スムーズに行為をおこなうために-運動と行為の違いから-

スムーズに行為をおこなうために

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プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

スムーズに歩く
スムーズに文字を書く

人は、様々な行為をスムーズに行うことが出来ます。リハビリテーションの目的においてもぎこちない状態からスムーズにできるように介入することも少なくありません。そもそも人はどうしてスムーズに動くことが出来るのでしょうか?そこには人ならではの理由があります。

 そこで今回は、脳卒中の患者さんから行為をスムーズに行うことの難しさを考えて、運動と行為が全く異なる次元であることを書いていきたいと思います。

ぎこちなく歩く患者さんたち

 痛みがあったり動かない関節があると人の歩きはぎこちなくなります。痛みが出ないように動いたり、動きにくい関節を使わなくても良い動き方をしたりするためです。ですが、痛みもない、関節も動かせるにもかかわらずぎこちなく歩く患者さんをみたことがあるのではないでしょうか。

 1つの関節を動かす単関節運動は問題なくできるのに、歩くとぎこちない。膝関節の屈曲伸展は出来るのに歩くと膝関節の動きが見られなくなってしまう…手の指を1本ずつ動かせるのにボタンをしめようとすると指の動きがぎこちなくなってしまう…これらの現象は優位半球である左半球を損傷すると実は高い頻度で見られます。ですが、運動麻痺など【そもそも動かせない】ことがマスキングしてしまい、注意深く観察し加えて検査をしなければ見つけることが出来ません。

 ここで言う検査は模倣検査やパントマイムの検査などを指しています。そうなんです、ぎこちない行為を現象とするのは【失行症】です。運動や感覚に問題がないにもかかわらず、合目的的に動くことが出来ない。つまり、自分の意図によって目的を持った行為が出来ないということです。失行症は【行為を失う】と書くことからも、運動の障害ではなく行為の障害だと捉える必要があります。

 では運動と行為はどう違うのか?について書いていきたいと思います。

運動と行為は全く違う

運動・動作・行為は非常に似ていてごちゃまぜに考えてしまっている人も少なくないと思いますが実は全く違います。これら3つの違いについてはこちらの記事をご参考ください!
→運動・動作・行為を使い分ける!
 少し触れると、太ももに手を置いた状態から前に伸ばすリーチングは

  • 肩関節の屈曲
  • 肘関節の伸展
  • 前腕の回外(中間位へ)
  • 手関節の背屈

 が時間的に連動し行われています。このように、一見運動の足し算で行われているように見えますが実は行為には運動にはない要素が含まれています。
 それは…【目的】です。肘を伸ばす運動の目的は肘を伸ばすことが目的ですが、リーチングは手を前に伸ばす(もっと言うと手を物体へ近付けていく)ことが目的です。そうなんです、関節を動かすことが目的ではないんです。
 そうなると少なくても運動と行為では次のようなことが異なっていることがわかります。

  • 運動は身体に、行為は外部環境に注意を向ける
  • 運動は関節が動いたのかが結果であり、行為は目的が達成できたのかが結果になる

 肘を曲げる時に大切なのは肘が「曲がったのか?」であり肘の感覚に集中し結果を確認します。一方リーチングなどの行為で大切なのは、「手が前に移動したのか」「物体に手が向かっているか」であり、環境と自分の身体の位置関係や動いた関節の知覚など多くの感覚を統合して結果を確認します。つまり、行為は運動と比べても圧倒的に高次であり必要な能力も非常に多くなっています。
 失行症と言われる現象は、この行為をするために必要な能力に問題が生じている状態です。予測が出来ない、結果を確認できない、感覚を統合できないなど原因は様々ですが運動では使われない能力が障害されている可能性が非常に高いです。

 行為を対象に介入することが大切なリハビリにおいて、運動と高次脳機能障害をわけずに行為そのものを観察し分析し介入していく必要があります。
 お読みいただきありがとうございます。

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どこからが身体失認?

どこからが身体失認?

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脳血管疾患など脳の疾患で、右半球を損傷した時にみられる身体失認。
皆さんは担当されたことありますでしょうか?
麻痺側の身体を認識出来なくなる病態ですが、感覚障害や同じく右半球損傷で多くみられる半側空間無視とこんがらがってしまう人も少なくないと思います。

そこで今回は、混同しやすい右半球損傷による病態をどう考えていけば良いのかを書いていきたいと思います!

動作時に麻痺側上肢を忘れるのは身体失認?

