1.動かない=麻痺ではない?!
脳卒中には、様々な後遺症があります。
脳卒中による死亡率が激減した今でも、後遺症に悩まれている人は大勢いらっしゃいます。
その後遺症の中でも、【麻痺】は非常に高い割合で出現します。
麻痺は、大きく分けて
- 運動麻痺
- 感覚麻痺
の2種類あります。
運動麻痺は、脳でプログラミングされた指令を筋へ伝える神経が損傷することで生じます。
感覚麻痺は、身体にある受容器に刺激が加わったことを脳へ伝える神経が損傷することで生じます。
これら麻痺は、
「動かない」「力が入らない」
「感じない」「わからない」
と当事者の方は感じます。
ですので、動かそうとしたのに思い通りに動かない現象を、全て【麻痺】と捉えてしまいます。
これはセラピストにとっても同様です。
随意性と呼ばれる身体を動かす能力を評価/検査した結果、動きが悪ければ「○○(程度)の運動麻痺」と判断します。
ですが、これには大きな落とし穴があります。
実際に、どれくらい運動神経(皮質脊髄路)が損傷しているのかは、画像検査をしなければ分からず、動かない原因は他にあるかもしれないからです。
ですので、リハビリにおいて動かないことを【運動麻痺】と呼ぶことはリスクがあり、【運動障害】と呼ぶ方が正しいのです。
つまり、
動かない=運動麻痺
という考え方は、間違えているリスクがあり、患者さんの可能性を狭めてしまう危険性すらはらんでいます。