感覚の基本中の基本とちょっと豆知識

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 感覚は人が人らしく振る舞う為には、必須な能力です。
運動がどの動物よりも高度であるように見えるのは、道具を使用することが出来る手、2足歩行を可能にしている下肢、そしてそれらの行為を縁の下から支えている体幹の機能が重要なことは言うまでもありません。

 ですが、それらの手・下肢・体幹の高度な行為を遂行する為には、感覚も同様に高度な処理を行えなければなりません。
加えて、感覚は言語との関係が非常に密接で、知覚したものを言語化することで様々なことを認知しています。
そこで今回は、そんな感覚の基本中の基本の部分を簡単に書いた後、感覚がいかに高度なのかの豆知識を書いていきたいと思います。

受容器から知覚まで

 感覚は、体全体のあちらこちらにある様々な種類の刺激に特化した受容器に対し刺激が加わった瞬間から始まります。(知覚は刺激を受容する前の予測から始まります)

  • 視覚:光
  • 聴覚:空気振動
  • 表在感覚:接触、圧、振動、伸張など
  • 深部感覚:筋の伸張

このような具合です。
 さらに、これらの刺激は受容器より後で電気信号に切り替えられ、神経線維を通り脳へ伝達されます。
この脳でも感覚毎に処理される場所が異なっていますね。

  • 視覚:後頭葉
  • 聴覚:側頭葉
  • 表在感覚:頭頂葉
  • 深部感覚:頭頂葉、小脳

これらの脳に刺激が到達するまでに、脳で処理できる状態まで感覚は加工され、脳で処理されていく過程で知覚できるようになります。

 つまり、「目に光が入った!」という状態から、「今何か見ている!」そして、「今見ているのは○○だ!」と脳での処理によって知覚が進んでいきます。
もちろん実際は猛スピードで処理されていて、意識することは出来ませんがイメージするとこんな感じになります。

 感覚の種類によって、どの段階で知覚できるのか(感覚を意識出来るのか)、知覚するためには何が必要なのかなどのプロセスは異なっています。
その為、いわゆる感覚障害における原因は、感覚の種類によっても分けて考えなければなりません。
単純に「感覚麻痺だから」と片付けずに、「どうして感じないんだろう?」を突き詰める姿勢が必要です。

 通常感覚麻痺は、

  • 受容器の損傷
  • 受容器から脳へ伝達する際の障害(神経損傷、シナプスの障害など)
  • 感覚を処理する領域の脳損傷

の3つを指します。
これら以外の原因による感じにくさは、知覚障害と呼ぶことが妥当です。
人の身体の専門家である以上、正確に言葉は使いたいですね。

感覚を知覚し、物事を認知する

 さて、ここまで感覚の基本中の基本を本当に簡単に書いてきましたが、この感覚を非常に高次だと考えている理由を豆知識としてここから書いていきます。

まず【感覚は何のためにあるのか?】から考えていきます。

 感覚の大きな役割は2つあります。

  1. 環境を認知するため
  2. 自分を認知するため

 これら2つは、【地球という環境で生きていくために、行為を遂行する】目的で行われると考えることが出来ます。
つまり、環境と自分を捉え、行為を遂行していくためには感覚は必須であり、最も重要な能力であると言えます。

 スムーズかつ安全に歩くためには、材質や傾斜などの地面の状態を視覚や足底感覚、足関節の深部感覚などから把握し、動いている自分の身体をリアルタイムに知覚した結果から姿勢に昇華しなければなりません。
 このように、感覚は時間的にも空間的にも同時的に発生していて、これらを感覚毎に処理して時に統合し、新しいものを作り出していく必要があります。

個人的には、動く事よりも感じることの方が人間らしさを作り出す要素としては貢献度が高いと思っています。
 その理由はここまで書いてきたような、感覚の役割はもちろん、もう1つ認知という側面からも感覚の重要性が高いことが分かるからです。

知覚と認知と記憶

 感覚は脳に蓄積していきます。
一方運動は、知覚がなければ蓄積することが出来ません。
なぜか?
感覚が無ければ自分が動いたのかどうかすら分からないからです。

記憶によって蓄積された知覚は、いつでも再生できイメージすることが出来ます。
その記憶には運動が含まれており、運動イメージとして再生することも出来ます。

すでに書いた通り、感覚の役割は環境や自分を認知することであり、この認知には記憶が重要になってきます。
今までで見たことがあるのか、感じたことがあるのか、使ったことがあるのか…この記憶に基づいて<今>を知覚することが出来ています。

如何でしょうか?
いかに知覚が大切なのか、また高次なのかが少しでも伝わって頂ければ幸いです。
この知覚が障害されるということはどういうことなのか?
このことをセミナーで話していきたいと思います!