 片麻痺患者さんのリハビリにおいて難渋する現象の1つに、起き上がりや寝返りなど動作を行うときに麻痺側上肢を忘れて巻き込んだり、ぶらりとしてしまうものがあります。特に発症初期から回復期においては、麻痺側上肢の筋緊張が低下しているため管理が不十分になると怪我に繋がる恐れもありリハビリにおいて介入すべき対象となります。
 では動作時に麻痺側上肢を忘れてしまう原因は何なのでしょうか?身体失認が原因なのでしょうか?このことを考えていく前に、注意と身体図式について簡単にお話したいと思います。

  1. 動作時における注意について

    麻痺側上肢を忘れてしまう原因の1つに、麻痺側に注意を向けることが出来ないことが挙げられます。
    「自分の左肩に触れてください」
    「自分の左肘を見てください」
    など、そもそも左上肢に注意を向けることが出来なければ管理をすることは難しいからです。
    では身体失認との違いは何か?ですが、身体失認は身体に注意を向けられないという次元ではなく、健常者の感覚から言えば右半身が身体である感覚に近いと思われます。つまり、月は球体の形をしていると認識しているのが通常ですが、身体失認では半月を月と認識していて球体の形の月は【月ではない】と認識していることになります。
    この注意で考えれば、そもそも注意を向ける対象がないため肩や肘などの認識は非常に困難であると考えられます。
    鏡を見て自分を確認しようが、非麻痺側で麻痺側上肢に触れてもらおうがそれが、【自分の身体だ】ということには繋がらないのです。
    なんとなく注意障害と身体失認の違いが分かっていただけたでしょうか

     

  2. 動作開始時の身体図式の役割

    「それでは立ち上がってください」と言われた時、誰もがスムーズに立ち上がれると思います。言われるまでご飯を食べていても本を読んでいても立ち上がれない人はいないと思います。
    ここで1つ疑問なのは、今の座っている姿勢を意識しなくても立ち上がるための準備が無意識で出来るのはなぜか?ということです。
    例えば、だらーんと両足を投げ出して仙骨座りで座っていたら1度座りなおす動作が無意識で入るのがこれにあたります。
    つまり、人は意識しなくても自分が今どんな姿勢でいるのかを常にアップデートしている仕組みが備わっている仮説が立ちます。これが身体図式(ボディスキーマ)と言われているもので、動いたことで入力される感覚に基づいて常にアップデートされていると考えられています。
    では、麻痺側上肢を忘れてしまう人ではどう考えられるでしょうか?もう簡単ですね。動き出す時の身体図式に麻痺側上肢が含まれていない可能性が高いということになります。この身体図式に含まれない理由は3つあります。

①麻痺側上肢の知覚に異常がある場合

身体図式は、入力された感覚刺激を正常に知覚することでアップデートされていくため、感覚障害によって知覚が上手くいかなければ麻痺側上肢の身体図式がアップデートされず動作時に反映できない可能性が考えられます。

②半側空間無視による麻痺側上肢の無視がある場合

先ほどの注意障害に近しいのですが、半側空間無視(身体空間無視含む)によって麻痺側上肢を無視している場合も知覚に異常がある場合と同様に身体図式がアップデートされません。

③身体失認による身体図式の変質

そもそも左半身の存在を認識出来なければ身体図式がアップデートされることは難しいです。反対に、この身体図式に麻痺側上肢が含まれないことが身体表象を作り出している可能性も考えられます。

これらの原因を鑑別するのは非常に難しく熟練が必要です。その為、麻痺側上肢の知覚の状態を確認し知覚出来ているのに忘れてしまうのか、そもそも知覚出来ていないのかを評価することが大切です。現に、感覚障害の改善に比例して麻痺側上肢の忘れが軽減する症例は多くいらっしゃいます。ですがこの場合は身体失認の可能性は低く、感覚障害による影響が強かったと考えるのが妥当です。

 起き上がりや寝返り以外にも麻痺側上肢の管理が問題となる動作は存在していて、動作ごとに問題点を考えていかなければなりません。また、パラフレニーといった所有感を言語する病態もあり右半球損傷の高次脳機能障害を理解するには多くの知識が必要です。

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失行症のリハビリテーション

失行症のリハビリテーション

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運動障害も感覚障害もないのに、意図した行為をスムーズかつ効率的に行うことが出来ない。失行症はそんないろいろな現象を引き起こす症状の総称です。教科書で使用した本にのっているような、「歯ブラシで髪を梳かしてしまう」「手で狐を作ったものを模倣できない」は一部でしかありません。

