予測なしで動くのは大変…?

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

人は運動しながらいろいろなことを感じ、感じるために動いて生きています。
日常生活においても実感できるこのサイクルは、行為を行っていくためにはなくてはならないものです。
例えば、

  • シャンプーがあとどれくらい残っているのかを確かめるためにボトルを持つ
  • ベッドを買うときに、硬さを確かめるために座る
  • タオルの手触りを確かめるために優しく触る

この時、思っていた感じと違っていた時の驚きを誰もが感じたことがあるのではないでしょうか?

  • シャンプーが思っていたより少なくて、軽かった
  • ベッドのマットレスが思っていたより柔らかくて、座ると凄く沈んだ
  • タオルの手触りが思っていたより硬く、手触りが悪かった

このような現象はどうして生じるのでしょうか?
これを知っておくと、人の動きのメカニズムを知っていく上で大切な手掛かりとなります。
今回はこの「予測」について書いていきたいと思います。

視覚からいろいろなことを予測している

人には五感があります。

 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚(体性感覚)の5つですが、人が行為を行う上で最も多くの情報量を脳に提供しているのが「視覚」です。
 <百聞は一見に如かず>という諺があるように、人の視覚に対する信頼度は非常に高いことがうかがえます。

では、人は行為において視覚からどんな情報を得ているのでしょうか?
いくつかの行為で考えて行きたいと思います。

上肢と視覚

1.コップを持つ

 コップなどの物を持つ時には、視覚はどの様な情報を脳に提供しているのでしょうか?

  • 物の同定:これから持つために見ている物が「コップ」だと認識するための情報
  • 物の位置の同定:
    コップがある場所がどこかを認識するための認識。自分から見て正面かどうか?机のどこにあるか?など様々な空間内で認識が必要
  • コップの重さの予測
    今まで持ったことのあるコップなどから今から持つコップの重さを予測することで、どれくらいの力で持ち上げれば良いのかの手掛かりとする。
  • コップの触覚の予測
    コップに触れたときの手触り、硬さ、温度などを予測して、コップを持った時の力加減や触れる面積などの手掛かりとする。

コップを持つ時の視覚の特徴としては、コップを認識して手を伸ばす方を決定するリーチングに関することと、コップを持つことに必要な<予測>をすることにあります。

2.鍵穴に鍵を入れる

  • 鍵穴を認識する:コップの認識と同様
  • 鍵穴の位置と向きを認識:コップの時の位置と同様
  • カギを入れた時、また回したときの感覚の予測
    鍵穴に入っているか、また入れた鍵で合っているかなどの手掛かりに使用されます。

コップの時のような【持つ】動作がないため、何かを持った時の予測はありません。一方で、カギを回したときの感覚の予測がされています。

全身運動と視覚

3.段差昇降する

  • 段差があることを認識する:
    歩行から段差昇降をするための動作に変更する手掛かりに使われます。
  • 段差の位置を認識する:
    今の自分の位置からどれくらい先に段差があるのかを認識します。
  • 段差の高さを認識する:
    どれくらいの高さなのかを手掛かりに、足を上げる高さを予測します。

 段差昇降の時の視覚は、段差に関する情報収集を中心に行われます。
安全にかつスムーズに段差をのぼるために必要な情報を視覚が脳に伝えてくれます。

4.外を歩く

  • 周囲環境の情報収集:
    車などの危険はないか、自分の進む方向はどっちかなど環境の把握を行います。
  • 歩行速度・歩行の自覚:
    周囲で流れていく景色と体性感覚と合わせて、自分がどれくらいの速さで歩いているのか、自分の足で今前に進んでいるといった自覚をします。
  • 路面・床面の形状を認識する:

これから歩くところの形状の上を歩くとどんな感じがするのか、その感じに必要な姿勢の制御は何なのかを予測するために使用されます。

予測で動けるようになると動きはスムーズになる!

