学習と再学習からリハビリを考える

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

リハビリテーションにおいて、学習はかかせません。

「○○が出来るようになる」

時には、学習が大きく関与しています。

ですが、リハビリにおける学習はそのほとんどが【再学習】によって行われます。
つまり、1度学習したことを再度学習することがほとんどです。

起き上がりや立ち上がりなどの基本動作は、脳卒中などを発症する前は無意識で行われていた動作です。
これらの動作をもう1度出来るようにするのがリハビリの目的になってきます。

この様にリハビリは再学習であることを意識して介入することは大切なのでしょうか?
今回はこの学習と再学習について書いていきます。

1度出来ていたことのメリットとデメリット

経験したことがないことが出来るようになる学習と、1度で来ていたことの再学習とでは何が違うのでしょうか?
学習にはいくつかの理論があり、学習自体の方法も様々です。
報酬を得るために、予測と結果にもとづいて洗練化していく過程をもつ学習は、今までの経験から様々な試行錯誤を行っていきます。

では再学習はどうでしょうか?
例えば立ち上がりを獲得したい時に、発症前の立ち上がりの記憶は役に立つのでしょうか?
答えはイエスです。
脳が損傷し、運動や感覚が発症前と異なっているとは言え、身体の構造などは発症前と当然変わらず、立ち上がりに必要な手順などの大切なポイントは変わりません。
つまり、発症前にどうやって立ち上がっていたのかを参考に、今の脳でどうやったら立ち上がれるのかを考えることは、再学習においてとても大切になってきます。

ですが、発症前と「同じように」立とうとすると、内反や反射などの異常な反応が出現してしまうため、今の脳で身体を認識出来ていることが重要です。

脳卒中における学習の落とし穴

先ほど書いた通り、学習にはいくつかの理論があります。
これらを参考に、リハビリを組み立てていくことは非常に重要です。
ですが、ここで1つ重要なことが見落とされてしまうことが多々あります。
それは…

【リハビリは病気を患ってしまった方を対象としていること】

 どういうことでしょうか?
つまり、学習理論がそのまま使用出来ない人が多くいるということです。

例えば、学習は今よりも効率よく出来るようになることが大切ですが、脳卒中などの疾患では効率よく出来るようになるではなく、動作をどんな方法でも出来るようになることが目的とされることがあります。

その代表例が分回し歩行です。
股関節や膝関節が上手く動かせず、歩行の時に下肢を振り出せない時に骨盤から動かすことで振り出しを行おうとします。
これは非常に効率が悪いはずですが、学習され定着していきます。

 このように、効率面ではなく動作を何とかして行うことが目的となってしまうのです。

このことに加え、脳に疾患をお持ちの方は、学習そのものが健常者とは異なる方法で行われる可能性があることを考えなければなりません。

  • この患者さんはどうやって学習していくのだろう?
  • 何が手掛かりなんだろう?

と考えて患者さんの解釈をしていくことが大切です。

 論文や知見をそのまま取り入れるだけではなく、患者さんのリハビリの参考にするという意識も大切です。

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臨床で試行錯誤していきたい人のために

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リハビリの臨床では、目の前の患者さんに最適の介入を見つけるために試行錯誤を繰り返していく必要があります。
試行錯誤していくためには、仮説を立て、検証していかなければなりません。

そこで今回は、リハビリの臨床における試行錯誤の方法を、仮説を立てること、その仮説を検証することを中心に書いていきたいと思います。

仮説には、【疑問】と【情報】が必要

さて、臨床にはある程度流れが定まっているかと思います。
例えば、

  1. 事前情報の収集
  2. 動作分析
  3. 問題点の抽出
  4. 介入

のような感じです。

 学生の頃に頑張って行ったたくさんの評価や問題点の抽出を、実際の臨床の中で行うのは時間的にも難しく、絞らざるを得ないのは言うまでもありません。
そうすると、1~4の流れで臨床を展開していくことが多くなってくるという事です。