近年少しずつ解明されてきた失行症に対するリハビリテーションはまだまだ発展途上と言えます。そこで今回は、失行症を有する患者さんとのリハビリテーションについてポイントを整理しながら書いていきます。

失行症を見逃さない。それが大前提

はじめに、失行症について軽く触れておきたいと思います。
1920年代、Liepmanが失行症を定義し、観念失行、観念運動失行、四節運動失行に分類しました。後頭葉から前頭葉に向かって少しオーバーラップしながら【観念失行】【観念運動失行】【四節運動失行】を責任病巣と位置付けました。現在でもこの3つの分類は残っていて、<古典的分類>と言われています。臨床現場でもまだ使用されている名称であり、失行症を勉強していくと必ず聞くのではないでしょうか。その後Rothi、Ochipa、Heilmanらの素晴らしい貢献もあり失行症の研究は前進してきたようです。

このような歴史の中で最も重要なことは、<失行症とは何か?>がまだ定まっていないことです。これは、失行症の症状が多岐に渡ることが大きな要因で研究分野においても、失行症と一言でいっても様々な研究がなされている段階です。先述したような古典的分類では説明が難しい現象や新しく発見される現象など、失行症はまだまだ解明途中だと言えます。

このことは臨床にも大きな影響を及ぼしています。失行症が他の高次脳機能障害と比べて特徴的なのは、「なんとか行為が出来てしまう」ことです。もう少し分かりやすく言うと、「立ち上がれるけど何か変」「歩けるけど何かぎこちない」こういった程度の現象であることが多いのです。

すると、臨床においては<失行症を見逃してしまう>ことがよくあります。何とか出来るのならその動作を繰り返せば改善していく…臨床思考としては間違いではありません。ですが、失行症においてはこれは絶対に行ってはいけません。動作を繰り返して改善していくのは、運動学習が正常に行えるからで、失行症があるとこの運動学習が正常に行えずに動作が改善しない、むしろ悪化していくこともあります。

リハビリテーションの臨床では、まず失行症を見逃さないことが大切です。

検査をする、失行症がありそう…それから?

失行症を見逃さないためには、検査をすることが最も有効です。標準高次動作性検査(SPTA)など様々な検査があり、それぞれ特徴があります。それゆえに、検査結果から何を読み取ってどう介入にいかしていくかがとても大切です。

またそれとは別に、観察や動作分析から失行症を検出しにくいがために、失行症と行為の関係性を理解することが非常に難しくなっています。
つまり、模倣が出来ないことと歩きにくそうなことはどう関係しているのか?がわかりにくいということです。このことが、リハビリテーションを難しくしてしまい、本来のリハビリの目的である<生活・行為の改善>ではなく<模倣の改善>へと舵を切らせてしまいます。すでにお分かりかと思いますが、これではダメですよね?検査・評価結果から患者さんの病態を考えて、目標を達成するために介入しなければなりませんから。

そのためにも、失行症を理解するための知識と発見するための検査、それらを統合する思考方法を知り実践していく必要があります。

多くの失行症の症状は改善出来ます。これは私が臨床の中で多くの利用者さんを相手に実証してきました。皆さんの患者さんは失行症ではありませんか?動作練習では限界があります。適正で根拠のある介入をしていきたいと心から思います。

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半側空間無視を運動と感覚から介入する③【評価・検査編①】

USNを運動と感覚から介入する③タイトル画像

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運動と感覚にそれぞれ関係している【空間】と半側空間無視(以下USN)の関連から、USNを第1回、2回で考えてきました。
 今回は、USNと混同しやすい現象とそれらを鑑別するための評価、またUSNの症状をリハビリで介入していくためにカテゴライズしていく方法を書いていきたいと思います。

第1回⇨半側空間無視の運動と感覚から介入する①【運動編】

第2回⇨半側空間無視の運動と感覚から介入する②【感覚編】

USNと混同しやすい現象と見分け方

脳卒中などによってUSNが生じている場合は、その他にも様々な現象が同時に出現している可能性を常に考えなければなりません。
また、似たような現象や混同しても見分けがつきにくい現象は、高次脳機能障害においては非常に多くあります。

