お読みいただいている皆さんありがとうございます。
本サロン運営者、理学療法士の唐沢彰太です。
今回は臨床で忘れやすい筋の持つ大切な役割の1つである、【感覚】について書いていきたいと思います。
筋の役割
筋の役割は、学生の頃に生理学や解剖学で習ったと思いますが主だったところを簡単に挙げていきたいと思います。
- 運動
- 緩衝作用
- ポンプ作用
- 発熱作用
- 水分の貯蔵
- 感覚
このように、筋には様々な役割があります。
リハビリにおいては全て重要な役割となりますが、なかなかプログラムに活かすことが難しいのではないでしょうか?
ですが、筋には非常に豊富かつ重要な感覚を受容する役割があることを忘れてはいけません。
筋に存在する感覚器
皆さんご存知の通り、筋には筋紡錘とゴルジ腱器官の感覚受容器があります。
それぞれ、
- 筋紡錘は速度依存(筋がどれくらいの速度で伸ばされたのか)
- ゴルジ腱器官は筋にかかる張力依存(今筋がどれくらい張っているのか)
と感知できる内容が異なっています。
筋紡錘に関しては、筋紡錘を常に一定の張力に保つ<αーγ連環>があり、伸張反射においても重要な役割を持つなど、運動・感覚ともに大切な器官です。
ゴルジ腱器官においても、Ib抑制など、主動作筋と拮抗筋の調整を行う重要な役割があります。
これらは、筋紡錘やゴルジ腱器官が正しく感覚を受容することにより働く反射であり、運動を遂行していく上では欠かせない仕組みになっています。
運動覚と筋紡錘
更に忘れてはならないのが、運動覚における筋紡錘の重要性です。
結論から言いますと、
筋紡錘の情報が四肢の動いている知覚において、最も重要な役割を果たしていることが分かっています。
つまり、自分の身体が動いていることを知覚するためには、筋にある感覚器官である筋紡錘からの情報が必須になるという事です。このことから、臨床上頻繁に遭遇する様々な以下の様な症状において知覚が変質している可能性が考えられます。
- 脳血管疾患後の筋緊張異常
- 伸張反射の異常な亢進
- 整形外科疾患後の疼痛による防御性収縮
- 術後の創の影響による皮膚の伸張性の低下
これらはまだまだ一部ですが、最低でも上にあげた現象においては、知覚の変質を考えなければなりません。また、これらとは別に筋収縮の状態が運動覚に影響を及ぼす報告もあります4)。
このことを考慮すると、運動障害そのものが運動覚の知覚に影響を及ぼす可能性が高いということになります。
リハビリにおける筋感覚の考え方
ここまで書いてきた通り、筋にある受容器が受容する感覚は、ヒトが行為を遂行していく上で非常に重要な役割があります。これは、臨床において筋の緊張や反射、更に収縮そのものに問題が生じた場合、運動覚を始めとした知覚に大きな影響を及ぼす可能性をはらんでいます。つまり、リハビリを進めていく上で、緊張にアプローチする、運動にアプローチするだけでは不十分であり、同時的に生じている知覚にまで目を向ける必要があります。
知覚の側面から介入し、運動や緊張を変化させていく事も可能になります。 今回は割愛しましたが、運動覚は頭頂葉や小脳で処理された結果、身体像(身体図式や運動イメージなどに関与する)を作り出していきます。
そのベースになっているのが筋感覚なのであれば、筋の役割において感覚を無視する事は到底出来ません。今担当している患者さんでなかなか改善がみられない時、筋の役割をもう一度見直してみると光が見えるかもしれません。
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