錐体路と皮質脊髄路を整理しよう

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営している、理学療法士の唐沢彰太です。

脳や神経の勉強をしていると、錐体路と皮質脊髄路は必ずと言って良いほど耳にする名前です。
ですが、この2つって何が違うの?と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、この錐体路と皮質脊髄路それぞれを簡単に説明し、整理していきたいと思います。

錐体路って…?

まず、錐体路から書いていきたいと思います。
錐体路という言葉は、現在あるような神経に関する知見がまだ少なかった頃からありました。
そのため、いろいろな意味や定義が存在してしまっている特徴があります。

その中でも、

  • 延髄錐体を通る神経束
  • 皮質の錐体細胞を起始として脊髄に投射する神経束の総称

が良く聞く内容かと思います。
つまり錐体路には、いろいろな所から起始している神経の総称になります。

これは、錐体路に含まれている神経の起始部を見ていくと更にいろいろと分かってきます。

錐体路には、

  • 運動前野
  • 補足運動野
  • 帯状皮質運動野
  • 1次感覚野

などが起始となっていることが分かっています。
つまり、運動神経という表現ではなく、運動を遂行することに関与している神経の束であると理解したほうが分かりやすいかと思います。

じゃあ皮質脊髄路って…?

では皮質脊髄路とはなんなのでしょうか?

皮質脊髄路は、「大脳皮質から始まるニューロンが頭蓋外に出るまで、どこにもニューロンを乗り換えないで直接脊髄に向かう線維束の総称」です。
つまり、皮質と脊髄を結んでいる神経です。

この皮質脊髄路は、

  1. 途中で介在ニューロンとシナプスを持つタイプ
  2. 直接脊髄の運動ニューロンに投射しているタイプ

とあります。
これは、脳の指令が

  1. 途中で調整される情報
  2. ダイレクトに伝わる情報

の2種類があるということになります。

これは脳卒中の回復過程に大きく影響しています。
このことを知っていると予後予測を自信を持ってできるんです。(詳細はサロンで…)

結局錐体路と皮質脊髄路って…?

ここまで書いてきてもふわっとしていますね。

結論です。
錐体路は「どこを通っている神経束なのか」
皮質脊髄路は「どことどこを繋いでいる神経なのか」
と、分類のカテゴリーが実は異なっています。

錐体路の多くが皮質脊髄路であるため、

錐体路=皮質脊髄路

と表現されることもしばしばですが、細かくいうと上に書いた通り違いますよね。

目の前の患者さんの状態を、医学的に説明する能力はセラピストには大切です。
そのためには、このような何気ない疑問をとことんつき詰めて考えて行くプロセスが大切です。

一味違うリハビリを。

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脳は身体をどう動かしている?

お読みいただいている皆さんこんにちは。
本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

人の脳が、どうやって身体を動かしているのかご存知ですか?
【○○筋を動かす】
のように、筋レベルでコントロールしているのか?
それとも
【膝を伸ばす】
のように、関節レベルでコントロールしているのか?
本記事では、この点について書いていきたいと思います。

筋力トレーニングの落とし穴

歩行獲得を目指す整形外科疾患の患者さんでは、骨折をした側の安定性を向上するために、中殿筋の筋力トレーニングがよく行われます。
歩行中の立脚期において、ふらつかないためには中殿筋が重要だと考えられているためです。
これは、リハビリの中では中殿筋の筋力低下が原因と考えられていることが一般的で、介入においても【中殿筋の筋力強化】が行われます。
これは、学校で教育されており重要な視点です。

このようにリハビリにおいて、ある動きが難しい時にその動きを主動する筋に問題があると考えられます。
問題には、筋力不足や運動麻痺などがあり、それぞれ介入方法が分かれてきます。
一見自然な流れの様に見えるこの考え方ですが、ここで1つ疑問が生じます。

目的志向型の脳

最初に書きました通り、身体を目的に沿って動かすためには、脳からの指令が必要です。
よって、目的に応じて指令が変化するとなると、筋力トレーニングの時は筋力トレーニングのための指令、歩行の時は歩行のための指令があることが分かります。

となると…
【筋力強化で得た、中殿筋の筋力は本当に歩行の時に使用されるのか?】
が気になってきます。

これは、簡単に言えば、横向きで寝ている時に、歩行の時と同じように中殿筋に力を入れてみてくださいと言われても、何を言われているのか分からないのではないでしょうか?

繰り返しになりますが、歩行の時の中殿筋の働きは、歩行の時にしか発揮できないという事になります。

これは歩行中の中殿筋に限らず、立ち上がりをスムーズにするために大腿四頭筋を鍛えることは、立ち上がりの時に使用される大腿四頭筋や大殿筋の筋出力を上げるだけでは不十分な可能性が高いのです。

リハビリに一工夫を

ではどうすれば良いのでしょうか?
神経学の父と呼ばれている、ジョン・ヒューリングス・ジャクソンはこう言っています。

脳は筋の事など知らない。
運動を知るだけである。

つまり、
どの筋を動かすか?
ではなく、
どう動こうか?
を脳はコントロールしているということです。

筋力トレーニングを含めた動作によって脳の指令が異なるのであれば、筋力トレーニングの時に鍛えている筋を意識することに加えて、どの動作の時のどの時のためのリハビリなのかを患者さんは知っていた方が効果が出やすくなります。

脳の知識を整形外科疾患の患者さんに活かしていく。
ここにリハビリの個別性があるのかもしれません。

自分だけの臨床を。

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