 半側空間無視も例外ではなく、前回まで書いてきました運動障害や感覚障害はもちろん、半盲や身体失認との鑑別も非常に重要になります。
運動・感覚障害とのカテゴライズは次で書きますので、ここでは半盲や身体失認について書いていきます。

1.半盲

 半盲は、眼球に入力された刺激を脳に伝達するための視神経が損傷することによって生じます。
 視神経の左右どちらか、どの段階での損傷かなどによって、見えなくなる視野の場所などが変わってきます。
 その中でもUSNと混同しやすいのが、同名半盲による左側の視野の欠損です。

 症状としても「左側が見えにくい」という訴えで、眼科などで行われる視野検査においても、半盲とUSNの鑑別は非常に困難です。
 実際私が経験した患者さんでも、半盲と診断されたものの視野が大きく改善した方がいらっしゃり、無視の要素が含まれていた方が多くいらっしゃいます。

 私は臨床の中で、半盲とUSNの鑑別には以下を考慮しています。

  • 欠損している視野に対して頚部の回旋などの代償が見られているか
  • 欠損している視野を認識出来ないが、その視野において対象物に対して、正確にリーチできないか
  • 見える時と見えない時がないか

この3つを考慮し、検査を実施します。

①においては、半盲の場合「見えない」という自覚がしっかりとあるため、視野を広くするために通常は代償が見られます。
ですが、USNによる視野狭窄では、見えていない事を自覚できないため、視野を広くしようとする代償は慢性期においては見られる人もいますが、回復期では見られないことが多いです。
この事を考慮すると、視野狭窄の原因にUSNがどれくらい影響しているのかを推測することが出来ます。

②は、盲視という現象を考慮しています。
見えていると自覚することと、見えている物に対して運動することでは使用する脳のルートが異なります。
その為、半盲ではそもそも見えていないためリーチングも難しいのですが、盲視では見えている自覚のみが障害されるため、対象物に正確にリーチングすることが出来ます。

③はそのままの意味ですが、半盲は神経損傷なので、一貫して見えません。
ですが、USNでは注意の影響が大きいため、見える時と見えない時にムラが生じることがあります。

これら3つを考慮して検査や介入を行っていくことで、半盲との鑑別を行っています。

2.消去現象

 消去現象とは、麻痺側に感覚障害がないにも関わらず、非麻痺側と麻痺側両側に感覚刺激が加わると、麻痺側の刺激を認識出来ない現象です。
 実際の臨床では、麻痺側のみと非麻痺側を含めた両側とで、知覚の程度が変化する現象がみられます。

文献上は、消去現象を半側空間無視の症状に含める場合もありますが、臨床上は別々で生じる事もあるので、介入していく上で病態解釈する時には分けた方が良いと思います。

消去現象は、視覚性、触覚性が知られておりそれぞれ視野検査の応用とフィンガータッチによって検査可能です。
 さらに、深部感覚においても消去現象が生じることを忘れてはいけません。

例えば、臨床では消去現象のみられる患者さんに立ち上がりの時に左右の体重比を意識してもらうと、これが全くできないんです。
 これは足底の圧覚で消去現象が生じているからなのですが、膝の角度や速度などを聞いても全く分かりません。
 このことから、運動覚においても消去現象が生じている可能性が高くなってきます。

この消去現象は【両側同時に刺激が加わった時】と限定されていて、USNのように常に一側を無視しているわけではありません。
 つまり、行為によって無視様の症状が見られるかどうかが変化して来るということになります。
 もちろん消去現象とUSNがオーバーラップしていることも多くありますが、行為を獲得していくためにUSNと消去現象どちらの影響が強いのかを見極めて介入していく必要がありますね。

 次回は身体失認との関係について書いていきたいと思います!

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理学療法士の私がオンラインサロンを始めてもうすぐ1年

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 理学療法士の私がいろいろな思いで始めたオンラインサロンも、9月で1年を迎えます。
 当初やりたかったことがなかなかできなかったり、反対に思いもよらずに出来たことがあったりと様々なことがあった1年でした。

 そこで今回は、この1年を振り返った感想や今後の予定していることについて書いていきたいと思います!

