学習と再学習からリハビリを考える

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
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リハビリテーションにおいて、学習はかかせません。

「○○が出来るようになる」

時には、学習が大きく関与しています。

ですが、リハビリにおける学習はそのほとんどが【再学習】によって行われます。
つまり、1度学習したことを再度学習することがほとんどです。

起き上がりや立ち上がりなどの基本動作は、脳卒中などを発症する前は無意識で行われていた動作です。
これらの動作をもう1度出来るようにするのがリハビリの目的になってきます。

この様にリハビリは再学習であることを意識して介入することは大切なのでしょうか?
今回はこの学習と再学習について書いていきます。

1度出来ていたことのメリットとデメリット

経験したことがないことが出来るようになる学習と、1度で来ていたことの再学習とでは何が違うのでしょうか?
学習にはいくつかの理論があり、学習自体の方法も様々です。
報酬を得るために、予測と結果にもとづいて洗練化していく過程をもつ学習は、今までの経験から様々な試行錯誤を行っていきます。

では再学習はどうでしょうか?
例えば立ち上がりを獲得したい時に、発症前の立ち上がりの記憶は役に立つのでしょうか?
答えはイエスです。
脳が損傷し、運動や感覚が発症前と異なっているとは言え、身体の構造などは発症前と当然変わらず、立ち上がりに必要な手順などの大切なポイントは変わりません。
つまり、発症前にどうやって立ち上がっていたのかを参考に、今の脳でどうやったら立ち上がれるのかを考えることは、再学習においてとても大切になってきます。

ですが、発症前と「同じように」立とうとすると、内反や反射などの異常な反応が出現してしまうため、今の脳で身体を認識出来ていることが重要です。

脳卒中における学習の落とし穴

先ほど書いた通り、学習にはいくつかの理論があります。
これらを参考に、リハビリを組み立てていくことは非常に重要です。
ですが、ここで1つ重要なことが見落とされてしまうことが多々あります。
それは…

【リハビリは病気を患ってしまった方を対象としていること】

 どういうことでしょうか?
つまり、学習理論がそのまま使用出来ない人が多くいるということです。

例えば、学習は今よりも効率よく出来るようになることが大切ですが、脳卒中などの疾患では効率よく出来るようになるではなく、動作をどんな方法でも出来るようになることが目的とされることがあります。

その代表例が分回し歩行です。
股関節や膝関節が上手く動かせず、歩行の時に下肢を振り出せない時に骨盤から動かすことで振り出しを行おうとします。
これは非常に効率が悪いはずですが、学習され定着していきます。

 このように、効率面ではなく動作を何とかして行うことが目的となってしまうのです。

このことに加え、脳に疾患をお持ちの方は、学習そのものが健常者とは異なる方法で行われる可能性があることを考えなければなりません。

  • この患者さんはどうやって学習していくのだろう?
  • 何が手掛かりなんだろう?

と考えて患者さんの解釈をしていくことが大切です。

 論文や知見をそのまま取り入れるだけではなく、患者さんのリハビリの参考にするという意識も大切です。

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骨折後のリハビリの違和感

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法士の唐沢彰太です。
この挨拶恒例になっておりますが、何かキャッチフレーズを作りたい今日この頃です。

さて、今回は骨折後のリハビリについての「違和感」についてです。
この違和感は、遡ること12年。
実習先でのアドバイスから始まりました。

骨折したら杖が必須?

ある急性期で実習をしていた私は、大腿骨頸部骨折OPE後の患者さんをバイザーの方とみさせていただきました。
その患者さんにおいて、リハビリの目標を立てていく時のことです。
私は、その患者さんは骨折前はすたすたと歩かれていたため、リハビリも病前と同様の歩行を目指すための目標を設定しました。
ですが、症例検討会の時にある理学療法士の方より、

「頸部骨折の方の歩行の目標は、1段階下の歩行様態を目標にリハビリを行う

とアドバイスをもらいました。
つまり、簡単に言いますと、大腿骨頸部骨折(太ももの太い骨の最も細く折れやすい部分の骨折)の前は独歩だった人は杖が必要になるということです。

実際、論文にもこのような内容が書かれているものもあり、学生だった私は違和感がありながらもその目標に設定し、プログラムを立てていきました。

前に書いた通りその方は、骨折前は杖などを使用せず、歩行は自立されており、私としては再度補助具なしでの歩行獲得を目指すものだと考えていました。
ですが、アドバイス頂いた内容は一段階下げた目標でした。

もちろん、再転倒のリスクを出来るだけ下げることは大切であり、杖などの補助具を使用することも理解できます。
ですが…。
この違和感は、実際に現場に出てからもなかなか消えませんでした。

リハビリの目標はその人の目標!

