予後予測について再考してみよう

予後予測を再考してみようタイトル

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プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
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担当の患者さんはどこまで改善するんだろう?

リハビリテーションにおいて患者さんの改善可能性を考えて行くことは必須で、患者さんの今後の人生を大きく左右することです。
そこで今回は予後予測を行っていく上でのポイントと注意点を捉えつつ、再考していきたいと思います。

機能的な予後と能力的な予後

予後予測をしていく上で最初に行うことは、医師の見解を聴取することです。疾患上どれくらいの重症度なのか、医学的にはどれくらいの期間をかけてどれくらいの改善が見込めるのかなど、医師の見解を聞くようにしましょう。その上で、リハビリテーションを行うことで何を目標にすべきかを考えて行きます。

このように、予後には機能的な予後能力的な予後がある事が分かります。同じ疾患・部位・程度でも個人因子や環境因子によって能力的な予後が大きく変わります。
例えば、同じ視床出血で重症度もほとんど同じでも、年齢や利き手、もともとのADLの状況などによって予後が大きく変化します。
 これらのことを考えると、<この部位の障害ならば麻痺はこれくらい改善する>といった機能的予後と、<この疾患・部位・程度でこの年齢・家族構成ならばADLはこれくらい獲得できる>といった能力的な予後が存在することが分かります。もちろん能力的予後は機能的予後に依存(影響を受ける)しますが、必ずしも機能が悪いから能力がわるいわけではないので、それぞれの予後を考えて行くことが大切です。

特に、患者さんと退院後や半年後のリハビリの目標を一緒に考えていく上で、<手が動くようになりたい>といった機能的目標だけをたてていくのではなく、<生活の中、余暇の中で運転が出来るようになりたい>といった何かの能力を獲得していくための目標を考えていく上でも大切になります。もちろん、手が動くようになったら何がしたいのか?を考えて行くことも大切ですが、この順番だと手が動くようにならないとリハビリの効果を実感できない負のループにはまりやすいです。そうなってしまうと、リハビリへのモチベーションが下がり、リハビリの効果も半減してしまうので注意が必要です。

よって、機能的な予後と能力的な予後は、患者さんの目標に応じて予測していき改善可能性の範囲の中で進めていくことが大切です。

エビデンスに基づいた予後予測

とは言っても、全く根拠がないまま<ここまで良くなります!>というのは無責任すぎますよね。十分な根拠を持って患者さんの予後を予測していくことが大切です。

一方で、予後というのは<予測>と言っているように、あくまで仮説ベースであることを忘れてはいけません。目の前の患者さんは世界で一人であり、そのたった一人の患者さんが初めて遭遇している状況であるため、1年後どうなっているのか?を予測することは厳密に言えば不可能です。特に、個人差の大きい脳の疾患においては顕著で、個人因子が非常に大きな影響を及ぼしてしまうため、予後を予測することは至難の業になってきます。

では、予後予測をしていく上で参考にするものとはなんなのでしょうか?いくつか挙げて行きたいと思います。

  1. 医師の見解
    冒頭にも書いた通り、医学的見地から予後を予測した際の意見です。非常に参考になります。
  2. 論文などのデータ
    多くの患者さんから得られたデータを参考にします。疾患や程度、障害の状態など様々なデータから患者さんの予後をある程度予測することが出来ます。
  3. 自分の今までの患者さんのデータ
    経験年数が増えてくると担当した患者さんのデータが蓄積してきます。この場合のデータとは単なる経験ではなく、しっかりと記録したものを指します。

このように、いくつか参考になるものはあり説得力もあるものもあります。ですがあくまで参考レベル(医師の見解はニュアンスが少し異なります)であることを忘れてはいけません。データには患者さんの個人因子が入っておらず、特に能力的予後に関してはデータを活用していく時には注意が必要です。

 十分な評価・検査の結果から、経過を追い、様々な障害同士の影響の程度を理解した上で、患者さんと十分に話して目標を立てていくことをお勧めします。

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