名前の通り、理学療法士は身体の専門家です。
ここで言う【身体】は、物理的な体だけではなく、その身体で動く・生活するということも含んでいて、広義で言えば【人】と捉えた方が実際の仕事内容とマッチングするかと思います。
つまり、脳やせき髄などの神経系、内臓、心理面、精神面すべてを含んだ【身体】を対象としているということになります。
現在理学療法士は、怪我や病気によってこの【身体】に何らかの支障が生じた人と行うリハビリのチームの一員として働いています。
このチームが最も見えやすいのが、リハビリ専門病院とも呼ばれる回復期病院です。
医師、看護師、PT、OT、必要に応じてST一人一人が担当について、自宅へ帰るためにリハビリを進めていきます。
この回復期では、PT/OT/STが脳血管疾患では各60分、整形外科疾患ではPT/OTで180分のリハビリを1日最大実施することが出来ます。
病院によって様々ですが、基本的にはPTが基本動作/歩行、OTが日常生活動作、STが言語を含む認知機能に対してアプローチしていきます。
ここで大切なのは、PTは下肢、OTは上肢という枠組みで行ってしまうとPT/OTが持つ専門性が発揮しにくいということです。
すでに書いた通り、理学療法士は身体の、もっと言うと人の専門家です。
上肢も下肢もありません。
基本動作はすべて全身動作で、上肢にアプローチしないで基本動作を獲得することは出来ません。
動作獲得のために、動作を見て、身体に関する運動学、解剖学に加えて脳科学、神経心理学などの人を対象とする学問すべての観点からリハビリを行っていくことが大切です。
患者さんが何を思っているのか、考えているのか、脳はどう活動しているのか、身体に癖は無いか…この視点の多さもリハビリの自由度の広さなのかもしれません。