 ですが、この流れでは試行錯誤を十分に行うことが難しく、特に【仮説を立てる】ことを行う機会が少なくなってしまいます。 

この仮説を立てるためには、以下の2つが重要です。

  • 疑問
  • 情報

セラピストが感じた【疑問】の原因を、様々な【情報】を元に予測する作業が仮説を立てるプロセスになります。
 つまり、この2つのことを臨床に丁寧に組み込んでいくことが必須で、それぞれの方法を知っておく必要があります。
 ここでいう仮説は、「○○かなぁ?」という状態です。
「手の触れてる感じが分からないのは、手に注意を喚起するのがむずかしいからかなぁ」
「歩行の時に、左の危険を見落とすのは右側に注意が偏っているからかなぁ」
 こんな感じで仮説を立てる作業が重要になります。

 ここまでを考慮すると試行錯誤するための臨床の流れは次のようになります。

  1. 事前情報の収集
  2. 観察(動作、行為、日常生活など)
  3. 評価・検査
  4. 分析(統合と解釈)
  5. 介入
  6. 効果検証+観察
  7. 2へもどる

 このサイクルを回していくことが試行錯誤に繋がります。
では次に、検証について書いていきます。

仮説が合っているかを検証するための介入と予測

検証は、感じた疑問の原因を知識や知見などの情報を元に考えた仮説が正しいのかどうか、もし間違えていたなら次はどんな可能性があるのか?を考える作業です。
 この検証を行う為には、次の3つが必要です。

  • 仮説
  • 介入の方法
  • 結果予測

 検証を行うと、結果が出ます。
例えば、先ほど書いた例の「手の知覚が難しいのは手に注意を向けられないから」という仮説に対して、注意に関する介入を行います。
すると、その介入の結果から注意が手に向けられるのかどうかがわかります。

 ここで大切なのは、

  • 検証のための介入の手段を知っている(手に注意が向けられるかどうかがわかる介入の方法を知っているか)
  • 介入の結果がどうなれば、仮説が立証されるかが分かっている

 これらにプラスして、仮説が正しかった時に本介入の方法を知っているかも臨床では重要になります。

 この様に、疑問を具体化して、それを確かめて患者さんの可能性をどんどん高めていくプロセスが試行錯誤です。

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動作分析が苦手なのは○○が原因?

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患者さんの動作を改善することを目標とするリハビリテーションでは、患者さんが今どう動いているのか?を分析することはとても大切です。
ですが、私が今まで出会った理学療法士や作業療法士(PT/OT)の方々には、この動作を分析することが苦手な人が多かったんです。

その人たちの話を聞いていく中で、いくつか共通点があったことに気付きました。
今回は、その共通点と解決策を書いていきたいと思います!!

動作分析ってなにすれば良いの?

私が学生だった頃、臨床実習で担当させていただいた症例の方の基本動作(寝返り、起き上がり、立ち上がり)と歩行の分析をレポートに書いている時でした。

「動作観察と動作分析があって、動作分析では何を書いたら良いんだろう…」

そうなんです。
結局何を書いたら良いのか分からないんです。
観察との違いも微妙ですし、評価結果をどう分析にいかしたらよいのかもわからない。
しかも、実際に臨床現場に出ると、学生の頃すべてを網羅するように行っていた評価も「トップダウン」という名目で行わなくなってますますわからない…。
こういった経緯があって、動作分析が苦手になっていく人がたくさんいます。
仕方がないことなんですね。

では、動作分析は何をすれば良いのか?
それは…

【仮説を立てる!!】

これに尽きます。
リハビリの臨床現場では、まず動作観察と動作分析から行われます。
(観察と分析の違いはサロン内で話しているので興味のある方は是非1度入会してみてください!)
これら観察と分析から得られた情報を元に、評価と介入プログラムを考えて行く流れになります。

つまり、動作観察と分析で【何をみるのか】、さらに【何を考えるのか】によって評価と介入が左右されてくるということです。
具体的にどんな仮説を立てていくのか考えて行きます。

仮説を立てて検証し【知恵】にしていく

動作観察と動作分析それぞれどんなことをみて考えて行けば良いのか?

