お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?)
私は以前回復期の病院に勤務していました。その頃に感じたことなのですが、大腿骨頸部骨折の手術を行った病院によって全く予後が異なっていました。痛みの残り方が全く違ったんです。
その経験から、予後に関する説明の大切さについて学んだことを書いていきたいと思います。
自分のこれからに対する不安
骨折と言えど、大腿骨を骨折したことに対する不安は非常に大きいことが予想されます。
今までに経験した事の無い痛み、感覚、長引く痛みは、いつ良くなるのか?自分はいつ歩けるようになるのか…患者さんの未来に対する見通しは決して明るいものではありません。
回復期に転院されてくる患者さんは、そんな状況で転院してきます。私が関わらせいただいた患者さんは、どの病院から転院してきたのかによって痛みの改善速度が全く違いました。
もちろん医療技術の違いは少なからずあったのかもしれませんが、患者さんの話を聞いているとあることに気付きました。
痛みの改善が早い患者さんは、急性期で予後に関する説明を丁寧に受けていました。いつ頃痛みが良くなり、歩けるようになるかどうかまで…このことが痛みの改善とどうつながっているのか私は興味がありました。ある勉強会で聴いた話ですが、手術前に予後の説明をしていた患者さんとしていない患者さんで予後が違った知見があるとのことでした。これは私の感覚を裏付けてくれた知見でした。
その文献では、患者の予後に対する不安が説明によって軽減することが関係していたと結論付けていました。…なるほど…予後の見通しがあるのとないのとでは、実際の予後に影響を及ぼすということです。それくらい骨折をした患者さんにとって予後は大きな不安であり、知りたいことだと知りました。
リハビリにおける予後の大切さ
ですが、予後は原則医師が説明することで、リハビリにおいてもリハ医と密に話し合った結果患者さんに伝えられるべきです。これは医療がチームである限り絶対に無視してはいけません。
では理学療法士や作業療法士は、実際の介入の中で患者さんと予後について話すべきではないのでしょうか?答えはNOです。どこまで良くなるのか?に関する予後は話さない方がベターだとは思いますが、何が出来るようになるか?はリハビリによって大きく変化するためPTやOTはしっかりとコミュニケーションで話すべきだと思います。
リハビリに対する患者さんのモチベーションにも影響するため、セラピストは予後予測に関してしっかりと勉強する必要があります。
ここで注意しなければならないのは、2つ。
1つは本当にその改善可能性があるか、もう1つは自分にその臨床力があるかです。
医学的に改善出来ないとされていることを出来ると伝えるのは絶対にNGですし、もしその可能性があっても自分にその臨床力がなければNGです。
2つ目のNGを可能にするためにも勉強し、臨床力を向上していかなければなりませんし、症例検討によってその知見を増やしていくことが義務だと思います。
担当の患者さん、歩けるようになりますか?