失行症のリハビリテーション

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プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
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運動障害も感覚障害もないのに、意図した行為をスムーズかつ効率的に行うことが出来ない。失行症はそんないろいろな現象を引き起こす症状の総称です。教科書で使用した本にのっているような、「歯ブラシで髪を梳かしてしまう」「手で狐を作ったものを模倣できない」は一部でしかありません。

近年少しずつ解明されてきた失行症に対するリハビリテーションはまだまだ発展途上と言えます。そこで今回は、失行症を有する患者さんとのリハビリテーションについてポイントを整理しながら書いていきます。

失行症を見逃さない。それが大前提

はじめに、失行症について軽く触れておきたいと思います。
1920年代、Liepmanが失行症を定義し、観念失行、観念運動失行、四節運動失行に分類しました。後頭葉から前頭葉に向かって少しオーバーラップしながら【観念失行】【観念運動失行】【四節運動失行】を責任病巣と位置付けました。現在でもこの3つの分類は残っていて、<古典的分類>と言われています。臨床現場でもまだ使用されている名称であり、失行症を勉強していくと必ず聞くのではないでしょうか。その後Rothi、Ochipa、Heilmanらの素晴らしい貢献もあり失行症の研究は前進してきたようです。

このような歴史の中で最も重要なことは、<失行症とは何か?>がまだ定まっていないことです。これは、失行症の症状が多岐に渡ることが大きな要因で研究分野においても、失行症と一言でいっても様々な研究がなされている段階です。先述したような古典的分類では説明が難しい現象や新しく発見される現象など、失行症はまだまだ解明途中だと言えます。

このことは臨床にも大きな影響を及ぼしています。失行症が他の高次脳機能障害と比べて特徴的なのは、「なんとか行為が出来てしまう」ことです。もう少し分かりやすく言うと、「立ち上がれるけど何か変」「歩けるけど何かぎこちない」こういった程度の現象であることが多いのです。

すると、臨床においては<失行症を見逃してしまう>ことがよくあります。何とか出来るのならその動作を繰り返せば改善していく…臨床思考としては間違いではありません。ですが、失行症においてはこれは絶対に行ってはいけません。動作を繰り返して改善していくのは、運動学習が正常に行えるからで、失行症があるとこの運動学習が正常に行えずに動作が改善しない、むしろ悪化していくこともあります。

リハビリテーションの臨床では、まず失行症を見逃さないことが大切です。

検査をする、失行症がありそう…それから?

失行症を見逃さないためには、検査をすることが最も有効です。標準高次動作性検査(SPTA)など様々な検査があり、それぞれ特徴があります。それゆえに、検査結果から何を読み取ってどう介入にいかしていくかがとても大切です。

またそれとは別に、観察や動作分析から失行症を検出しにくいがために、失行症と行為の関係性を理解することが非常に難しくなっています。
つまり、模倣が出来ないことと歩きにくそうなことはどう関係しているのか?がわかりにくいということです。このことが、リハビリテーションを難しくしてしまい、本来のリハビリの目的である<生活・行為の改善>ではなく<模倣の改善>へと舵を切らせてしまいます。すでにお分かりかと思いますが、これではダメですよね?検査・評価結果から患者さんの病態を考えて、目標を達成するために介入しなければなりませんから。

そのためにも、失行症を理解するための知識と発見するための検査、それらを統合する思考方法を知り実践していく必要があります。

多くの失行症の症状は改善出来ます。これは私が臨床の中で多くの利用者さんを相手に実証してきました。皆さんの患者さんは失行症ではありませんか?動作練習では限界があります。適正で根拠のある介入をしていきたいと心から思います。

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