  1. 動作観察
    【どんな特徴のあるうごきなのか?】
  2. 動作分析
    【どうしてこんな特徴の動き方なのか?】

となります。
まず観察で全体像をつかみ、分析でその原因を考えて行く流れです。

ですが、ここで気を付けなければならないのは、

<動作分析で考えた原因はまだ仮説でしかない>

ということです。
例えば、大腿骨頸部骨折の患者さんが骨折側に荷重しないように立ち上がっている時、<痛みが原因>だと考えたとします。
ですが、これはまだ確証はなく仮説でしかありません。
この動作分析から考えた仮説を元に、評価を実施していく形になります。
例えば、痛みの検査、立位での骨折側への荷重のやり方の分析と痛みの度合いなどをみていきます。
これらの結果から、分析で立てた仮説の<痛みが原因>が確からしいかどうかを更に考え、プログラムを考えます。

このように、分析で考えた原因は仮説なんだ!ということを念頭に置いて評価を進めていくことが大切です。

まとめます。
動作分析では、答えを出す必要はありません。
自分なりの考え=仮説を持って評価・仮説に進んでいくプロセスの1つが動作分析です。

この仮説→検証を繰り返していくことで、経験を積み重ねて<知恵>として貯めていくことが大切です。

動作分析が苦手なあなた。
答えを出そうとしていませんか?
焦らず丁寧に組み立てていくことを大切にしてみてください。

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筋力ってリハビリではどうすれば良いの?

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人が動くためには、関節が動かなければなりません。
その関節が動くためには、筋肉が収縮する必要があります。
筋収縮のパワーを筋力といいますが、筋力を決定する要素には様々なものがあります。

今回は、その筋力がどのように決定され、どう向上していけば良いのかを臨床にそくした形で書いていきたいと思います!

筋力を決める要素

~マクロからミクロまで~

筋は、神経によって活動します。
この神経は大きく分けて2つあります。

  1. 脳から脊髄についている運動神経
  2. 脊髄から筋についている神経

です。
これらが正確に働くことで、目的に合った運動を行うことが出来ます。

これらの筋収縮に関わる神経ですが、発火様式(神経の活動方法)によって筋出力を決定しています。

詳細は専門書(生理学)を参考にして頂きたいですが、この発火様式は3つあり、

  1. リクルートメント
  2. シンクロナイゼーション
  3. レートコーディング

になります。
発火させる運動単位をコントロールしたり、発火の頻度をコントロールしたりと、様々な方法になっています。

またこれらとは別に、筋出力は目的に応じてコントロールされています。
例えば、食パンを持つときの力とフランスパンを持つときの力では、食パンの方が優しく繊細にもつことが求められます。
つまり、視覚によってこれから何に働きかけるのかを認識することで、力をある程度決定していることになります。

このように、今から行う動作/行為に必要な力は、脳と脊髄のコンビネーションによって決定づけられています。

リハビリでの筋力の考え方

ここまで書いてきた通り、筋力はいろいろな要素で決定されています。
では、リハビリではどのように介入していけば良いのでしょうか?

リハビリにおいては、まず【何のために筋力を向上する必要があるのか】を明確にする必要があります。
「○○骨折だから中殿筋を鍛える」
「立ち上がれるようになるために膝伸筋群を鍛える」
これでは、単純な筋力トレーニングになってしまいます。

  • 筋出力なのか
  • 筋持久力なのか

また、

  • どの動作の時の筋出力なのか
  • どの感覚とセットで訓練しなければならないのか

これらは最低でも明確にし、患者さんと共有しておく必要があります。
この辺の詳細はこちらをご参考ください→脳は体をどう動かしてる?

