予後予測をしていく上で最初に行うことは、医師の見解を聴取することです。重症度や医学的にかかる期間と改善度合いなど、医師の見解を聞くようにしましょう。その上で、リハビリテーションを行うことで何を目標にすべきかを考えて行きます。
予後には機能的な予後と能力的な予後がある事が分かります。同じ疾患・部位・程度でも個人因子や環境因子によって能力的な予後が大きく変わります。
例えば、同じ視床出血で重症度もほとんど同じでも、年齢や利き手、もともとのADLの状況などによって予後が大きく変化します。
これらのことを考えると、<この部位の障害ならば麻痺はこれくらい改善する>といった機能的予後と、<この疾患・部位・程度でこの年齢・家族構成ならばADLはこれくらい獲得できる>といった能力的な予後が存在することが分かります。
もちろん能力的予後は機能的予後に依存(影響を受ける)しますが、必ずしも機能が悪いから能力がわるいわけではないので、それぞれの予後を考えて行くことが大切です。
特に、患者さんと退院後や半年後のリハビリの目標を一緒に考えていく上で、<手が動くようになりたい>といった機能的目標だけではなく、<生活の中、余暇の中で運転が出来るようになりたい>といった能力を獲得していくための目標を考えていく上でも大切になります。
もちろん、手が動くようになったら何がしたいのか?を考えて行くことも大切ですが、この順番だと手が動くようにならないとリハビリの効果を実感できない負のループにはまりやすいです。そうなってしまうと、リハビリへのモチベーションが下がり、リハビリの効果も半減してしまうので注意が必要です。
よって、機能的な予後と能力的な予後は、患者さんの目標に応じて予測していき改善可能性の範囲の中で進めていくことが大切です。