何も分からずに始めたオンラインサロン

 オンラインサロンという言葉が少し広がり始めていた1年前、ちょうど新型コロナの蔓延もあり、リハビリ業界でも学会やセミナーがオンラインへの意向を強いられていました。
 オンラインでの開催に対する難しさや、誰もやったことがなかったことでもあり、新型コロナが流行したばかりの頃は、学会・セミナーともに軒並み中止になっていました。
 1年間外部からの情報が遮断された時、1日1日がとても大切であるリハビリの領域にいる私はとても不安になりました。

 オフラインでのセミナーが主流であったその頃は、集まって勉強することが出来なくなるなんて想像もしていなかったのですが、実際なってみるとリハビリ業界で【継続して学んでいくために】は、オンラインを積極的に導入していく必要がありました。

 毎年のように、多くの学会やセミナーに参加していた私にとって、それらに参加することは学ぶことと同じくらい、職場以外の人たちとの交流が目的でした。
 一緒に学んできた人たちが今何をしているのか、何に興味があるの、これから何をしようとしているのか…これらの情報は自分が進んでいくためにとても大切な物でした。

 その機会が失われた時の不安な気持ちは今でも忘れませんし、まだまだ不安は残っています。
 ですが、きっと私と同じように不安になっている方がいるのではないか?
 もっといろいろな環境で学ぶ機会を求めている人がいるのではないか?
 そう思ったのがオンラインサロンを始めたきっかけでした。

 ですが、HPの作成や運営については経験もなく、何より同じ思いの人が本当にいるのかなど何も分からない中でのスタートでした。
 加えて、オンラインサロンに対する理解がまだまだ深まっていない中で始めることも不安はたくさんありました。

 理学療法士としてずっと働いてきた私にとって、マーケティングなどの知識は全くなく、1からのスタートでした。

本当にやって良かった

 実際に始めてみるとこの1年間は、驚きの連続でした。
 HPの作成はベースを知り合いの方にお願いし、その後の運用を自分で行っています。
 やはり専門的な部分に関しては自分で試行錯誤していくしかありませんが、徐々に成果が出てくると非常に楽しく出来ています。

 またサロンの運営は、まだまだ未熟なところはありますがメンバーの方の助けもあり、今では累計で40名を越える方にご参加いただいています。
 サロンメンバー以外の方以外の方とも関われる機会を増やすために、外部の方も参加できるセミナーも開始し、満足度100%を達成できました。

 まだまだ知っている人は少ないですし、オンラインサロンのメリットについても理解されていない部分も多くあると思います。
 ですが、言葉でいくら説明しても限界はありますし、一人一人の好き嫌いも当然あります。

 もし一人で悩んでいる人がいたら1度参加してみてください。
 きっと参加して良かったと思っていただけると思います。

 今後は、メンバーの方にもっと楽しく学んでいただけるように実技などの新しいコンテンツの配信を予定しております。
 またもっと多くの人に知ってもらえるように、外部の方向けのセミナーも加速していきます。
 コロナなんかに負けないように、前進していきたいと思います!!

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半側空間無視を運動と感覚から介入する②

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前回より半側空間無視(以下USN)について書いています。
USNを、

  • 一側を見ることが出来ない
  • 動けない
  • 感じない

などの単純な病態ではなく、運動と感覚の側面から考えていくことを目的としています。
前回は、運動と空間、またその空間を認知する能力との関係について書きましたが、今回は感覚と空間との関係性から、半側空間無視を紐解いていきたいと思います。

感覚に関わる空間認知

 感覚は、外部からの刺激や関節が動いたことによって生じる刺激を脳で処理することで知覚します。
この時、空間はどう関係しているのでしょうか?

 例えば、誰かが後ろから自分の肩を叩いたとします。
この時、なぜ叩かれたのが【肩】だと分かるのでしょうか?
この身体のどこに刺激が加わったのかを認識するためには、身体空間認知が関係してきます。

 もう少し具体的に書いていきます。
脳の中には身体再現がされているのは皆さんご承知の通りで、頭頂葉にあります。
この頭頂葉にある身体再現を、ここでは宮本省三先生のお言葉を借りて<脳の中の身体>と呼ぶことにします。
専門的に言うと、身体表象にあたります。

 この脳の中の身体には、様々な意味がありますがその中の身体地図、つまりどこに肩があって肘があってのような感じのものがあります。
身体に刺激が加わり脳に伝達されると、この脳の中の身体とその刺激を比較して、身体のどこに刺激が加わったのかを判断します。

