スムーズに行為をおこなうために-運動と行為の違いから-

スムーズに行為をおこなうために

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プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

スムーズに歩く
スムーズに文字を書く

人は、様々な行為をスムーズに行うことが出来ます。リハビリテーションの目的においてもぎこちない状態からスムーズにできるように介入することも少なくありません。そもそも人はどうしてスムーズに動くことが出来るのでしょうか?そこには人ならではの理由があります。

 そこで今回は、脳卒中の患者さんから行為をスムーズに行うことの難しさを考えて、運動と行為が全く異なる次元であることを書いていきたいと思います。

ぎこちなく歩く患者さんたち

 痛みがあったり動かない関節があると人の歩きはぎこちなくなります。痛みが出ないように動いたり、動きにくい関節を使わなくても良い動き方をしたりするためです。ですが、痛みもない、関節も動かせるにもかかわらずぎこちなく歩く患者さんをみたことがあるのではないでしょうか。

 1つの関節を動かす単関節運動は問題なくできるのに、歩くとぎこちない。膝関節の屈曲伸展は出来るのに歩くと膝関節の動きが見られなくなってしまう…手の指を1本ずつ動かせるのにボタンをしめようとすると指の動きがぎこちなくなってしまう…これらの現象は優位半球である左半球を損傷すると実は高い頻度で見られます。ですが、運動麻痺など【そもそも動かせない】ことがマスキングしてしまい、注意深く観察し加えて検査をしなければ見つけることが出来ません。

 ここで言う検査は模倣検査やパントマイムの検査などを指しています。そうなんです、ぎこちない行為を現象とするのは【失行症】です。運動や感覚に問題がないにもかかわらず、合目的的に動くことが出来ない。つまり、自分の意図によって目的を持った行為が出来ないということです。失行症は【行為を失う】と書くことからも、運動の障害ではなく行為の障害だと捉える必要があります。

 では運動と行為はどう違うのか?について書いていきたいと思います。

運動と行為は全く違う

運動・動作・行為は非常に似ていてごちゃまぜに考えてしまっている人も少なくないと思いますが実は全く違います。これら3つの違いについてはこちらの記事をご参考ください!
→運動・動作・行為を使い分ける!
 少し触れると、太ももに手を置いた状態から前に伸ばすリーチングは

  • 肩関節の屈曲
  • 肘関節の伸展
  • 前腕の回外(中間位へ)
  • 手関節の背屈

 が時間的に連動し行われています。このように、一見運動の足し算で行われているように見えますが実は行為には運動にはない要素が含まれています。
 それは…【目的】です。肘を伸ばす運動の目的は肘を伸ばすことが目的ですが、リーチングは手を前に伸ばす(もっと言うと手を物体へ近付けていく)ことが目的です。そうなんです、関節を動かすことが目的ではないんです。
 そうなると少なくても運動と行為では次のようなことが異なっていることがわかります。

  • 運動は身体に、行為は外部環境に注意を向ける
  • 運動は関節が動いたのかが結果であり、行為は目的が達成できたのかが結果になる

 肘を曲げる時に大切なのは肘が「曲がったのか?」であり肘の感覚に集中し結果を確認します。一方リーチングなどの行為で大切なのは、「手が前に移動したのか」「物体に手が向かっているか」であり、環境と自分の身体の位置関係や動いた関節の知覚など多くの感覚を統合して結果を確認します。つまり、行為は運動と比べても圧倒的に高次であり必要な能力も非常に多くなっています。
 失行症と言われる現象は、この行為をするために必要な能力に問題が生じている状態です。予測が出来ない、結果を確認できない、感覚を統合できないなど原因は様々ですが運動では使われない能力が障害されている可能性が非常に高いです。

 行為を対象に介入することが大切なリハビリにおいて、運動と高次脳機能障害をわけずに行為そのものを観察し分析し介入していく必要があります。
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手と目の協調とは?

手と目の協調とは

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視覚と手の行為は強いつながりを持っています。針の穴に糸を通す、文字を書く、洗い物をする…目でしっかり見ながら行うことで高い精度を実現しているのは言うまでもありません。手に限らず足でも目との協調は重要で、ボールを蹴るなど限定された行為では視覚は必須です。ですが階段を上る、歩くなどリアルタイムで足をみながら行わない行為の方が足では圧倒的に多く、手とは明らかに視覚の使われ方が異なっています。

 そこで今回は、この目と手の協調について患者さんの経験談を踏まえて書いていきたいと思います!!

