無意識で行っていた行為を再獲得するためのポイント

無意識で行っていた行為を再獲得するためのポイント

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

リハビリテーションは、全人間的復権を目指し病前行っていた行為を再獲得することが目的の根幹にあります。基本動作(寝返り、起き上がり、立ち上がり)、歩行、階段昇降、上肢行為など様々な行為が対象となり患者さんのニーズや文脈によって決定されます。
 そのような臨床の中で大切なのは、セラピストが「もともと無意識で行っていた行為を再獲得するためにはどうすれ良いのか?」を知っていることです。皆さん今日の朝どうやって起き上がったのか覚えていますか?もし脳卒中になったらその起き上がり方思い出せますか?今回はこの点について書いていきます。

意識していた行為が自動化していく

 無意識に行える行為で最も有名なのは歩行です。歩いている時にはCPG(central pattern generator)と呼ばれるリズム生成器のシステムが働き無意識で下肢が交互に振り出されます。ですが、脳卒中や下肢骨折などにより歩行が思うように行えなくなると、前頭葉が本来よりも大きく活動することが分かっています。つまり足をどう出そうか、どう支えようか、どうバランスを取ろうかと考えるためです。
 ここで1つ大切なのは、この前頭葉が過活動している歩行を繰り返していれば自動化するのか?ということです。学習によって本来の歩行のときと同じ脳活動に戻るのか?ですね。答えは戻る人と戻らない人がいるです(ちょっとずるい答えですが…)。ここの違いには高次脳機能障害と歩行能力が大きく関わっています。転倒リスクが高い人や失行症などは歩行の自動化を阻害します。その場合ただ歩く練習を繰り返すだけではいつまでたっても歩行中に前頭葉が過活動し、実用的な歩行の獲得が難しいということになります。

 ではどうすれば良いのか?通常行為は無意識で行われますが、獲得していく時には身体や環境に注意を向け情報収集し学習していく必要があります。立ち上がる時の両下肢の位置、体幹の前傾など立ち上がりに必要なコンポーネントを文脈に沿って学習していくことで立ち上がりが獲得できるイメージです。ですが立ち上がりの最中に「両下肢の位置…」「体幹をこれくらい傾けて…」と考えてしまうと、自動化が遅くなってしまう可能性があります。もちろん動作練習は動作を習熟させていくためには必要です。ですが、繰り返す=改善ではないことは知っておく必要があります。

無意識の行為は意識出来ることが大切

 歩行中に皮質が全く働いていないかというとそうではなく、しっかりと前頭葉は働いています。前述したような「足をどう振り出そう…」という思考ではなく、いつでも歩行をコントロールできるようにモニタリングしていると考えられています。例えば横から突然人が出てきて止まる、方向を転換する、ちょっとした段差を越える、少しスピードを速くするなどリズムが変わる瞬間には前頭葉が重要です。
 よって無意識で行っている行為でも、人は必要に応じて意識することが出来ます。ここが大事なんです。自分が意識したい所に注意を向け適切な情報を得ることができる。だからこそ行為が自動化しているんです。

 本記事の冒頭で書いたように、今日の起き上がりの仕方は思い出せませんが明日起きたときに意識すればどう起き上がっているのか分かると思います。これは適切に注意を向けられ意識できて記憶できるからです。つまり起き上がりが学習されているからなんです。自動化された行為はいつでもマニュアルに切り替えられます。この両側性が行為には必要です。しかし道具を使用する行為は道具がなければマニュアルに切り替えられない行為も存在します。箸の持ち方などが典型例です。このような行為には接触情報がとても大切です。よって介入でも接触を取り入れた介入が大切になります。

 いかがでしたでしょうか?無意識で行っていた行為を再獲得し自動化するにはいろいろな工夫が必要です。反復に加えて注意を向けるところや意識することなどを考えて介入を組み立てていくと患者さんの学習を促していきやすいと思います。

ロジカルアナリシス

kindle限定で発売中!
価格 500円!!

ブログでも書き続けている分析をロジカルに行う方法がついに書籍化!
分析の思考から介入にいかすところまで全てを言語化して根拠のある方法を実践したい人必見です。

ご購入はこちらから↓(Amazon)
ロジカルアナリシス

基礎から学びたい人から臨床を高めたい人まで
オンラインサロン会員募集中です!!

論文引用=根拠?

論文=根拠?

