脳の右半球と左半球は結局どう違うの?

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

脳の大脳皮質は左右で分かれており、機能が異なっている…。
左半球が言語で右半球は空間。

ここまではご存知の方は多いと思いますが、結局どう違うの?具体的には?と悩まれている方も多いと思います。
そこで今回は、本を読んでも分かりにくい部分を、私が経験した1000人弱の右半球損傷と左半球損傷の患者さんを中心に書いていきたいと思います!

右半球損傷と左半球損傷は全く別の病気

脳の右半球と左半球の違いを知る時に、最も役立つのは脳血管損傷です。
つまり、右半球損傷と左半球損傷のそれぞれの患者さんの特徴を捉えて、比較することでたくさんのことが見えてきます。

こういう時の比較は、違いが見えてくるのと同時に、共通点も見えてきます。
例えば、皮質脊髄路の損傷で運動麻痺が生じることなどが共通点です。
この共通している病態や特徴は、左右の脳で大きな機能の差がないことを教えてくれます。

一方で、比較することで見えてくる違いは非常に多く、同じ脳卒中でも左と右どちらの半球を損傷したのかによって全く異なる疾患になっていきます。
ここで重要なのは、血管が詰まる、血管が破れるなどは共通しているけど、後遺症が異なっているという点です。
「左右どちらの脳の」
「どの領域を」
「どれくらいの範囲」
障害されたのかによって、見られる症状が決まってきます。

例えば、頭頂葉を損傷すると次のような症状が見られます。(図1)

図1 頭頂葉損傷による高次脳機能障害の一例

これらを見ると、左半球は言語で、右半球は空間なことが分かります。

では、高次脳機能障害以外で左半球と右半球の違いは生じるのでしょうか?
私の経験が中心にはなりますが、皆さんの臨床と照らし合わせながら読んでみて下さい。

体幹は身体部位のどこよりも高次脳機能をあらわす

左半球損傷と右半球損傷で、私が最も違いを感じるうちの1つが「体幹」です。
全ての行為の軸となる体幹ですが、その機能の中心は「正中性」です。
つまり、左右対称に保持することが出来る機能です。
安定して楽に座る/立つためには必須の能力です。

この体幹の機能は、左右の半球どちらの損傷をしたのかで大きな違いを見せます。

  • 左半球損傷:硬く回旋がしにくい
  • 右半球損傷;左右どちらか一側がつぶれ非対称

半球間の機能は、それまでの経験や個人差が多いため全員ではありませんが、患者さんの多くがこの傾向がみられています。
理由は定かではありませんが、実際にこのような傾向はあり、空間性の欠如の問題、下行性線維の左右差の問題などいくつかありますが、まだ仮説の段階です。

このように、高次脳機能障害のような特徴的なものから、身体的または感覚的な機能まで、左右半球で違いがみられています。

ぜひ、リハビリを行っていく上での新しい視点としてご活用ください。

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脳の右半球と左半球の違いを整理する

<脳は左右にわかれている>

脳について勉強したことがある皆さんは、ご存知だと思います。
脳が左右にわかれていて、それぞれ役割を持っている結果、左片麻痺/右片麻痺の方の症状が異なったり、左下肢/右下肢どちらを骨折するかによって痛みに関する症状が異なったりします。

ですが、左半球と右半球のそれぞれの機能はまだまだわかっていないことが多く、日々アップデートされていて新しい情報の収集が間に合わなかったり、新しい知識を臨床に取り込むのが難しかったり…
なかなか実際の臨床場面でいかせていない人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、右半球と左半球の機能を簡単に整理して、臨床場面でいかしていく方法を紹介したいと思います。

優位半球と劣位半球

こんな呼び方聞いたことありませんか?

  • 左半球を優位半球
  • 右半球を劣位半球

これは、人の特徴でもある【言語】の座があるかどうかで優劣を表現しています。

では、右半球は左半球に劣っているのかどうか?ですが、全くそんなことはありません。
これは、右半球を損傷された患者さんのリハビリを行ったことがある、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士(以下セラピスト)の方であれば経験されていると思います。

よって優劣のようなイメージよりも大切したいのは、

  1. 左右それぞれ役割分担がある
  2. 左右の半球が機能して初めて能力を発揮する

ということになります。

この左右の脳は【脳梁】と呼ばれる非常に太い神経束によって結ばれています。
この脳梁には様々な役割がありますが、その中でも左右の脳がお互いに情報共有することで、より円滑に働けるようにする役割を持っています。

ちなみに、最近ではよく耳にするようになった【半球間抑制】は、左右の脳がそれぞれ抑制と促通をしあっているメカニズムになります。

このように、左右の脳がどう関係しているのかなどの脳全体の特徴を知ったうえで、左右半球それぞれの役割を知ることが大切です。

左半球は言語、右半球は…?