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運動と感覚を分けるのはもうおしまい

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 リハビリでは一般的に、運動と感覚をそれぞれ分けて評価をして介入していきます。
ですが、人が行為を行う上で運動と感覚はそれぞれ密接な関係にあり、お互いに影響を及ぼし合っています。
その証拠に、運動器官である筋は同時に非常に重要な感覚器官であり、その感覚器官である筋紡錘は正確に感覚を受容するために運動を用いています。(α-γ連環)

 そこで今回は、感覚のおさらいと感覚障害について書いていきたいと思います!

感覚が脱失していたらスムーズに動けますか?

私が学生の頃に行わせていもらった臨床実習で、視床出血の患者さんのリハビリを見学していた時の話です。
その患者さんは、非常にぎこちなく動いていて、歩行においては平行棒を両手でしっかりとつかんで目で足元を確認しながら行っていました。

 その時の私は、「何の疾患なんだろう…?」と疑問に思っていましたが、担当の理学療法士の方が、

「感覚だけに障害があると運動に問題はでないと思う?」

と質問してきました。

つまり、運動麻痺がなく感覚麻痺だけがある場合、その人の行為はどうなるのか?という質問だったのですが、私は普通には動けないだろうなと思う程度でした。
実際見学していた患者さんは、脳画像からも評価からも運動障害はなかったのですが、感覚障害によって行為を思い通りに行うことは出来ていませんでした。
このことがきっかけで、私は運動と感覚の深い関係性について考えるようになりました。

人は動物である以上動きますし、環境に適応する必要がある以上知覚します。
この2つは必然なので、人の身体を対象としているリハビリでは外すことが出来ません。
またそれ以上に、人は知覚するために動き、動くために知覚しています。
つまり、運動するためには知覚できなければならず、行為において知覚は非常に重要な役割を持っています。

評価をしていく時に、要素ごとに評価してその結果を統合し問題点を抽出していく作業は非常に一般的ですが、私はこの方法をとっていません。
この方法をとってしまうと運動と感覚の関係性が見えにくく、実際の患者さんの像と少しずつずれて行ってしまうからです。

 ではどうすれば良いのか?
それは、運動と感覚を同じカテゴリーに入れられるような分析の方法を行えばよいのです。

行為をベースに考えて行く

私は、臨床の目的は運動を改善することでも、感覚を改善することでもないと思っています。
関節が曲がるようになっても、その関節の角度を行為で発揮できなければ意味がないように、動くようになってもまた感じるようになってもその人の生活が良い方向に変化しなければ意味がないからです。
つまり、リハビリの臨床においてよく見て、よく考えなければいけないのはあくまで行為であり動作でなければなりません。

 更に、臨床における介入では、患者さんの得意な部分を使えるような方法で展開されていくことが大切です。
例えば、歩行の時に立脚期が安定していない時、筋力トレーニングをするだけではなく、立脚時の足底の圧感覚を使用した介入も引き出しとして持っておく必要があるということです。

 なぜか?
1つは、運動と感覚が関係しあっていて、立脚期の問題が運動だけではない可能性があるからです。
もう1つは、行為の特性を考えていくと、歩行における立脚期では身体を支えている側の足底に荷重され、体幹の立ち直り反応が出現するなどの特異的な関連がみられます。
この時に、股関節周囲には確かに筋収縮がみられるのですが、これは立脚期の時だけに見られる収縮で、他の姿勢や運動ではこの収縮を再現することは出来ません。

 つまり、歩行という行為において、様々な知覚、反応が生じた中で筋が収縮しているのです。

 この事を考えると、運動という側面のみから介入していくのでは不十分で、感覚/知覚を交え姿勢や反応を考慮した介入が必要になってくることが分かります。
そのために、行為をベースに考えいかにその行為の特性を介入に持ち込めるのか?が勝負になってきます。
このことを前提に、観察から評価、分析までを行っていくためには、運動、感覚というコンポーネントではなく、歩行の時の立脚期に必要な能力と、能力同士の関連性を考える必要が出てきます。
 もうすぐリハビリが日本に入ってきて100年…そろそろ運動と感覚を分けて考えるのをおしまいにしませんか?