 この時、肘より外側に手があるといったような、身体の地図は空間的な要素が含まれています。
同時に、

「目を閉じて左肘に集中してください」

と指示をした時、指示された側は

「顔の斜め下ぐらいかな?」

と空間に対して注意を向けます。
このように、身体に注意を向けること自体にも空間の認識が重要になってきます。

半側空間無視と感覚と空間認知

ここまで書いてきたように、感覚を知覚するためには様々な空間の認知が必要です。
よって、半側空間無視の影響で、何らかの刺激を知覚できない時その原因は様々なものが考えられるということです。

 これらを見極めるためには、それぞれの要素が原因であるというための検査や評価を考えられなければなりません。
もちろん既存の検査や評価を使用するのでも大丈夫ですが、患者さんによって含まれる病態も違いますし、年齢や性別などによっても個人差があります。

 よって、患者さん毎に必要かつ有効な検査や評価を自分で考えられる能力が必要になってきます。
そこで次回は、この検査や評価について書いていきたいと思います!

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半側空間無視を運動と感覚から介入する①

USNを運動と感覚から介入する①タイトル画像

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 半側空間無視(unilateral spatial neglect:以下USN)は、右半球損傷における高次脳機能障害のうちの1つです。
あらゆる空間の正中(真ん中)より左側をあたかも無視しているかのように振る舞う現象で、特に回復期において頻繁に出会います。
USNは、ADLに大きな影響を及ぼすため、リハビリテーション(以下リハビリ)では介入において重要なファクターとなります。

近年では、縦上束との関連が指摘され、USNが長期化し残存するかどうかなどの予後が予測できるようになり、リハビリの介入方法についても明確になってきています。
一方で、人が生きていく上で、【空間】という概念は非常に幅広く、様々な場面や文脈で空間処理が求められている影響で、USNの病態も多様化してしまっています。

そこで今回は、USNを視覚ではなく<運動と感覚>という側面で介入に落とし込む方法を、何回かに分けて書いていきたいと思います。
第1回は、USNと運動と感覚との関係について書いていきます。

USNの運動的側面と感覚的側面

 運動と感覚には、空間処理が必須です。
その為、それぞれに関わる空間認知にはUSNが大きな影響を及ぼします。
そこで、運動と感覚それぞれに関わる空間認知からUSNを考えていきます。

運動に関わる空間認知

 前方に手を伸ばす。
いわゆるリーチングをすると、手が外部空間の中を移動していきます。
また、肩・肘・手首・前腕・指などの関節が動き、身体空間そのものが変化していきます。

 通常リーチングの時には、視覚で物体を捉えて位置を把握し、その方向へ運動を行います。
 この時、右手をリーチングしていくのであれば、右肩よりも物体が内側なのか外側なのかそれとも正面なのかによって、肩関節の運動方向が決定づけられます。
 同時に、自分の身体からどれくらいの距離にあるのかによって、肩関節と肘関節の運動距離も決定されます。

 このように、外部空間においては視覚とのマッチングが重要で、USNにおいては

【左側が見えているのにリーチングが出来ない】

という現象はあまり見られません。
一方で、

【左側を視覚で認識出来ず、左側への運動も同時に困難】

という現象は多くみられます。

 では身体空間についてはどうでしょうか?
座っている時よりも立っている時の方が身体空間は広がりますし、上記したようにリーチングをすればリーチした方へ身体空間は広がっていきます。
つまり、左側へリーチングすれば身体空間は左側へ広がっていき、認知しなければならない身体空間は無視側へと広がっていきます。

よって、USNが見られる方の場合、身体空間において無視が見られるかどうかによって、無視側への運動にも大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。
左身体の知覚は出来るのに左側への運動が見られない、歩いている時に左側へ向かうときに体全体で左を見る等の現象が関係しています。

 

 この様にUSNを見ていく時に、どの運動の時に無視が影響しているのか?
どの空間認知に無視が影響しているのか?
これらを考えて行く必要があります。

 次回は、感覚の空間認知について書いていきます!

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失行症の患者さんに悩んだら読むブログ

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 脳卒中の後遺症を持つ患者さんのリハビリは悩むことが本当に多いです。
お読みいただいてる皆さんの中で、右半球損傷と左半球損傷とでどちらかに苦手意識をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
 もし苦手意識がない方は非常に素晴らしいですし、お持ちの方も仕方がないことかと思います。

 今回は、左半球損傷の患者さんのリハビリが苦手な方に失行症に焦点を当てて書いていきたいと思います。

左半球損傷=言語障害の先入観をなくそう!

