現場では時間に追われています。
回復期では1日21単位(20分/1単位)、7人の患者さんのリハビリが義務付けられている所もあると聞きます。
実習では一人の患者さんを念入りに評価していく形になる為、環境的にも全く異なっています。
これが、1つの要因でしょうか。
また、患者さんを評価していくプロセスに、
・ボトムアップ
・トップダウン
の2つの表現が使われます。
1つ1つ丁寧に評価し、全ての問題点を洗い出してから介入を考えて行くボトムアップに対して、トップダウンでは獲得を目標とする動作を観察・分析してそれに必要な評価を行っていきます。
先述したように、時間との勝負であるリハビリの現場においては、より効率が良いトップダウンで患者さんをみていくことが多い…とよく聞きます。
このように聞くと、非常に理にかなっていて、評価を必要な分のみを行っていくことが当たり前のように感じます。
ですが、ボトムアップにしろトップダウンにしろ、患者さんの全体像や特徴を掴んでいくためには、十分な観察と評価が絶対に必要です。
このトップダウンの考え方は、まだ経験の浅い理学療法士や作業療法士が実施すると、
【大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術だから、股関節周りの筋力トレーニングが必要だな】
といったような、人ではなく疾患と結びつきやすいリスクがあります。
リハビリテーションの基礎である【その人らさ】が失われてしまっては本末転倒です。
疾患別に必要な評価に加えて、その人に必要な評価は何なのか?
ここを大切にしなければ、退院後大変な生活が待っていることは言うまでもありません。