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理学療法士の仕事って?

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 理学療法士(physical therapist:PT)は、その名の通り身体のセラピストでリハビリテーション(以下:リハビリ)領域における専門家として位置づけられています。
同様にリハビリ領域における専門家である、作業療法士(Occupational therapist:OT)や言語聴覚士(Speech therapist:ST)や医師・看護師・ソーシャルワーカーなどの職種とチームを組み患者さんのリハビリをサポートしていきます。

 実際どのような仕事をしているかと言いますと、病院やクリニック、施設や患者さんのご自宅で【リハビリ】をしています。
このリハビリとは何か?ですが、場所や患者さん、疾患や時期などによって異なっているのが現状です。
この自由度の高さが、PTにとっては楽しい所であり難しい所でもあります。

 今回はこの理学療法士の仕事にフォーカスして今後の可能性も含めて書いていきたいと思います!!

理学療法士は身体の専門家

 名前の通り、理学療法士は身体の専門家です。
ここで言う【身体】は、物理的な体だけではなく、その身体で動く・生活するということも含んでいて、広義で言えば【人】と捉えた方が実際の仕事内容とマッチングするかと思います。
つまり、脳やせき髄などの神経系、内臓、心理面、精神面すべてを含んだ【身体】を対象としているということになります。

 現在理学療法士は、怪我や病気によってこの【身体】に何らかの支障が生じた人と行うリハビリのチームの一員として働いています。
このチームが最も見えやすいのが、リハビリ専門病院とも呼ばれる回復期病院です。
医師、看護師、PT、OT、必要に応じてST一人一人が担当について、自宅へ帰るためにリハビリを進めていきます。

 この回復期では、PT/OT/STが脳血管疾患では各60分、整形外科疾患ではPT/OTで180分のリハビリを1日最大実施することが出来ます。
病院によって様々ですが、基本的にはPTが基本動作/歩行、OTが日常生活動作、STが言語を含む認知機能に対してアプローチしていきます。
ここで大切なのは、PTは下肢、OTは上肢という枠組みで行ってしまうとPT/OTが持つ専門性が発揮しにくいということです。

 すでに書いた通り、理学療法士は身体の、もっと言うと人の専門家です。
上肢も下肢もありません。
基本動作はすべて全身動作で、上肢にアプローチしないで基本動作を獲得することは出来ません。
動作獲得のために、動作を見て、身体に関する運動学、解剖学に加えて脳科学、神経心理学などの人を対象とする学問すべての観点からリハビリを行っていくことが大切です。
患者さんが何を思っているのか、考えているのか、脳はどう活動しているのか、身体に癖は無いか…この視点の多さもリハビリの自由度の広さなのかもしれません。

これからも理学療法士として生きていく

 理学療法士はリハビリ領域でしか働けないのでしょうか?
理学療法を行っていきたいのであれば答えはイエスです。
保険を使用して患者さんに理学療法を提供していくことしか出来ないからです。

 ですが、ここまでしつこく書いてきました通り、理学療法士は身体の専門家です。
理学療法士としての知識や経験はリハビリ以外の領域においても必要とされてきていることは身をもって実感しています。

 リハビリの実態がどうなっているのか?身体に問題を抱えている人の実際はどうなのか?さらに人を対象とする多くの領域では、理学療法士は重宝される存在です。
今後、理学療法士の可能性を広げていくためには、今まさに臨床現場で働いている方々が1歩踏み出すかどうかにかかっていると思っています。
 その為には、ビジネスや経済を中心とした様々なことを理学療法士は知らなさすぎるのかもしれません。

 未来を見据えどう行動するのか?
今まさに【個】が求められています。

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人はなぜ歩くのか?

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記念すべき50本目のブログになります!

人とサルの大きな違いの1つ【2足歩行】は、進化の過程で獲得した非常に高度な行為です。
 リハビリテーション(リハビリ)においてこの歩行の獲得は非常に重要な要素で、歩行のことを詳しく知っているかどうかはリハビリの内容に大きな影響を及ぼします。

 そこで今回は、この歩行を運動学的な視点ではなく、少し違う視点から考えてリハビリにいかせないかどうかを考えていきたいと思います。

歩くとはどういうことか

人はなぜ歩くのか?