 右片麻痺の患者さんと言えば失語症が浮かぶのではないでしょうか?
失語症の影響でコミュニケーションがうまく取れない方のリハビリは確かに難しいです。
 このような場合は、言語聴覚士がいるのであれば積極的に連携を取っていくのはもちろん、失語症でも全失語でなければコミュニケーションを取ることは十分に可能です。
まずは、コミュニケーションを取ることが出来た経験を積み重ねていってください。

 別の視点で考えた場合では、言語障害の有無にかかわらず、動作や行為、生活を観察し分析していくプロセスは変わりません。
 失語症に気を取られすぎず、いつも通りの介入をまずはしていきます。
 その上で、言語を障害されていることによって動作にどの様な影響が出るのかも勉強していくと、さらにより良い介入が出来るようになってきます。

失行症と考えず、患者さんの特徴を捉えよう!

 失語症とは別に、右片麻痺の患者さん左片麻痺の方と比べて様々な特徴があります。
例えば、

  • 動きがぎこちない
  • 関節の動きに動きすぎ、動かなさすぎなどの違和感がある
  • 介入の効果が持続しない
  • 動作の変化がなかなか見られない
  • などなど

これらのほとんどに影響していることが多いのが、失行症です。

 動作のスムーズさ、効率性、学習など様々なことに悪影響を及ぼし、リハビリの効果を低くしてしまいます。
ですが、よくある間違いとして上にあげたような特徴が見られた時に、失行症に関する検査を行って「この人は失行症だ!」と障害名を付けることが目的となってしまうことです。

 このような手続きをすると、失行症に対するアプローチになり、

  • 失行症について詳しくないとダメ
  • 失行症に対する介入方法を知らないとダメ

となってしまいリハビリが進まなくなってしまうことが多いんです…。

 高次脳機能障害を改善する!ではなく、高次脳機能障害をお持ちの患者さんの生活を変化する!と考えるべきですし、高次脳機能障害がどう行為に影響しているのか?を考えるべきです。
 このことを考えると、失行症があるかどうかは検査するべきですが、患者さんの動きや認知面などの特徴をしっかりと捉えて、その特徴をベースに介入を考えていくことが重要です。もちろん失行症に詳しいことに越したことはありませんが、必要なことから勉強していくことも出来ます。

 ぜひ意識してみてください!!

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半側空間無視と空間認知

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

半側空間無視は非常に有名であるため、臨床において安易に【半側空間無視がある】と考えがちです。ですが、その本質を理解していないと、他の減少と間違えてしまうことも少なくありません。

そこで今回は、混同しやすい注意点を書いていきたいと思います。

半側空間無視(USN)の落とし穴?!

半側空間無視(unilateral spatial neglect:以下USN)とは、「大脳半球病巣と反対側の刺激に対して,発見して報告したり,反応したり,その方向を向いたりすることが障害される病態である(Heilman ら 1993)」と定義されています。
USNの多くは右半球損傷によって生じるため、反対の左側からの刺激を無視してしまうことになります。
よく聞くのは、左側からの呼びかけに反応しなかったり、左側を見落としたりという現象ですね。

一般的にUSNは、視覚性の無視を指すことが多く、先述したような左側を見落とす症状が取り上げられることが多くなっています。

一方で、定義の中で無視する対象は【刺激】とされており、体性感覚的な刺激も無視の対象となります
つまり、麻痺側の身体に対する刺激を【無視してしまう】状態が考えられるということです。

よって、感覚麻痺や身体失認などの現象と混同しやすいことは想像に難しくなく、その判別が必要になる事は言うまでもありません。

また、半側空間無視は回復期で多くが改善した【ように見える】症状でもあり、生活期においては回復期と比べると症状が顕在化している人は少ないと思われがちです。
ですが、半側空間無視の本質は【空間認知の障害】であり、その状態で生活をしていた時期があれば、空間認知に問題が残らない訳がありません

よって、生活期においても【USNの影響】は残っていることが多く、セラピストはそのつもりで評価・介入をすることが大切です。

空間認知を評価する

では、半側空間無視を有している患者さんの病態を理解していく時には、どういうことを考えて、評価をしていけば良いのでしょうか?