手と足の視覚の役割の違い

さて冒頭でも書いた通り、手の行為には視覚が大きく貢献しています。見ながら書いた文字と目を閉じて書いた文字のきれいさを考えれば一目瞭然です。一方で足では必ずしも視覚が重要な役割をしているかというとそうでもありません。これはどういうことなのでしょうか?
 そもそも行為において視覚がもつ役割は、物体の位置と意味を知ることです。もう少し分かりやすく言うと、物がどこにあるのか?その物が何なのか?です。
例えば食事中にのどが乾いたら<コップがどこにあるか>が分からなければなりません。これを知るためには視覚がもっとも適切です。またサッカーをしている時ではボールがどこにあるのかを視覚で捉えて足を振りぬきます。

このように、物体に対して手や足を向かわせていく時に視覚は大きく貢献します。ここまで手と足で大きな差はありません。ですが、【物を扱う】つまり【道具を使用する】点で手と足で大きく異なってきます。<ペンで名前を書く>、<箸でご飯を食べる>、<スマホでスワイプ>するなど手は道具を使用します。この時には道具を動かしたことによる様々な【変化】を視覚で捉える必要があります。加えて、道具と環境との作用の状態も視覚で認識する必要があります。
例えば<ペンで名前を書く>では、道具であるペンを動かしペン先が正しく動いているのか、またペン先が動いたことで紙に正しく文字が書かれているかの2つを視覚で確認していることになります。よって手の行為は目と協調することによって精度が上げられのです。

では足ではどうなのでしょうか?ボールを蹴るなどの行為以外において、視覚はどの様な役割を持っているのでしょうか?それは<予測>です。歩行、階段昇降において視覚は「これから歩くところの環境を把握しどう歩くのかを予測する」役割を持っています。これは、歩いている時は数メートル先を見ていることや階段を下るときは数段先を見ていることからも容易に想像できます。

このように手と足では視覚の役割が異なっています。特に手では視覚が行為の質そのものを左右してしまうほど重要になっています。この目と手の協調を実感した患者さんについて書いていきます。

視覚性探索の持つ不思議

補足運動野を損傷すると【病的把握反応】がみられることがあります。握ったら離せない現象が主症状ですが、実は視覚が誘因になる現象が報告されています。目で見た物に無意識でリーチングしてしまう現象です。
 私が経験した症例もこの現象がみられていました。この方は把握反応と視覚性探索反応がみられていました。つまり手の触覚が加われば握ってしまい、目で見たものへリーチングしてしまっていました。この経験は視覚と手の関係性について考えていくには十分なきっかけでした。

 大切なのは介入において、視覚をどう使っていけば良いのか?です。脳卒中においては自分の手をみながら注意深く動かしてしまう、運動器疾患においては痛みに注意をしながら視覚性注意が十分に働いていません。このようにどの疾患においても【視覚をどう活用するか】は非常に重要です。そのことを私はこの患者さんに教えてもらいました。

 皆さんも介入における視覚について考える機会になれば幸いです。

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私が勉強する<理由>

私が勉強する<理由>

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 <生涯学習>

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の世界では呪文の様に唱えられている言葉であり、

勉強することが普通

と思わせるような魔法の言葉です。
 ですが周りを見渡せば毎日勉強している人は稀であり、国家資格を有していることを除けば普通の人と同じ生活を過ごしていると思います。そんな中、なぜ私は毎日論文を読み、講演し本を出しオンラインサロンを運営しているのか…今回はそんな他愛もない話をしていきます。

上には上がいる

 勉強のきっかけは好奇心でした。知識が増えていくことの楽しさ、周囲の人が知らないことを知っている楽しさから勉強を始めていきました。
 ですが日々勉強していくにはモチベーションが必要です。プライベートでは代わる代わる楽しいことがありますし、年齢によってステージは変化していきます。その中で学び続けていくためには何か【理由】がなければ続けることは難しくなっていきます。
 そのことを実感したのは理学療法士になって3年が経過した頃です。勉強してもしても知らないことが数えきれないほどあり、改善出来ない患者さんはたくさんいました。そうなってくると勉強をいくらしても足りない状態に陥ります。そんな中でも私が勉強を続けられたのは、職場外の仲間の存在です。上には上がいます。自分よりもっと勉強している人、知識の多い人との出会いは私の勉強の意欲を駆り立ててくれました。

 また職場を変えたことも自分にとっては非常に良い刺激になりました。人は慣れには勝てません。「こんなもんで良いか」を1度でも許してしまうとずっと続いてしまいます。その状況を打破するためにも環境を変えることは時には必要なのかもしれません。