多くの人は【移動するため】と答えるのではないでしょうか?
 歩行は移動手段の1つとして捉えられ、車や電車などの移動手段と並列であると考えられます。
リハビリにおいても、移動手段の獲得として歩行を獲得することを目的に介入され、屋内なら可能、屋外では介助者が必要など評価していきます。

 ですが、人は移動の目的以外でも歩きます。
例えば散歩です。
散歩はここからどこかへ移動するために行うわけではなく、【歩くことを目的】に河原を歩いたり、公園を歩いたりします。
この散歩の目的は移動でないとしたら一体何なのでしょうか?

4月頃のぽかぽかした陽気の中散歩する…
頭の中を整理するためにぼーっと歩く…
恋人と目的もなくただ歩く…
いろいろな場面が想像されますが、目的があったりなかったりしますね。

 歩くことは自由であると言い換えることが出来ます。
歩く速度も歩幅も自由ですし、歩き始めもいつ止まるかも自分で決めることが出来ます。
どこへ向かうかも自分で決めれますし、遠回りすることも出来ます。
この自由度は歩行にしかないのではないでしょうか?
つまり、その時の感情や意図などを全て表現できる行為、それが歩行なのではないでしょうか

 歩行には移動という側面と、自分の自由を表現できる行為としての側面両方を持っていると私は考えています。

歩けなくなることの本当のところ

この様な多面性を持つ歩行ですが、脳卒中や下肢の骨折など様々な理由で行えなくなることがあります。
もし歩けたとしても、長い距離が歩けない、疲れやすい、痛みが出る、思うように歩けないなどいろいろな原因から自由度が減ることが多々ありますね。

 歩けなくなるということは、移動が出来なくなると考えがちですが、車椅子などを使用すれば実は解決できることが多くあります。
実際、電動車いすで新幹線に乗っている方もいらっしゃいます。

 では、自分の足で歩くことの意味はどうでしょうか?
自由度が狭小化し、歩くことへの制限はその人にとって実は大きな意味を持っていると思います。
 私も学生の頃、バスケットボールをやっていてたくさんの怪我をしました。
足首の捻挫は歩行を大きく阻害し、松葉杖を使って歩けたので移動は出来たものの、移動範囲は狭まり、どこかへ行こうという気持ちすら起きてきませんでした。

 当然かと思われるかもしれませんが、リハビリではこの歩行の持つ自由についての考察が大きく欠落しているように思います。
 歩けないとつまらない。
患者さんに言われたこの言葉は、私の中で今でも強く残っています。
歩くことが楽しいなんて考えたこともありませんでした。
ですが、自分の経験を振り返ると、自由に歩けることがどんなに素晴らしいことなのか、歩けないとどんなにつまらないのかを感じていました。

 歩行を再獲得することはただ移動できるようになるわけではなく、自分の足で自由に生きていける喜びをまた感じることが出来るようになるのかもしれません。

 リハビリの持つ本当の素晴らしさは、もっともっとあるのかもしれません。

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半側空間無視を運動と感覚から介入する③【評価・検査編①】

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運動と感覚にそれぞれ関係している【空間】と半側空間無視(以下USN)の関連から、USNを第1回、2回で考えてきました。
 今回は、USNと混同しやすい現象とそれらを鑑別するための評価、またUSNの症状をリハビリで介入していくためにカテゴライズしていく方法を書いていきたいと思います。

第1回⇨半側空間無視の運動と感覚から介入する①【運動編】

第2回⇨半側空間無視の運動と感覚から介入する②【感覚編】

USNと混同しやすい現象と見分け方

脳卒中などによってUSNが生じている場合は、その他にも様々な現象が同時に出現している可能性を常に考えなければなりません。
また、似たような現象や混同しても見分けがつきにくい現象は、高次脳機能障害においては非常に多くあります。

 半側空間無視も例外ではなく、前回まで書いてきました運動障害や感覚障害はもちろん、半盲や身体失認との鑑別も非常に重要になります。
運動・感覚障害とのカテゴライズは次で書きますので、ここでは半盲や身体失認について書いていきます。

1.半盲

 半盲は、眼球に入力された刺激を脳に伝達するための視神経が損傷することによって生じます。
 視神経の左右どちらか、どの段階での損傷かなどによって、見えなくなる視野の場所などが変わってきます。
 その中でもUSNと混同しやすいのが、同名半盲による左側の視野の欠損です。

 症状としても「左側が見えにくい」という訴えで、眼科などで行われる視野検査においても、半盲とUSNの鑑別は非常に困難です。
 実際私が経験した患者さんでも、半盲と診断されたものの視野が大きく改善した方がいらっしゃり、無視の要素が含まれていた方が多くいらっしゃいます。