筋力を鍛えるトレーニングには、正しい動きを学習する目的も含まれます。
ぜひ試してみてください

 

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関節を動かす時の触れ方と動かし方

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本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

病院や施設などの現場で働かれている皆さんは、関節可動域訓練(Range of motion exercise:以下ROMex)を行われていると思います。
このROMexですが、実はものすごく技術が必要なこと知っていますか?
自分が計測した角度より、先輩が行った角度の方が10度も大きかったなどの経験はありますでしょうか。

今回は、そんなROMexについて書いていきたいと思います。

その触れ方・動かし方で大丈夫??

人の体に200以上ある関節は、1つ1つ形や大きさが異なっています。
それは体重を支える、細かな作業を行うなど目的が異なっていることが大きく影響しています。
また、関節をまたいでいる筋も関節の動きに大きな影響を与えています。
例えば、肩関節と股関節はどちらも球関節で、多軸に動ける特徴を持っていますが、股関節は荷重の役割を持っており、肩関節は股関節よりも不安定ですが大きな可動域を持っています。

これらを考えると、同じ関節の構造(球関節、蝶番関節、らせん関節など)をしていても、関節構成要素(腱板など)によって全く異なる関節であり、加えて筋によってさらに複雑な構造を持っていることが分かります。

これらすべてを頭に入れて患者さんの体に触れて、動かさなければ関節を痛めたり、緊張が入ってしまったりとネガティブなことが起こりえます。

学生の頃、骨標本を見ながら学生同士で関節を動かした記憶があるのではないでしょうか。
もっとも基本的なところは、動いている時の骨同士の位置関係です。

滑りと転がりです。

どっちの骨が固定されて、どっちの骨が動いているのか?
その動きの中で、滑りと転がりは適切か?
これらを動かしながら考えなければいけません。

これらに加えて、筋の伸張性によって関節の軸がズレていないか?
抵抗を感じないか?
も考えなければなりません。

そうなんです。
患者さんの体を「動かす」時には、同時に「感じる」必要があるのです。

動かすための触れ方と動かし方。
感じるための触れ方と動かし方。

これら2つは文字にすると似ていますが、実際にやられてみるとやられている側の感じ方が全く違います。

皆さんは、何のために触れて動かしていますか?

1cm違うだけでこんなに変わる

関節の中でも、肩関節と股関節については動かし方が本当に難しいです。
肩関節は肩甲骨、股関節は骨盤が関与しており、肩関節に至っては関与する関節が5つ以上あります。

こんな難しい関節ですが、少しポイントをおさえるとものすごく動かし方が上手くなります。
股関節では、背臥位で股関節を屈曲する時に、動き始めに骨盤が後傾し始める方がほとんどです。
ですが、股関節の内外転、内外旋の角度をミリ単位で変化させて屈曲すると骨盤が後傾しないポジションがあります。
ここのポジションから股関節を屈曲すると、たった1回の屈曲で股関節が見違えます。
(文字にすると難しいですね(笑))

股関節にポイントがあるように、全関節にポイントが存在します。
これらを知っていると、関節可動域訓練が楽しくてしようがないプログラムになります。

もちろんこの後学習を考慮した介入は必須ですが、まずは患者さんの心をつかむテクニックとして覚えてみてはいかがでしょうか?

プロリハ研究サロンでは、このような技術もお教えしています!!

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私が思考の道筋を言語化する理由~ロジカルシンキング~

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営している、理学療法士の唐沢彰太です。

皆さんは、
「ロジカルシンキング」
って聞いたことありますか?

和訳では、「論理的思考」と言いますが、良く引き合いに出されるのは、演繹法と帰納法です。
学生の頃、哲学などの授業で聞いたことがあると思いますが、その内容まで覚えているかと言われると…。

そこで!今回は、私が臨床で実践しているロジカルシンキングについて書いていきたいと思います!