正直今でもこの疑問は解決できていません。
エビデンスと固有性の間でさまよっている感覚です。

医療にはエビデンス(根拠)が求められる昨今、リハビリも例外ではありません。
その中で、様々な物事を一般化していく事は非常に重要なのだと思います。

ですが、他のブログや記事でも書いている通り、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、疾患に対してリハビリを行っているわけではなく、その人自身とリハビリを行っています。
この様な中で、一般化し精度を上げ、質を上げていける分野とどうしても患者さん個人を抜いて考えていくことが出来ない分野があると思っています。

その代表が目標ではないでしょうか。

患者さんをしっかりと評価して、機能や能力レベルを正しく把握した上で、論文などの知見を取り入れていく。
今回の患者さんで言えば、なぜ杖が必要になるのかを論文などの視点と、その患者さんの視点双方から説明していかなければなりません。
論文に書いてあるから…その知見に目の前の患者さんはいません。

エビデンスベースの考え方は絶対に必要です。
ですが、知見や情報は使い方が非常に大切です。

患者さんの可能性を最大限引き出していくためにはどうすれば良いのか?
その答えは、患者さんとリハビリをしている療法士が導き出さなければなりません。
骨折する前より能力が上がる患者さんを私はたくさん見てきました。
どうすればそうなれるのか?
ここを話し合うことが必要です。
未来を見据えた話し合いを。

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痛みをもつ患者さんとのかかわり方

お読みいただいている皆さんこんにちは。本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。

理学療法士や作業療法士では、痛みを持つ方とリハビリを行う機会は非常に多く、患者さんは痛みに悩まされています。
今回はそのような痛みを抱える患者さんとのかかわりかたについて書いていきます。

『痛み』とは?

理学療法士や作業療法士では、痛みを持つ方とリハビリを行う機会は非常に多く、患者さんは痛みに悩まされているます。
整形外科疾患、慢性疼痛、脳卒中後の痛みなど、痛みの原因や種類は多岐に渡っていて、それぞれリハビリの方法も異なっています。

【痛みとは情動体験である】

と国際疼痛学会では定義されていて、触れている・動いているなどの感覚とは異なっていることが重要視されています。
痛みを感じると、通常の感覚と同じ脳領域に加えて、情動に関する脳領域が活動することが報告されています。
つまり、<痛い>と感じたことと同時に、<嫌だな>と思うことになります。
これは、痛みにもいろいろなものがあり【いた気持ちい】という非常に絶妙な感じがあることも、情動が関わっている証拠になります。

痛みは大きく2つに分けることが出来ます。

  1. 原因の明確な急性疼痛
  2. 原因が不明確な慢性疼痛

です。
痛みが発症してからの期間で分けられていると勘違いされがちですが、原因が明確かどうかで分類がされています。

このように、原因や種類が様々であり、情動が関係している痛みは、リハビリにおいてとても難しい症状の1つです。
では、リハビリテーションの中で、痛みを持つ患者さんとはどのように関わっていけば良いのでしょうか?
本記事では、治療よりも関わり方にフォーカスしていきたいと思います。

 コミュニケーションの大切さ

痛みは個人的な経験です。
今患者さんが感じているその痛みは、本質的には感じている<その人>にしか分かりません。
どれほど知識を持っている人でも、他者である限り療法士には理解できない部分があるのが痛みです。

例えば、
○○の様な痛み
と患者さんが表現した痛みだとしても、100%理解し共感する事は出来ません。
「あんな感じの痛みなのかな」
想像し、抽象的な理解にとどまります。
これは、痛みが情動【経験】であることが関係しています。
「○○のような」という表現には、その人の経験が含まれていて、他者と共有できないことを含んでいます。
このことからも、この表現は経験的と言え、理解することには限界があります。

これらに対して、
ズキズキ、ヒリヒリ、ジンジン
など、感覚的な比喩で表現される痛みに関しては、<言語>という感覚レベルでの共通ツールを用いいていることで、経験的な表現よりは理解しやすくなっています。
療法士は、患者さんの痛みの表現方法がたくさんあることをまず知る必要があります。

  • 患者さんがどの表現で説明しているのか
  • 療法士側は、患者さんにどの表現で説明して欲しいのか

などをリハビリの中で明確にして、患者さんと関わっていく必要があります。
これは、コミュニケーションの基本となります。

痛みと真摯に向きう姿勢

このように、患者さんが話していただいた痛みに関することは、コミュニケーションにおいて非常に大切になってきます。
ですが、その時に注意しなければならないのが、「共感」です。
痛みがあくまで個人的な経験であることはすでに書きましたが、その経験に含まれた【辛さ】などのネガティブな情動は、

「自分にしか分からない」

と考えている患者さんも少なくありません。
もちろん、理解して欲しいと思う患者さんも多くいらっしゃいますが、その為には患者さんとの信頼関係を築くことが必要になります。

個人的な経験であるがゆえに、

「どうせわからないでしょ…」

と患者さんに思わせてしまっては、リハビリは上手くいきませんし、信頼関係は到底築けません。
つねに、相手がどんな内容でも話してもらえるような雰囲気や関係性を構築し、時に教育的に介入していく事が求められます。

この様に、少し考えただけでも療法士側の姿勢が非常に大切なことが分かります。
療法士が<唯一の理解者>となるケースもあるくらい、患者さんにとってリハビリはとても大切です。
我々療法士は、患者さんを知りたい、いろいろ教えて欲しいという姿勢で日々関わっていくことが求められています。

おわりに

本サロンでは、幅広い知識の提供や、実践的な思考方法などをみんなで向上していっています。

  • 患者さんの一人称をリハビリに活かしていく方法に興味のある方
  • コミュニケーションスキルから学びたい方
  • 臨床に新しい切り口を作りたい方

これらに1つでも当てはまる方、これら以外でもいろいろな人が一緒に勉強できる環境です。
ぜひオンラインサロンで一緒に勉強して、切磋琢磨していきましょう。

FAQもご参考ください。

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