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

先日理学療法ガイドラインが発行され話題になっていますが、そもそもリハビリテーションにおいてよく耳にする「根拠(エビデンス)」とは何なのでしょうか?人そのものを対象にしている医療に属するリハビリにおける根拠は、人体を対象としている医学の根拠とは分けて考えなければならないと思っています。

そこで今回は、リハビリにおける根拠について書いていきたいと思います。

論文は参考資料

最近の学会での症例発表では、たくさんの論文を引用して臨床を形作っているものを見かけます。私も学会で発表する時には、自分の臨床が客観的に見て効果があるのかどうかを証明するために論文を引用します。これには3つの意味があると思っています。

  1. 自分以外にも同じ意見の人がいる
  2. 自分以外にも同じ臨床をして患者さんが改善した経験の人がいる
  3. 研究などの知見が自分の臨床を後押ししている

自分が一人で言っているわけではない、知見を参考にしているという姿勢を見せるためには論文を引用するのが最も有効な手段になります。

 ですが、私は研究者ではありませんし研究には詳しくありません。さらに、ケーススタディのケースの患者さんには当然会ったこともありませんし見たこともありません。つまり論文の知見はあくまで参考程度に留めておかなければならないと思っています。

 例えば、「歩行の立脚期において中殿筋が活動している」は多くの人の歩行中の筋活動をみたり物理的な観点から説明されたりしています。また「話す時にはブローカ野が活動する」も多くの人で証明されています。このような、「人」である限り共通の【機能を有している】ことで臨床に参考資料として使用できます。ですが、これらの知見も「どう臨床でいかすのか?」については、患者さんの背景や文脈、目標などの個人因子や環境因子が大きく関わり論文の知見をそのまま引用するには限界があります。
 これらのことから、論文をたくさん引用する=根拠があるわけではなく引用しないよりは引用したほうがよく根拠があるかどうかを考えるためにはもっと大切なことがあると思っています。

言語化出来ないことは根拠を証明できない

 私は臨床を言語化する作業をとても重要視しています。なぜそう考えたのか?どうしてその介入をしようと思ったのか?患者さんに何が生じて変化したのか?これらを言語化できるかできないかは、根拠をもって臨床に臨めるかどうかを大きく左右すると思います。
 この言語化するということは、説明できることと言い換えられます。患者さんに説明する、セラピストとディスカッションするなど自分の臨床を説明する場面は多くあります。その中で明確に説明できるかどうかは、根拠を持って臨床出来るかと密接につながっていることになります。つまり、みんなが納得できるかどうか?が重要です。この言語化していく作業の中で、論文の知見を取り入れられることが出来れば、非常に効率的に臨床を組み立てることができます。

 このような私が大切にしている臨床思考を「ロジカルシンキング」を用いて行うことから「ロジカルアプローチ」と呼んでいます。根拠がある臨床を行っていきたい人は是非ご参考ください!!

ロジカルアナリシス

2021.11.1 kindle限定で発売決定!
価格 500円

ブログでも書き続けている分析をロジカルに行う方法がついに書籍化!
分析の思考から介入にいかすところまで全てを言語化して根拠のある方法を実践したい人必見です。

ご予約・購入はこちら↓(Amazon)
ロジカルアナリシス

基礎から学びたい人から臨床を高めたい人まで
オンラインサロン会員募集中です!!

認知神経リハを学びたい人におススメの本

認知神経リハビリテーションを学びたい人へおススメの本

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

私が継続して勉強するきっかけを作ってくれた【認知神経リハビリテーション】ですが、書籍もここ10年でたくさん出版されています。
そこで今回は、認知神経リハビリテーションをこれから学んでいきたいと思われている方向けに、おすすめの本を紹介していきたいと思います!

認知神経リハビリテーションの専門書

1、脳の中の身体 認知運動療法の挑戦

宮本 省三(著)

脳の中の身体

私の認知神経リハビリテーションの入り口となった本。なぜ患者さんが良くならないのか、今のリハビリテーションの課題は何なのか。自分はどこに向かって勉強すれば良いのかを示してくれた本です。非常にわかりやすく私も1年目の時に読んだ本なので一気読み必須です。

2、リハビリテーション・ルネサンスーこころと脳と身体の回復、認知運動療法の挑戦

宮本 省三(著)

リハビリテーションルネサンス

イタリアのサントルソで行われていた、認知神経リハビリテーションを日本に持ち込んだ、現学会長の宮本先生と認知神経リハビリテーションとの出会いから書かれている貴重な本。イタリアで行われるマスターコースに参加したくなります。また、脳科学や神経学などの基礎知識も分かりやすく書かれており、認知神経リハビリテーションの入り口に非常に適した1冊。リハビリテーションの常識が覆されました。