ロジックとは道筋である

ロジックと聞くとなんとなく敬遠しがちですが、簡単に言えば道筋です。
どうしてその結論に至ったのか?
その結論までの道筋を言葉で表したものがロジックです。

学生の時の症例発表や先輩との臨床に関するディスカッション、後輩に質問された時の回答など、実は様々な場面で知らず知らずのうちに活用していると思います。
具体的に言うと、観察から分析をして問題点を抽出、その問題点と動作の関係を考えて介入を決定していく。
この流れの中で、

  • どうしてそこに着目したのか?
  • どうしてそこが問題だと思ったのか?
  • 動作とその問題点がどうしてつながっていると思ったのか?
  • その介入にした理由は何か?

など、いくつかの点で言葉で説明しなければならない点が存在します。
つまり、自分の思考を時間軸に沿って説明していくことこそが、ロジカルシンキングに直結します。

なぜロジックが大切なのか?

ここまでで、ロジカルシンキングがリハビリの臨床ととても近いところにあること、ロジカルが道筋であることが少しお分かりいただけたと思います。

ではここで、
なぜロジックが大切なのか?
について触れていきたいと思います。
ここでは大きく3つについて書いていきます。

1,エビデンスベースの臨床が求められている

効果が不確かな中、職人技のように行われてきたリハビリですが、医学の領域と同様にエビデンスが求められてきています。
つまり、行っている介入が妥当かどうかですね。
この風潮の中で、「なんとなく」という雰囲気で様々な決定が行われやすい臨床は生き残れない可能性が出てきています。

どうしてそこが問題なのか?…先輩が言っていたから。
どうしてその介入をしたのか?…本に書いてあったから。

これではダメということです。自分の言葉で、そう考えた道筋を表し、それが何かしらに基づいていなければならないのです。
そのためには、臨床にロジックを持ち込んでいく必要があるということです。

2,患者さん・利用者さんへの説明と能動的なリハビリ

私が今勤務している保険外リハビリの領域では、利用者さんの今の身体状況や高次脳機能障害など、様々なことについて本人に説明していきます。
モチベーションが高く、本人が知りたがっているからというのはもちろんありますが、理由はもう1つあります。

保険外では期限がなく、本人が通い続けられれば半永久的に通うことが出来ます。
だからこそ、リハビリからの卒業について本人と丁寧に話していく必要があります。
そのためには、自分で問題と向き合い解決していく力が必要です。

この能力を獲得していくためには、自分の身体や行為を出来るだけ正確に知り、捉えられなければなりません。
このことを手助けするためにも、患者さんに出来るだけわかりやすく、私たちセラピストの考えを伝えていく能力が必要です。

そのツールとして、ロジカルシンキングが役に立ってきます。

3,他セラピストとのディスカッションツール

自分が休みの時に代わりにリハビリに入ってもらう時や、先輩への質問、後輩からの相談への回答など、セラピストへ説明する機会は多くあります。
その中で、このロジカルシンキングはとても役に立ちます。

それだけではありません。
自分の思考をまとめることは、アウトプットにもなり、自分の成長にも直結します。

臨床でロジカルシンキングを実践していくために

このように、リハビリの臨床の中でロジカルシンキングを実践していくことは、多くのメリットを生み出します。

実際どういう感じなのか?
どうやっていったら良いのか?

など素朴な疑問が出てくると思います。
私のblogを読んでいただけると、ロジカルシンキングの雰囲気がむんむん出ているので感じていただけるかと思います。

実際にみてみたい!
という方は、是非ご連絡ください。
症例発表が一番わかりやすいと思いますのでご招待いたします!!

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失行症を<見抜く>観察を

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法士の唐沢彰太です。

脳卒中後の後遺症の1つである【高次脳機能障害】には、皆さんからよくいただく問題点があります。
それは、高次脳機能障害の検査は主に机上で行われるため、実際の動作や行為との関係性が理解しにくいことです。

例えば、机上検査では問題がなかったのに、病棟や自宅での生活場面になると注意障害の影響がみられるなどがあります。
反対に、机上検査では問題が見られたのに、日常生活場面では影響がみられない場合もあり、この時はリハビリとして介入する必要があるかどうかも考えなければなりません。

今回は、この高次脳機能障害の中でも特に観察から感知することや、実動作との関係が難しい【失行症】について書いていきます。

失行症って難しい…?