 私は臨床の中で、半盲とUSNの鑑別には以下を考慮しています。

  • 欠損している視野に対して頚部の回旋などの代償が見られているか
  • 欠損している視野を認識出来ないが、その視野において対象物に対して、正確にリーチできないか
  • 見える時と見えない時がないか

この3つを考慮し、検査を実施します。

①においては、半盲の場合「見えない」という自覚がしっかりとあるため、視野を広くするために通常は代償が見られます。
ですが、USNによる視野狭窄では、見えていない事を自覚できないため、視野を広くしようとする代償は慢性期においては見られる人もいますが、回復期では見られないことが多いです。
この事を考慮すると、視野狭窄の原因にUSNがどれくらい影響しているのかを推測することが出来ます。

②は、盲視という現象を考慮しています。
見えていると自覚することと、見えている物に対して運動することでは使用する脳のルートが異なります。
その為、半盲ではそもそも見えていないためリーチングも難しいのですが、盲視では見えている自覚のみが障害されるため、対象物に正確にリーチングすることが出来ます。

③はそのままの意味ですが、半盲は神経損傷なので、一貫して見えません。
ですが、USNでは注意の影響が大きいため、見える時と見えない時にムラが生じることがあります。

これら3つを考慮して検査や介入を行っていくことで、半盲との鑑別を行っています。

2.消去現象

 消去現象とは、麻痺側に感覚障害がないにも関わらず、非麻痺側と麻痺側両側に感覚刺激が加わると、麻痺側の刺激を認識出来ない現象です。
 実際の臨床では、麻痺側のみと非麻痺側を含めた両側とで、知覚の程度が変化する現象がみられます。

文献上は、消去現象を半側空間無視の症状に含める場合もありますが、臨床上は別々で生じる事もあるので、介入していく上で病態解釈する時には分けた方が良いと思います。

消去現象は、視覚性、触覚性が知られておりそれぞれ視野検査の応用とフィンガータッチによって検査可能です。
 さらに、深部感覚においても消去現象が生じることを忘れてはいけません。

例えば、臨床では消去現象のみられる患者さんに立ち上がりの時に左右の体重比を意識してもらうと、これが全くできないんです。
 これは足底の圧覚で消去現象が生じているからなのですが、膝の角度や速度などを聞いても全く分かりません。
 このことから、運動覚においても消去現象が生じている可能性が高くなってきます。

この消去現象は【両側同時に刺激が加わった時】と限定されていて、USNのように常に一側を無視しているわけではありません。
 つまり、行為によって無視様の症状が見られるかどうかが変化して来るということになります。
 もちろん消去現象とUSNがオーバーラップしていることも多くありますが、行為を獲得していくためにUSNと消去現象どちらの影響が強いのかを見極めて介入していく必要がありますね。

 次回は身体失認との関係について書いていきたいと思います!

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理学療法士の私がオンラインサロンを始めてもうすぐ1年

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 理学療法士の私がいろいろな思いで始めたオンラインサロンも、9月で1年を迎えます。
 当初やりたかったことがなかなかできなかったり、反対に思いもよらずに出来たことがあったりと様々なことがあった1年でした。

 そこで今回は、この1年を振り返った感想や今後の予定していることについて書いていきたいと思います!

何も分からずに始めたオンラインサロン

 オンラインサロンという言葉が少し広がり始めていた1年前、ちょうど新型コロナの蔓延もあり、リハビリ業界でも学会やセミナーがオンラインへの意向を強いられていました。
 オンラインでの開催に対する難しさや、誰もやったことがなかったことでもあり、新型コロナが流行したばかりの頃は、学会・セミナーともに軒並み中止になっていました。
 1年間外部からの情報が遮断された時、1日1日がとても大切であるリハビリの領域にいる私はとても不安になりました。

 オフラインでのセミナーが主流であったその頃は、集まって勉強することが出来なくなるなんて想像もしていなかったのですが、実際なってみるとリハビリ業界で【継続して学んでいくために】は、オンラインを積極的に導入していく必要がありました。

 毎年のように、多くの学会やセミナーに参加していた私にとって、それらに参加することは学ぶことと同じくらい、職場以外の人たちとの交流が目的でした。
 一緒に学んできた人たちが今何をしているのか、何に興味があるの、これから何をしようとしているのか…これらの情報は自分が進んでいくためにとても大切な物でした。