4つの行為で視覚の役割を見てきましたが、全ての行為で共通しているのが<予測>です。
この予測は、今までの経験や記憶をもとにされるのが前提で、雪の上を歩いたことがない人と毎年歩いている人では、今から雪の上を歩くときにされる予測は全く異なるのは想像に難しくないと思います。

歩いたことがある人は、ほとんど普通の道を歩くように歩けますし、歩いたことがない人はひっぺり越しで全身に力を入れてへんてこりんな歩き方になります。
これは、雪を歩いた経験から、これから雪の上を歩く!という状況ですでに、踏みしめた感覚などを予測することが出来るからなのです。

 この予測は、初めて行った動作の時は働きにくく、動作が習熟すればするほど出来るようになってきます。
つまり、習熟した動作であればあるほど、予測のみで動けるくらい脳の負担は減っていきます。
学習とのつながりが強いんです。
いわゆるルーティーンに似たような感じかなと考えています。

 人がいかに予測で生きているのか、反対に言えば予測が出来なければ人はスムーズに動く事すら出来ないのかがお分かりいただけたと思います。
この予測がもし違うことに使われていたら…痛みがある人が動く前から痛みを予測したり…脳血管疾患の人が代償運動を予測していたら…。

介入に新しい視点を得られるきっかけになれば幸いです。

そこで、高次脳機能障害の観察のセミナー行います!!

ぜひご参加ください!!詳細はこちらから

【高次脳機能障害を観察する!!】

基礎から学びたい人から臨床を高めたい人、成長したい人まで
オンラインサロン会員募集中です!!

そもそも認知ってなに?

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

リハビリテーション(以下リハビリ)に携わっていると、認知という言葉に頻繁に触れると思います。
例えば<身体認知>や<空間認知>などのように<○○認知>は皆さんもよく聞くのではないでしょうか?
また【認知症】のように疾患名になっていたりもします。

このように、様々な使われ方をしている認知とはそもそもなんなのでしょうか?
今回は、この認知について書いていきたいと思います。

認知とは自分なりに解釈して対象を知ること

まず認知ということばを考えていく時に最も分かりやすいのは、感覚に関する認知です。
感覚は次のような順序があります。

  1. 刺激が身体にある受容器に加わる
  2. 受容器それぞれに対応した神経を通じて脳に伝達する
  3. 視覚なら後頭葉、体性感覚なら頭頂葉、聴覚なら側頭葉といったように、受容器に応じた脳の領域で処理されていく
  4. それぞれの処理過程で、知覚される段階まで来ると【意識出来る】ようになる
  5. 刺激が【何なのか】を記憶をもとに解釈することで、環境や自己身体を<認知>する

この過程は、感覚-知覚-認知を少し詳しく書いたものです。
視覚なら光、聴覚なら振動、体性感覚なら物理的な力といった刺激を脳で処理していくことで、ただの刺激が意味のある感覚へと変化していきます。

さて、もう少し簡潔にみていきたいと思います。

<感覚>

まずここで言う感覚とは、刺激が脳に伝達された時点でのものになります。
まだ意識もされておらず、絶え間なく脳に入力されているのが感覚です。
例えば視覚では、視野に入っている物は脳に伝達されていますし、座っていれば座圧や接触などの感覚も同時に伝達されています。

<知覚>

この脳に入力されている感覚に対して注意を向けて意識すると、知覚が生まれます。
例えば、視覚で今何かを見ている自覚がある、明るい/暗いなどの差が分かるなどが知覚です。
また、感覚は意識しなくても運動やバランス保持などに使用されていて、正確に使用されていれば知覚と呼ぶこともあります。

<認知>

この知覚を元に、知覚した対象を知ることが認知になります。
この認知には能動性が必要で、自分で認知する対象に注意を向ける必要があります。
注意を向けると、今知覚している物と自分の記憶を比較することで、【解釈(=意味を与える)】します。
例えば、今見ているのは椅子だ。椅子は座るものだ。あの椅子は背もたれがないなどの他の椅子との差が分かるなどが挙げられます。

このように、人は知らず知らずのうちに記憶と比較して知覚を認知し、いろいろなことを知っていきます。

これが【認知】です。

この認知に問題が生じるのが高次脳機能障害になります。

高次脳機能障害は行為を障害する

先ほど書いたように、認知には能動性が必要で、基本的にはこの能動性は行為として現れます。

コップの重さを知るために持つ、反対に持つためにはコップの重さを知る必要があります。ですが、持ってから重さを知るのでは間に合わないので、視覚でコップを認知した時点で、今まで持ったことのあるコップの記憶から、これから持つコップの重さを予測します。

これも【 認知 】です。

このように、行為には認知が必要不可欠で、高次脳機能障害は行為を障害していきます。
この行為を観察/分析することで高次脳機能障害を見抜いていくことが大切です。

そこで、高次脳機能障害の観察のセミナー行います!!

ぜひご参加ください!!詳細はこちらから

【高次脳機能障害を観察する!!】

基礎から学びたい人から臨床を高めたい人、成長したい人まで
オンラインサロン会員募集中です!!