ここで大切なのは、USNが様々な空間を認知することの障害であるということです。
その空間が、視覚空間なのか、体性感覚空間なのかなどによって行う評価が変わってきます。

この時に注意しなければならないのが、

  • 視覚性無視と半盲
  • 体性感覚性無視と身体失認
  • 体性感覚無視と感覚麻痺
  • USNと消去現象

これらの混同です。
体性感覚の空間認知に関しては記事(→左片麻痺の体幹の崩れの原因とリハビリの方法)を参考にして頂きたいですが、右半球損傷では空間性注意に問題が生じるため、これらのような混同しやすい現象がみられます。

また、リハビリの目的はUSNがあるということを確定することではなく、高次脳機能障害が行為にどの様な影響を及ぼし、ADLを阻害しているのかを考え、介入していくことにあります。
この正確性をあげていくために、評価があるということを忘れてはいけません。

患者さんが麻痺側の刺激を認知できないのはどうしてなのか?
その事によって空間認知がどう障害されているのか?
その結果、どの行為や動作にどう影響を及ぼしているのか?
これらを考えていくことが大切です。

実際にどう評価していくのか?
その評価結果をどう解釈して介入にいかしていくのか?

これらを知って目の前の患者さんの改善可能性をもっと引き出したい方、ぜひ一緒に成長していきましょう!!

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注意の分配性って間違えやすい。大丈夫かな…??

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

昨日オンラインサロンのメンバーで症例検討を行っているなかで<注意機能>の話題になりました。

昨日書いたブログにも書きましたが(注意障害には注意が必要?!)、注意機能には様々な種類があります。

その中で昨日話題にあがったのが、<注意の分配性>に関することでした。

注意を分配するってどういうこと?

注意の分配性とは、2つ以上の対象に注意を向けることです。
その2つの対象に対する注意の量は調整することができて、1:1、2:1などどちらかを多くしたり、少なくしたりが出来ます。
この配分量は、何に基づいて決まるかというと、<意図><難易度>によって決まります。

今から自分が何の目的でどう行動するのか?
そしてそれはどれくらい難しいのか?

によって、目的を達成するためには何に注意を向けなければならないのか?が決定されるということです。

例えば、食事の場面を想像した時に、左手で茶碗を持ち、右手で箸を操作しているとします。(もちろん左利きの方は反対です)
この時、お茶碗を持っている左手と箸を操作している右手では、右手(正確には箸)の方が多く注意が向けられていると思います。
これは、箸で食べ物を掴み口に運ぶことが目的であり、より難しい操作が求められているためだと考えられます。

この注意の配分と併せて話にあがるのが、ダブルタスク課題です。
このダブルタスク課題は、2つのことを同時に遂行する課題で歩きながら話すなどがそれにあたります。
これも注意の配分の機能が重要で、2つのことに適切な注意を配分する必要がある。と考えられますが…。

意識の制限と注意の分配の矛盾

ここで1つ気を付けなければならないのが、

【人は1つのことしか意識することが出来ない】

ということです。

つまり、歩きながら話すといった2つのことを同時に行っていたとしても、話している時は歩行は意識されていません。
先ほどの食事の時も、箸で食べ物を運んでいる時は、お茶碗を持っていることは意識されていません。

よって、注意の分配を考えていくと、2つのことに同時に注意を向けている中で、それぞれ異なる注意をしているということです。

異なる注意とは何か?ですが、端的に言うと能動的注意と受動的注意になります。

  • 能動的注意とは、自分が意図的に注意を向けている状態で、食事場面でいえば箸を持っている側への注意になります。
  • 受動的注意とは、センサーの様な物で、食事の場面でいえばお茶碗を持っている側への注意で、お茶碗が落ちそうになったり、傾き過ぎたりした時に感知できるように働いています。つまり、いつでも注意を向けられる状態を保つ感じです。

このように、1つのことしか意識できない制限をクリアするために、人はいつでも意識する場所を変えられるようにセンサーを張り巡らせながら行動しています。

この意識の制限は他の方法でもクリアすることが出来ます。
例えば、股関節/膝関節/足関節が同時に動いた時、これらすべての関節の動きを知覚するためには、すべての関節に注意を分配しなければならないように思います。ですが、先ほど書いた通り意識できる関節は一つです。

ではどうすれば良いか…?
それは、下肢全体を視覚的にイメージすれば可能となります。
詳しくはサロン内で話していますが、簡単にいうとイメージが各関節の運動覚に基づいているからと言えます。

このように、注意と意識の特徴を捉えて、その制限をクリアし介入を考えて行く。
そのためには、患者さんを正確に理解し、病態を解釈しなければなりません。

みなさんは目で見える動作や運動だけではなく、目に見えない注意をどう考えていますか?
実は動作から注意を観察することも出来るんです…。

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