 その機会が失われた時の不安な気持ちは今でも忘れませんし、まだまだ不安は残っています。
 ですが、きっと私と同じように不安になっている方がいるのではないか?
 もっといろいろな環境で学ぶ機会を求めている人がいるのではないか?
 そう思ったのがオンラインサロンを始めたきっかけでした。

 ですが、HPの作成や運営については経験もなく、何より同じ思いの人が本当にいるのかなど何も分からない中でのスタートでした。
 加えて、オンラインサロンに対する理解がまだまだ深まっていない中で始めることも不安はたくさんありました。

 理学療法士としてずっと働いてきた私にとって、マーケティングなどの知識は全くなく、1からのスタートでした。

本当にやって良かった

 実際に始めてみるとこの1年間は、驚きの連続でした。
 HPの作成はベースを知り合いの方にお願いし、その後の運用を自分で行っています。
 やはり専門的な部分に関しては自分で試行錯誤していくしかありませんが、徐々に成果が出てくると非常に楽しく出来ています。

 またサロンの運営は、まだまだ未熟なところはありますがメンバーの方の助けもあり、今では累計で40名を越える方にご参加いただいています。
 サロンメンバー以外の方以外の方とも関われる機会を増やすために、外部の方も参加できるセミナーも開始し、満足度100%を達成できました。

 まだまだ知っている人は少ないですし、オンラインサロンのメリットについても理解されていない部分も多くあると思います。
 ですが、言葉でいくら説明しても限界はありますし、一人一人の好き嫌いも当然あります。

 もし一人で悩んでいる人がいたら1度参加してみてください。
 きっと参加して良かったと思っていただけると思います。

 今後は、メンバーの方にもっと楽しく学んでいただけるように実技などの新しいコンテンツの配信を予定しております。
 またもっと多くの人に知ってもらえるように、外部の方向けのセミナーも加速していきます。
 コロナなんかに負けないように、前進していきたいと思います!!

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半側空間無視を運動と感覚から介入する②

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前回より半側空間無視(以下USN)について書いています。
USNを、

  • 一側を見ることが出来ない
  • 動けない
  • 感じない

などの単純な病態ではなく、運動と感覚の側面から考えていくことを目的としています。
前回は、運動と空間、またその空間を認知する能力との関係について書きましたが、今回は感覚と空間との関係性から、半側空間無視を紐解いていきたいと思います。

感覚に関わる空間認知

 感覚は、外部からの刺激や関節が動いたことによって生じる刺激を脳で処理することで知覚します。
この時、空間はどう関係しているのでしょうか?

 例えば、誰かが後ろから自分の肩を叩いたとします。
この時、なぜ叩かれたのが【肩】だと分かるのでしょうか?
この身体のどこに刺激が加わったのかを認識するためには、身体空間認知が関係してきます。

 もう少し具体的に書いていきます。
脳の中には身体再現がされているのは皆さんご承知の通りで、頭頂葉にあります。
この頭頂葉にある身体再現を、ここでは宮本省三先生のお言葉を借りて<脳の中の身体>と呼ぶことにします。
専門的に言うと、身体表象にあたります。

 この脳の中の身体には、様々な意味がありますがその中の身体地図、つまりどこに肩があって肘があってのような感じのものがあります。
身体に刺激が加わり脳に伝達されると、この脳の中の身体とその刺激を比較して、身体のどこに刺激が加わったのかを判断します。

 この時、肘より外側に手があるといったような、身体の地図は空間的な要素が含まれています。
同時に、

「目を閉じて左肘に集中してください」

と指示をした時、指示された側は

「顔の斜め下ぐらいかな?」

と空間に対して注意を向けます。
このように、身体に注意を向けること自体にも空間の認識が重要になってきます。

半側空間無視と感覚と空間認知

ここまで書いてきたように、感覚を知覚するためには様々な空間の認知が必要です。
よって、半側空間無視の影響で、何らかの刺激を知覚できない時その原因は様々なものが考えられるということです。

 これらを見極めるためには、それぞれの要素が原因であるというための検査や評価を考えられなければなりません。
もちろん既存の検査や評価を使用するのでも大丈夫ですが、患者さんによって含まれる病態も違いますし、年齢や性別などによっても個人差があります。

 よって、患者さん毎に必要かつ有効な検査や評価を自分で考えられる能力が必要になってきます。
そこで次回は、この検査や評価について書いていきたいと思います!