<失行症>って聞くと、皆さんどんなイメージでしょうか?
私が学校で習った失行症で記憶に残っているのは、手で狐を作ってマネしてもらう検査だけでした…。(お恥ずかしい)
セラピストとして働き始めてから、高次脳機能障害について勉強し始めましたが、失行症に関しては検査はもちろん、介入が難しくなかなか臨床に持ち込めずにいました。

これは皆さん同じなのではないでしょうか?

最近では、失行症に関する書籍や論文が急増している事もあり、私が新人だった頃よりも理解を深めやすい環境かもしれません。
ですが、いまだに介入は確立されておらず、検査と実行為、介入と実行為の距離はあまり縮まっていません。

これは以下の3つの原因があります。

  1. 机上での検査がメイン
  2. 簡易的に行える検査の「模倣」と実行為との関係の情報が著しく少ない
  3. 介入方法が明確ではなく、検査をしても臨床で訓練として実施しにくい

1は失行症に限らずですが、冒頭で書いた通り高次脳機能障害の検査が机上で行われることが多いため、実行為との差が生じることです。
この事については、近日中に別記事で書いていきますのでそちらをご参考ください。

2は、私が学校で習った記憶のある、狐をマネしてもらうなどの【模倣検査】についてになります。
この模倣検査は、失行症の検査で最も簡易的に行える検査で、私も臨床の中でスクリーニングとして使用することが多いです。
ですが、この模倣検査にも落とし穴があります。
それは、模倣が出来ない原因を考えなければ意味がないということです。
この模倣検査を行い、何かしらのエラーが見られた時、【どうしてそのエラーがみられたのか】の原因を考えます。
その原因が、実行為におけるエラーの原因と関係性があれば介入の対象になっていきます。
つまり、

  • 模倣でのエラーの原因
  • 実行為のエラーの原因

これらがわからないと意味がないということです。
失行症において、この点が最も難しく、重要な点になります。

2で書いたように、失行症は介入までの分析と考察が非常に重要になります。
加えて3の効果的な介入が未だに確立されていないことで、リハビリにおいて失行症はまだまだ難しい領域なのです。

失行症見逃してませんか?

そんな失行症ですが、一番の問題は半側空間無視などとは違い、観察から見つけることが困難な症状です。
言い換えると、検査を行わなければ【見逃してしまう】可能性が高いのです。

私が高次脳機能障害に関する勉強会で話をさせていただくときは、必ず

「失行症の患者さんを担当したことがありますか?」

と質問します。
すると、担当したことがある人は半分もおらず、ある勉強会では100人ほど参加者がいたにもかかわらず、10人も担当したことがないこともありました。

文献にもよりますが、失行症は左半球損傷の3~5割、失語症を呈している場合は7割もの罹患率です。
つまり、先ほどの勉強会のときの割合では数が少ないのです。

今お読みいただいている方も自分の担当患者さんを思い出してみてください。
もしかしたら、あの人失行症だったのかも…という患者さんがいるのではないでしょうか?

これらのことからも、失行症を検査をせずに見つけることは非常に困難であることは明らかです。
ですので、左半球損傷の方にはスクリーニングとして模倣検査を行うことをお勧めします。

もちろん、動作や行為の中で、失行症の徴候を見つけることも出来ますが、少し練習が必要です。
最初は全員にスクリーニングを行い、その方の動作や行為の特徴を覚えていってください。

すると、失行症の方の動作や行為の特徴が徐々に見えてきます。

ですが先述したように、模倣検査しただけでは意味がありません。
原因を考えて行くプロセス、その結果を実際の行為と結びつけるプロセス、最終的には介入までの一連の流れを知っている必要があります。

もしこの点について勉強していきたい方がいらっしゃればぜひオンラインサロンへご参加ください!!
一緒に勉強していきましょう!!

