次に知覚です。知覚と感覚の大きな違いは、刺激を自覚できるかどうかにあります。無数に入力されている感覚に注意を向け、自覚し刺激を知るプロセスが知覚になります。感覚よりも多くの機能が必要で、高次の機能と言えるかもしれません。
知覚の重要な点は、人が知覚出来るのは1つまでということです。同時にいくつもの刺激を知覚することは、基本的には出来ません。
例えば、椅子に座ってPCを操作している時、知覚しているのはPCの画面、つまり視覚になります。座っていることで感じている、臀部の座圧や足底の接触感などは意識すれば知覚出来る状態になっています。ですが、座圧や接触感に集中すると、PCの画面が見にくくなると思います。これが、1つのことしか知覚出来ないということです。注意機能が関わっているためで、意識との関係が強いためです。
では、歩行中はどうでしょうか?足が常に動いている状態ですが、基本的には視覚からの情報収集に注力しています。この時の下肢の接触感覚や運動覚は知覚されているわけではなく、無意識で処理されています。ここで重要なのは、いつでも注意を向ければ知覚できる状態である点です。脳卒中などで感覚障害が生じると、意識しても知覚出来ない状態になっていることがほとんどです。つまり、すでに書いた感覚の障害ではなく、知覚の障害が生じているケースが圧倒的に多くなっています。
では、知覚にはどんな種類があるのでしょうか?接触を例に挙げていきます。
- 刺激があるのか、無いのか
- 身体のどこに刺激が入力されたのか
- どれくらいの圧の刺激か
- どれくらいの大きさの刺激なのか
- どれくらいの長さ刺激が加わっているのか
- どんな感じがするのか(硬い柔らかいなど)
この他にも摩擦や温度など様々な知覚があります。表在感覚を評価する時には、これらすべてを評価して患者さんが知覚出来るもの、出来ないものを整理していきます。