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半側空間無視を運動と感覚から介入する①

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 半側空間無視(unilateral spatial neglect:以下USN)は、右半球損傷における高次脳機能障害のうちの1つです。
あらゆる空間の正中(真ん中)より左側をあたかも無視しているかのように振る舞う現象で、特に回復期において頻繁に出会います。
USNは、ADLに大きな影響を及ぼすため、リハビリテーション(以下リハビリ)では介入において重要なファクターとなります。

近年では、縦上束との関連が指摘され、USNが長期化し残存するかどうかなどの予後が予測できるようになり、リハビリの介入方法についても明確になってきています。
一方で、人が生きていく上で、【空間】という概念は非常に幅広く、様々な場面や文脈で空間処理が求められている影響で、USNの病態も多様化してしまっています。

そこで今回は、USNを視覚ではなく<運動と感覚>という側面で介入に落とし込む方法を、何回かに分けて書いていきたいと思います。
第1回は、USNと運動と感覚との関係について書いていきます。

USNの運動的側面と感覚的側面

 運動と感覚には、空間処理が必須です。
その為、それぞれに関わる空間認知にはUSNが大きな影響を及ぼします。
そこで、運動と感覚それぞれに関わる空間認知からUSNを考えていきます。

運動に関わる空間認知

 前方に手を伸ばす。
いわゆるリーチングをすると、手が外部空間の中を移動していきます。
また、肩・肘・手首・前腕・指などの関節が動き、身体空間そのものが変化していきます。

 通常リーチングの時には、視覚で物体を捉えて位置を把握し、その方向へ運動を行います。
 この時、右手をリーチングしていくのであれば、右肩よりも物体が内側なのか外側なのかそれとも正面なのかによって、肩関節の運動方向が決定づけられます。
 同時に、自分の身体からどれくらいの距離にあるのかによって、肩関節と肘関節の運動距離も決定されます。

 このように、外部空間においては視覚とのマッチングが重要で、USNにおいては

【左側が見えているのにリーチングが出来ない】

という現象はあまり見られません。
一方で、

【左側を視覚で認識出来ず、左側への運動も同時に困難】

という現象は多くみられます。

 では身体空間についてはどうでしょうか?
座っている時よりも立っている時の方が身体空間は広がりますし、上記したようにリーチングをすればリーチした方へ身体空間は広がっていきます。
つまり、左側へリーチングすれば身体空間は左側へ広がっていき、認知しなければならない身体空間は無視側へと広がっていきます。

よって、USNが見られる方の場合、身体空間において無視が見られるかどうかによって、無視側への運動にも大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。
左身体の知覚は出来るのに左側への運動が見られない、歩いている時に左側へ向かうときに体全体で左を見る等の現象が関係しています。

 

 この様にUSNを見ていく時に、どの運動の時に無視が影響しているのか?
どの空間認知に無視が影響しているのか?
これらを考えて行く必要があります。

 次回は、感覚の空間認知について書いていきます!

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来る7/30に、

パーキンソン病患者に対するリハビリテーションの考え方」というテーマでセミナーを開催します!

興味をお持ちの方はぜひこちらご覧ください!
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おかげさまで、ブログの数が50を超えました!!

今までの3つだとわかりにくいとのお声をいただきましたので、細かくカテゴリー分けを行いました。

ぜひご覧ください!!

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実技の練習ってどうやれば良いの?(リハビリ)

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

 臨床に必要な能力とは何なのでしょうか?
私は大きく次の4つがあると思います。

  1. 知識(各学問に関する基礎知識、介入に関する技術的な知識など)
  2. 技術(触れる、動かす、介入技術など)
  3. 観察力(動作観察、検査/評価など)
  4. 思考力(病態解釈、動作分析など)

これらすべてが臨床には必要で、それぞれ高めていくための方法は異なっています。

そうなんです、そこが厄介なんです。
この中でも、1の知識に関しては最も分かりやすく、本を読んだり講習会に参加したりとその方法も多彩で明確なため、知識が多いセラピストはたくさんいます。
特に、3と4は高めていくのが難しいですよね…。
ですが、2の技術に関しては、職場の同期や仲間と練習することで高めていくことができます。

そこで今回は、実技練習を行う上でのポイントと、健常者との実技練習の意義について書いていきたいと思います。

触れる時と動かす時のポイント

 リハビリテーションにおいて、患者さんに触れることはとても重要で避けられません。
触診を始めとした接触、関節可動域を計測したりを始めとした検査や介入における他動的動作など、患者さんに触れることで得られる情報や効果は、臨床において基本になります。