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観察でみえる世界を広げる

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。

皆さんは、観察や分析は得意ですか?それとも苦手ですか?
HPのTOPにも書いている通り、リハビリでは観察と評価、それらの結果を統合する力はとても大切です。

皆さんの周りにも、
どうしてみただけでそんなことがわかるの?
と思う療法士の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、この臨床の核である観察と分析について大枠を書いていきたいと思います。

1年目と10年目のセラピストではみえている『世界』が違う

後輩育成に力を入れてきた私ですが、10年目になった時あることに気付きました。
それは、まだ経験の浅いセラピストに、観察と分析について教えている時でした。
患者さんの動画を用いて、立位姿勢から歩行を観察していると、私から見れば一側に荷重していることは一目瞭然でしたが、その研修のセラピストには【観えていない】様子でした。

この時私は、「観察1つ取っても、一人一人みえている物が異なっているのか」と気付かされました。
みえているものの違いは、いくつかのことが影響していることが分かってきました。

  1. 今までみてきた患者さんの経験
  2. 知識(なにに興味があるのか)
  3. 介入の引き出しの数(介入出来る部分しかみえない)
の3つです。これらは療法士として働き、しっかり勉強している人であればピンと来ると思います。
この3つを1つずつ見ていきます。

1,今までみてきた患者さんの経験

観察から介入までの経験を重ねていくと、いろいろな「予測」がたつようになってきます。
言い換えると、自分の中で【カテゴリー分け】されていくようなイメージです。
「左の視床出血の方でこのように動く人は、○○のことが多い」
といった感じです。
この「予測」がみる所をしぼる役割をして、より深い観察を可能にしてくれます。

同時に、観察から介入まで流れるように浮かんできます。
患者さんの個人差を加味するために、他の動作を観察したり、問診で情報量を増やしていくことで、自分の考えをより正確にしていくことも出来ます。

このように、今までの患者さんの経験を、目の前の患者さんにいかすことが臨床を豊かにしていく第1歩です。

2,知識(なにに興味があるのか)

これは誰でも経験されていると思います。
カバンが欲しいときには、電車に乗っているといろいろな人のカバンが目に入りませんか?
これは注意の特徴の1つで、自分の興味のあることに注意が引っ張られやすいのです。
例えば、運動学の勉強をしている人は、関節の動きに注意が向きますし、感覚に関する勉強をしている人は、感覚に関する質問をしたくなります。

1つ注意が必要なのは、観察は多角的な視点から行う必要があるということです。
観察はあくまで全体像を捉える手段です。
分析は、運動の側面、感覚の側面、認知の側面などいろいろな情報を元に可能性を探っていきます。

入り口は人それぞれでOKですが、最終的にはいろいろな可能性を探れる考える力が必要です。

3,介入の引き出しの数

リハビリの介入の目的はあくまで患者さんに学習してもらい、動作をより楽に行えるようにすることです。

つまり、【介入方法のわからない部分に関してはみない】傾向が強いです。

例えば、視覚障害をもつ患者さんが初めてだったり、介入方法をまだ知らない療法士では、視野に関する観察や検査はあまり行いません。
これは意図的ではなく、無意識で選択されてしまいます。
知らず知らずのうちに避けているのかもしれません。

このように、どれくらいの介入の幅を持っているかは、実は入り口である観察にも影響してきます。

これら3つが関係している観察では、一人一人みえている世界が異なっています。
このことを知ったうえで、先輩や他の療法士と観察や介入について話すことは、自分の臨床を高めることに最も有効なことは、言うまでもありません。
出来るだけ多くの、また異なる環境の人と話すことで自分の小さな悩みから大きな疑問まで、解決する方法が見つかるかもしれません。

患者さんの一人称

お読みいただいている皆さんこんにちは!(こんばんは!)
本サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。
今回は、リハビリテーションの臨床の中で欠かせないスキルの1つ、コミュニケーションスキルについて書いていきたいと思います。

