筋に問題があると考えられます。
問題には、筋力不足や運動麻痺などがあり、それぞれ介入方法が分かれてきます。
一見自然な流れの様に見えるこの考え方ですが、ここで1つ疑問が生じます。

目的志向型の脳

最初に書きました通り、身体を目的に沿って動かすためには、脳からの指令が必要です。
よって、目的に応じて指令が変化するとなると、筋力トレーニングの時は筋力トレーニングのための指令、歩行の時は歩行のための指令があることが分かります。

となると…
【筋力強化で得た、中殿筋の筋力は本当に歩行の時に使用されるのか?】
が気になってきます。

これは、簡単に言えば、横向きで寝ている時に、歩行の時と同じように中殿筋に力を入れてみてくださいと言われても、何を言われているのか分からないのではないでしょうか?

繰り返しになりますが、歩行の時の中殿筋の働きは、歩行の時にしか発揮できないという事になります。

これは歩行中の中殿筋に限らず、立ち上がりをスムーズにするために大腿四頭筋を鍛えることは、立ち上がりの時に使用される大腿四頭筋や大殿筋の筋出力を上げるだけでは不十分な可能性が高いのです。

リハビリに一工夫を

ではどうすれば良いのでしょうか?
神経学の父と呼ばれている、ジョン・ヒューリングス・ジャクソンはこう言っています。

脳は筋の事など知らない。
運動を知るだけである。

つまり、
どの筋を動かすか?
ではなく、
どう動こうか?
を脳はコントロールしているということです。

筋力トレーニングを含めた動作によって脳の指令が異なるのであれば、筋力トレーニングの時に鍛えている筋を意識することに加えて、どの動作の時のどの時のためのリハビリなのかを患者さんは知っていた方が効果が出やすくなります。

脳の知識を整形外科疾患の患者さんに活かしていく。
ここにリハビリの個別性があるのかもしれません。

自分だけの臨床を。