 ですが、この触れ方や動かし方によって、文字通り情報は変化し、検査結果に相違を及ぼしたり、介入時の効果に悪影響を及ぼしてしまうことすらあります
このような事態を避けるために、触れる/動かすといった実技の練習は日々行うこととが理想的です。

 この様な実技練習において非常に重要なポイントがあります。

  1. 触れると同時に触れられているということ
  2. ただ触れる、ただ動かすではなく感じること
  3. やられる側の人によって適正な速度や圧、つまり触れ方動かし方が異なる

 以上の3点が重要なポイントになります。
これら3つに関して細かくみていきたいと思います。

1.触れると同時に触れられているということ

 当たり前のことですが、人に触れた場合には同時に触れられている人がいます。
臨床において大切なのは、触れられた人が「どう感じたのか」です。
もし触れられた人が嫌な感じがしたら、感覚と同時に情動が生まれ、感覚自体を変化させてしまう可能性があります。

 また、嫌な感じがすると人は体を固めます。
その状態で体を動かせば、セラピスト側が求めている効果が出なくなるのは当然です。
よって、実技練習では触れた人が得た情報(硬い、柔らかいなど)だけではなく、触れられた側が、「どんな感じがしたのか」「率直に嫌な感じがしないか」などをフィードバックしてあげることが大切です。

2.ただ触れる、ただ動かすだけではなく感じること

 触診のように、触れる時には感じることを意識する人は多いと思います。
ですが、患者さんの体を動かしている時に感じながら動かせるセラピストはそう多くはありません。

 ですが、体を動かしている時には、触診と同じくらいの情報がセラピストの手には伝わってきています

  • 関節がこの角度の時に抵抗感を感じる
  • 話ながら動かすと抵抗感が強まる
  • 踵を持ちながら動かすと下肢全体の重みが増す

など、様々なことが分かってきます。

このように、ただ動かすのではなく、患者さんがどんなことを感じているのかを想像しながら動かしたり、セラピストが感じる抵抗感を患者さんは感じているのかなどの疑問を持ちながら動かすことが大切です。

実技練習でも同様に、被験者が感じている感覚を想像し、動かしている時にどういうことを感じられるのかを考えながら行うと、より良い練習になります。

3.やられる側の人によって適正な速度や圧、つまり触れ方動かし方が異なる

 ここが健常者の人と練習することの意義にもっとも関係しています。
疾患を持っているか持っていないかはいうまでもなく大きな違いですが、人である以上身体の大まかな構造は一緒なので、触れる動かすなどの実技練習は非常に意味があります。

 このことと同じくらい大切なのは、【個人差】です。
性別や年齢、体の大きさなどは身体に大きな個人差をもたらしますが、今までの経験や志向性など認知面にも大きな個人差は存在します

 これは実技の練習をたくさんしている人は経験したことがあると思いますが、四肢の動かしやすさや重さ、触れた時の緊張感などは千差万別です。
これらのことは、どれくらいの力で持てば良いのか、圧を加えても大丈夫なのか、どれくらいの速さで動かせば良いのかなどに大きく影響します。

 つまり、その人にあった力加減や速さを見つけなければならないのです。
健常者でもその練習は十分に出来て、その経験はそのまま臨床でもいきてきます。
一人一人に合ったものを見つけることを、実技練習でも意識するととても良い練習になります。

 いかがでしたでしょうか?
ぜひ試してみて、感想をお教えください!!

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 触診のように、触れる時には感じることを意識する人は多いと思います。
ですが、患者さんの体を動かしている時に感じながら動かせるセラピストはそう多くはありません。

 ですが、体を動かしている時には、触診と同じくらいの情報がセラピストの手には伝わってきています

  • 関節がこの角度の時に抵抗感を感じる
  • 話ながら動かすと抵抗感が強まる
  • 踵を持ちながら動かすと下肢全体の重みが増す

など、様々なことが分かってきます。

このように、ただ動かすのではなく、患者さんがどんなことを感じているのかを想像しながら動かしたり、セラピストが感じる抵抗感を患者さんは感じているのかなどの疑問を持ちながら動かすことが大切です。

実技練習でも同様に、被験者が感じている感覚を想像し、動かしている時にどういうことを感じられるのかを考えながら行うと、より良い練習になります。

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