臨床の変化

情報が変われば行為が変わる

認知神経リハビリテーションで言われている言葉ですが、私にも当てはまりました。知識が増えてくれば、臨床はどんどん変化していきます。時には悪い方向にいく事もありました。ですがそれも今では良い経験です。
 知識とは別に経験も自分の臨床を変化させます。急性期、回復期、生活期で臨床が変わるように、回復期から保険外という変化をした私の臨床は、患者さんが納得できる説明や目標に特化した介入など臨床を大きく変化させました。もちろんセラピストとしての経験年数も影響していたのだと思います。
 勉強していないと不安…そう感じる人もいると思います。患者さんの人生を大きく左右する数か月間を担当するのですから当然です。ですが、不安は患者さんに伝わり介入の効果を下げてしまう事もあるでしょう。
 今持っている技術知識以上のことは患者さんに提供できません。この技術知識は1日でみに付くようなものでもありません。日々の積み重ねです。
 今自分が持っている物は何なのか、何が強みで何が弱みなのか。これを常にメタ認知して臨床に臨むことが大切です。その中で最良の臨床を展開していく思考こそが私の強みです。

 勉強を続けていくことは容易ではありません。時には休むことも必要だと思います。また勉強したいと思って時にこのプロリハ研究サロンが少しでも良い環境になるのなら私はそれ以上の嬉しいことはありません。

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臨床を言語で表現するためには? -ロジカルリハビリテーション-

臨床を言語で表現するためには? -ロジカルリハビリテーション-

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 リハビリの臨床は、理学療法士・作業療法士の体性感覚から得られる情報を重要視する傾向が非常に強いです。抵抗感、硬さなど実際に患者さんに触れなければ分からないことが多いのは確かにあります。ですがそれらを言語化せず「昨日よりやわらかいですね」「動きがスムーズになりましたね」などセラピストの中で完結してしまうと、それは根拠がない事柄になってしまいます。

 そこで今回は臨床を言語化することの大切さとその方法「ロジカルリハビリテーション」について書いていきたいと思います。

なぜ言語化が大切なのか

 エビデンスが重要視されている昨今、セラピストは論文を読まなければ臨床をするのが難しくなってきています。論文は、当然全て言語で表現されていてその中に書かれている文章を臨床に持ち込むことで根拠を作っていくことが出来ます。この言語には専門用語はもちろん数字で構成されていて、根拠を示していくためには言語が必須であることが分かります。

 導入部分で書いた通り、セラピストの体性感覚で感じられた変化は一見言語で表現されているように見えますが、ここで大切なのは数字を用いることです。硬さは硬度計で計測できますし、スムーズさは時間や速度で測ることが出来ます。一方で、数字で表現できない質の部分があることも事実です。この場合は、出来るだけ細かくその時の状況を描写し数字化出来る評価や検査結果と合わせておくことが重要です。

 この時重要なのは、理由を明確に言語化することです。やわらかくなった、スムーズになったのは数字で表現できますが、どうしてやわらかくなったのか・スムーズになったのかは数字では表現できません。言葉で書き記すしかないんです。ですが、この理由だけ言語化しようとしてもなかなか難しいのが実際で臨床すべてを言語化しておかなければなりません。

 例えば患者さんの目標をはじめ、観察結果、評価・検査結果、分析結果、問題点、プログラム全てにおいて言語化していく形です。この方法は意外とやっておらず、一軒難しく感じますが、やり方さえ覚えれば誰でもできます。

ロジカルリハビリテーション

 コミュニケーションの分野で、相手に伝えるためにロジカルシンキングを用いる方法が脚光を浴びています。論理的に順を追って説明していけば、無駄なく絶対に伝わるからです。

 このロジカルシンキングをリハビリテーションに用いたのがロジカルリハビリテーションです。この方法には3つのメリットがあります。

  1. 臨床思考を整理する
  2. 患者さん・ご家族・他のセラピストに伝わりやすい
  3. 根拠を持って臨床を説明できる

 論理的に説明するためには、材料となる情報収集をしっかり行わなければなりません。結果根拠が生まれます。また、1つ1つを言語化していくことで自分の頭の中が整理されて臨床で悩むことが無くなり常に考えて答えが出せるようになります。その結果、説明していく時に順を追って説明できるようになります。

 このように、臨床を言語化して行っていくことは非常にメリットが大きく、自分の成長も目に見えて実感できます。一方で、やり方を知らなければなかなか身につかずいつまでも「なんとなく…」がなくならないリハビリになってしまいます。

 プロリハ研究サロンでは、このロジカルリハビリテーションを軸に筋や関節、脳から高次脳機能までの知識を知ることが出来ます。

 ぜひ1度参加してみてください。

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