初めに、3つの言葉それぞれに触れていきたいと思います。今回の言葉の意味合いは、リハビリの臨床で頭を整理しやすくする目的で、少し解釈をアレンジしています。
1,運動
<力が作用することで物体が動くこと>
人でいうと、関節を動かすことからランニングまで、幅広く【運動】ということが多いです。『運動しましょう』のような使われ方です。ではリハビリの臨床の中ではどういう使い方が良いでしょうか?動作や行為と分けるために、『肘を曲げる』のような【重心の移動を伴わない動き】を運動と理解すると、分かりやすいと思います。
リハビリでは、この運動の獲得をゴールにすることはまずありません。「肘を動かせることが最終目標です」なんてことはありませんよね?
行為の観察・評価・分析をして、「どの運動に問題があるのか?」を考える時に、【運動】を使用します。例えば、立ち上がりの獲得を目標にした場合、『膝関節の【伸展の運動】に問題がある』と、使います。
2,動作
<2つ以上の関節が協調して運動することで、重心移動が生じること>
重心移動と同時に、支持基底面(身体を支持する外部環境と接している面積)の変化が生じます。<動き始めてから止まるまで>を動作としていて、起き上がり動作、立ち上がり動作のように使います。
また行為との使い分けとして、動作自体には目的を含まないことに注意してください。
具体的には、何のために起き上がったのか?起き上がって何をしたいのか?などの目的は含まずに、【起き上がりという身体的な動き】を動作と指しています。こう考えることで、動作分析の時に、意図や目的など、難しいことを取り除いて考えることができます。
よって、リハビリの臨床では、日常生活の起き上がりは、起き上がり動作を目的とせず<目的を達成するための起き上がり(行為)を獲得する>思考が大切になります。