リハビリにおけるコミュニケーションとは

リハビリが患者さん対療法士という構造を持っている以上、1対1でのコミュニケーションスキルが必要不可欠です。

またこれと同じくらい大切なのが、観察のスキルです。
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が一般の方と一線を画す能力でもあるこの観察スキルは、臨床そのものの質を変えてしまうくらい大切です。

ですが、一方で【外から見る観察】だけでは得られる情報には限界がある事を知っておかなければなりません。
例えば、どう動いているのか?は見れば分かりますが、なぜそう動いているか?は見ただけでは想像の域を越えません。
ここに、評価や検査を加えていくことで、観察で浮かんだ想像は仮説へと昇華していきますが、やはりまだ足りません。

では何が足りないのか?
患者さんの一人称です。
代表的なのは、感覚検査です。
感覚に関する答えは患者さんの中にしかありません。
そうなると、必然的に患者さんに<聞く>スタイルの評価になります。
もちろん観察から感覚に関することを仮説立てる方法もありますがそれはサロン限定で…。
感覚以外にも患者さんの一人称からは非常に多くの情報を得ることが出来ます。
その方法と情報を簡単に書いていきたいと思います。

コミュニケーションのポイント

患者さんの1人称を聞き出していく為には、最初に書いた通りコミュニケーションスキルが必要です。

  • どんな質問をするのか?
  • 質問で使う言葉は何が良いのか?
  • 相槌のタイミングはどうするか?
  • オープンな質問にするかクローズな質問にするか?
  • 正面に座るか斜めに座るか?
  • リハビリのどのタイミングで切り出すか?
  • etc…

挙げればきりがありませんが、コミュニケーションには数えきれないほどの要因が関わっていることが分かるかと思います。
また、コミュニケーションにおいて特に重要になるのが、信頼関係です。

「この人(POST)には、この話をしても大丈夫」
「この人(POST)なら私の問題を解決してくれる」

などの、リハビリの専門家としての信頼を得ていなければなりません。
「話しても無駄」と1度でも思わせてしまうと、最も重要かもしれない内容を話していただけなる可能性があるので注意が必要です。

よって、基本となるのは
<傾聴>
<行動>
になります。

もしかしたら何気なく「ぽろっと」言った言葉が重要かもしれませんし、介入中に言った言葉が本心かもしれません。
介入中は少しも油断してはなりません。

患者さんの言葉をどうやっていかしていくか?

次に、患者さんが話した内容をどう考えて行くかです。

患者さんの言葉には、癖がある場合があります。

例えば、左側の股関節の運動覚の検査を背臥位(ベッドに上向きで寝ている状態)で実施している時に股関節を外転したとします。この時セラピストは、【外に開いた】と回答すると予測していたのに、患者さんは「左に動いた」と回答したとします。

ちょっとしたことですが、もしかしたら内側外側の概念よりも、左右の概念が認識しやすい可能性があるかもしれません。

そうなると、介入の時にセラピストの使用する言語は、内外より左右を使用したほうが患者さんはわかりやすくなってきます。

この様に、患者さんが使う言葉の頻度や介入している時の回答など様々な場面で情報が散りばめられています。

これを拾っていく為には、コミュニケーションスキルに加えて、観察・分析のスキルが必要になってくるのが分かるかと思います。

ですが、慣れるまでは意識していないと聞き逃してしまいがちですし、患者さんの一人称をどうリハビリにいかしていけば良いのかは、教えてもらう必要があると思います。

おわりに

近年痛みを有する方へのリハビリにおいて、患者さんの一人称が重要であることが認識されてきています。1)

私は、痛みを有する方だけではなく、リハビリを必要としている方すべての一人称が、リハビリの効果を向上させる情報だと信じています。

  • 患者さんの一人称をリハビリに活かしていく方法に興味のある方
  • コミュニケーションスキルから学びたい方
  • 臨床に新しい切り口を作りたい方

ぜひオンラインサロンで一緒に勉強していきましょう!!

FAQもご参考ください。

1)森岡周:脳とこころから考えるペインリハビリテーション, 杏林書店(2021)

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