3、認知運動療法ー運動機能再教育の新しいパラダイム 

Carlo Perfetti(著)、小池 美納(著)、宮本 省三(著)、沖田 一彦(著)

認知運動療法 パラダイムシフト

認知神経リハの先駆けとなる認知運動療法と言えばこの本です。通称パラダイム本。初学者には難解な部分も多いかもしれませんが、臨床で試したくなる内容が満載です。また、認知運動療法の基礎概念から人を見る基礎まで幅広く書かれており、いつまで経っても愛される1冊です。

4、脳のリハビリテーション:認知運動療法の提言<1>中枢神経疾患 

Carlo Perfetti(著)

脳のリハビリテーション

パラダイム本よりも分かりやすく書かれている印象を持つ本です。中枢神経疾患に対する、認知運動療法の方法が細かく書かれており、訓練で使用される道具も1部書かれています。より臨床に持ち込みやすい内容になっています。ベーシックコースなどに参加されて臨床で行いたい人におススメの1冊です。

認知神経リハビリテーションの臨床に役立つ

1、妻を帽子と間違えた男

オリヴァー・サックス(著)

妻を帽子と間違えた男

私の臨床における患者の観察方法に大きな影響を及ぼした1冊です。珍しい現象に立ち向かう、作者の思考を中心に内容が展開されていきます。タイトルにもなっている相貌失認では、その奇怪な現象におどろかされます。認知神経リハビリテーションにおいて必要な観察のイロハが見て取れる貴重な1冊です。

2、身体化された心

フランシスコ・ヴァレラ、他

身体化された心

とにかく悩む1冊です。認知神経リハでは哲学が非常に多用されています。その中でもメルロポンティ、ルリアにならび良く名前が出てくるのがこのヴァレラです。【人】を考える学問にはいろいろなものがあり、視点も様々であることを教えられます。難しい本が好きな人は是非。

3、臨床するオートポイエーシス

河本 英夫(著)

臨床するオートポイエーシス 河本 英夫(著)

私が非常にお世話になっている河本先生の著書です。哲学的観点から、認知神経リハを観察し展開される1冊。オートポイエーシスという観点から、人の回復を考えて行きます。身体化された心と同様、非常に難しい内容ですが、おすすめです。

4、リハビリテーション身体論ー認知運動療法の臨床×哲学

宮本 省三(著)

リハビリテーション身体論

タイトル通り、臨床と哲学を結びつける貴重な1冊。私の中では臨床において哲学をどう生かせるのかの手掛かりを得ることが出来た大きな1冊です。哲学って楽しいと気付かせてもらいました。何人もの哲学者の1言1言を、著者が臨床へいかせるカテゴリまで細分化してくれています。人と人との関りが非常に大切な認知神経リハにおいて、重要な1冊です。

認知神経リハビリテーションの臨床の姿

1、ペインリハビリテーションを生きて

江草 典政、三谷 直子、中谷 俊彦

ペインリハビリテーションを生きて

私も大変お世話になっている、痛みのスペシャリストである江草先生による1冊です。患者さんの思考とセラピストの思考が絡み合うように書かれた内容は、臨床そのもののリアリティを追及されています。難治性疼痛に挑む患者さんとセラピストのリアルな現場を感じたい人におススメです。臨床では自由な発想が求められることを痛感させられます。

2、臨床は、とまらない

唐沢 彰太(著)

臨床は、とまらない

勝負の場は臨床だ。今持っている知識で患者さんをどう考えて行くのかが重要で、その方法と熱量を持っている事がセラピストの役割である。知識や技術で不足している分を頑張って埋めようともがき、患者さんの改善へとつき走る私の臨床を書いた1冊です。知識や技術ではなくリアルな観察や分析、そこに対するEBMを意識した1冊になっていますので是非!!

いかがでしたでしょうか?認知神経リハビリテーションに興味がある方はぜひプロリハ研究サロンへお越しください。

ロジカルアナリシス

2021.11.1 kindle限定で発売決定!
価格 500円

ブログでも書き続けている分析をロジカルに行う方法がついに書籍化!
分析の思考から介入にいかすところまで全てを言語化して根拠のある方法を実践したい人必見です。

ご予約・購入はこちら↓(Amazon)
ロジカルアナリシス

基礎から学びたい人から臨床を高めたい人まで
オンラインサロン会員募集中です!!