先ほど書いた通り、左半球は言語に深く関わっています。
これは、ブローカが左半球に言語の中枢があることを発見した時から周知されています。
また、臨床上でも左半球を損傷すると【失語症】といった言語障害が生じることからも経験できます。

では、右半球はどのような役割があるのでしょうか?
失語症のように、脳損傷に伴う症状から考えて行くと、半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect:USN)や身体失認といったものがみられます。
これらの点から考えると、右半球は<身体への注意と、空間への注意を向ける能力>があると言えます。
つまり、目で見ている物に集中する、動いている身体に集中するなどの能力です。

このままだとまだややこしいので…
一言でいうと<空間認知能力>の基盤の多くが右半球にあるとなります。
前にも書いた通り、右半球だけで空間を認知しているわけではなく、左半球と連携していますが、右半球が重要な役割を持っているイメージです。

このように、左右の役割の大枠を掴んでおくと次に書く臨床でのいかし方がわかりやくなります。

左右半球の特徴から臨床を深化する

では、ここからは臨床について書いていきたいと思います。

ここまで書いてきた通り、左右の脳にはそれぞれ役割があり、特徴を持っています。
これらを考慮して、観察/分析/介入を行っていくとより深く臨床を組み立てることが出来ます。

私は、左半球損傷、右半球損傷それぞれの患者さんは全く別の疾患だと考えています。
それぞれ行う観察、情報収集、介入をわけています。
さらに、コミュニケーションや介入中の声掛けまで全て工夫しています。
実際にどうやっているのかはオンラインサロンでお話していますので是非!!

いかがでしたでしょうか?
本記事では本当にさわりの部分しか書いていないので具体的ではありませんが、楽しく臨床が出来る秘訣でもありますので、興味がある方は是非下のお問い合わせフォームからご連絡ください!!

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運動・動作・行為を使い分ける!!

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。

リハビリテーションの専門家として言葉を正しく理解して使用することはとても大切です・
臨床の中ではもちろん、多職種での連携が大切なリハビリではその面においても重要です。
その中でも、

運動・動作・行為

の3つは、なんとなく似ているように見える言葉ですが、実は全く意味が異なっている用語です。
そこで今回は、これら3つを意識的に使い分けることで、頭が整理されてリハビリの臨床がスムーズになったり他職種の方への説明がしやすくなるなど、非常に便利ですのでぜひご参考ください。

運動・動作・行為

まずは簡単に3つの言葉の違いに触れていきたいと思います。リハビリの臨床で頭を整理しやすくする目的で、少し解釈をアレンジしています。

1,運動

<力が作用することで物体が動くこと>
人でいいますと、関節を動かすことからランニングなどまで幅広く運動ということが多いです。
『運動しましょう』のような使われ方です。
ではリハビリの臨床の中ではどう考えれば良いでしょうか?
動作や行為と分けるために、『肘を曲げる』のような【重心の移動を伴わない動き】を運動と理解すると分かりやすいと思います。
リハビリにおいて、この運動の獲得をゴールにすることはまずありません。
観察や分析をしていく過程で、どの運動に問題があるのかを考える時に使用するイメージです。
立ち上がり獲得を目標にした場合、膝関節の【運動】に問題があると言った具合です。

2,動作

<いくつかの身体部位が同時に運動することで重心移動が生じること>
重心移動が生じるのと同時にに支持基底面(身体を支持する外部環境と接している面積)の変化も生じます。
時間軸としては、動き始めてから動き終わるまでを動作としていて、起き上がり動作、立ち上がり動作のように使います。
また行為との使い分けとして、この動作自体には目的を含まないようにしています。

具体的には、何のために起き上がったのか?起き上がって何をしたいのか?などの目的は含まずに、起き上がること自体を動作として指しています。
よって、日常生活では起き上がることが目的とならず、目的を達成するために起き上がると言った思考が大切になります。

3,行為

<目的や意図によって遂行される、複数の運動と動作がが組み合わさったもの>
つまり、行為は意図や目的が先行していて、注意機能やバランス能力など様々な機能や能力が同時的に働いていることになります。
リハビリでは、この行為の獲得が目標となります
「動作じゃないの?」と思われた方がもしいらっしゃれば、リハビリの時は出来るのに病棟では出来ない問題を考えてみると分かりやすいと思います。
この問題の重要な点は2つです。
 
1つは、リハ室と病棟では環境が違うこと。
これは病院と自宅など、いろいろなところで言われているのでなじみ深いかと思います。
もう1つは、リハビリ中と病棟生活や日常生活では、意図と目的が違うことです。
つまり、リハビリの時に行っているのは<動作>であり、病棟生活や日常生活で行うのは<行為>だということです。
リハビリの時は、動作を獲得するために様々な練習が行われていて、その動作を行うこと、更に言うと練習を行うことが目的になってきます。患者さんは、自分が<立ち上がってトイレに行きたい>といった意図に基づいて立ち上がるわけではないんです。
一方で病棟では、それこそトイレに行くために立ち上がると言った意図があります。そうなると、リハ室で行っていた動作ではなく、行為をする必要が出てきます。
これらを考えて行くと、リハビリ中にいかに意図や目的を持ちこんで、病棟の時の<行為>を改善するのかが重要になってきます。

どういう場面で使い分ける?

このように見ていくと、それぞれ特徴のある言葉だということがお分かりいただけると思います。
では、実際にこの3つをどう使い分けるのか?
 
結論から言いますと、分析時と介入時です。
患者さんの問題点と出来ている点を、それぞれ運動レベル、動作レベル、行為レベルでみていくことが大切です。
 
また介入時にも、今のリハビリがどのレベルで何を対象に行っているのかを、療法士は整理していくことが大切です。
介入の結果、どの様な変化が生じたのかを細かく見ていく為にも重要なことになります。
 
いかがでしょうか?
いつも何気なく使っている言葉かもしれませんが、すこし意識して使うだけで頭が整理されていくことを実感できると思います。
是非お試しください!!

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