理学療法士・作業療法士なら知っておきたいワード【最近接領域】

 お読みいただいている皆さんありがとうございます。プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?
 皆さんはヴィゴツキーが提案した【発達の最近接領域】をご存知でしょうか?学習が大切なリハビリテーションでは、この最近接領域の考え方は非常に役に立ちます。特に患者さん一人一人にプログラムを立案していく時には、どの基準で患者さんに合っているのかを考える手掛かりになります。
 そこで今回は、臨床現場で働く理学療法士や作業療法士にはぜひ知っていて欲しい【最近接領域】について、私の経験を交えながら書いていきます。是非最後までご覧ください!

学習では【難易度設定】が大切!

 小学校、中学校、高校、大学と教育課程には段階があります。小学校には小学校の、中学校には中学校にそれぞれ合った難易度の授業が行われています。これは、その時その時の子供の学習能力や順序があるからです。
 リハビリにおいても、動作の難易度や患者さんの持つ障害によって行われる課題の難易度が設定されます。動作であれば、寝返り、起き上がり、立ち上がりの順序です。これは支える面積が徐々に小さくなり、求められるバランス能力が徐々に高くなっていきます。これが難易度設定です。

 ここまで1つ質問です。
もし患者さんが【立ち上がれない】としたらどんなリハビリを行いますか?恐らく「立ち上がれないだけじゃわからない。もっと情報をちょうだい」と思ったのではないでしょうか?
 そうなんです。患者さんによって立ち上がれない理由は異なっているため、行うリハビリも変わってきます。だからこそ、情報収集を行い適切な難易度のプログラムを考えないといけません。これこそが、学習における難易度設定の過程になります。ここが臨床ではとても大切です。

 では、同じ理由で立ち上がれない患者さんが2人いるとします。同じプログラムで良いでしょうか?多くの方が【NO】と答えると思います。この難題を解決するためにも、最近接領域を知っていると得します!

1人1人最近接領域が違う

 同じ原因で立ち上がれない人でも同じプログラムではなんとなくダメな気がする…そう思う理由は、患者さん1人1人の背景にあります。バリバリに働いてきた人、主婦一筋の人、まだ学生の子供。いろいろな患者さんとリハビリをするPTやOTは、患者さん一人一人に合ったプログラムを立てなければいけないのはすでに書きました。
 患者さんの動作が改善しない時は、大体患者さんの背景を考慮できず、課題の難易度設定が間違えています。せっかく問題点が分かっても正しい難易度の課題が提供できなければ、患者さんは良くなりません。言い換えると、課題が簡単すぎたり難しすぎたりすると患者さんは学習が出来ないんです。小学生に微分積分教えても何も意味ないですし、高校生に足し算引き算教えても学習は生じないのと同じですね。

 そこで大切になるのが、最近接領域です。目の前の患者さんが「一人では解決できないけれど、セラピストが手伝えば難なく出来るレベル」の課題設定が大切です。当たり前に感じるかもしれませんが、実はとても難しいんです。この最近接領域は、先ほど書いたように1人1人違います。そうなると、観察や評価から患者さんの最近接領域を分析する必要があります。
 この最近接領域は、セラピストが手伝うことで患者さんに学習が生じなければなりません。つまり、繰り返すことで患者さん自身がその課題をクリアするために重要なポイントに気付き、一人でも出来るようになる難易度です。

 この様な難易度を見つけるためには、方法を知っていて練習する必要があります。プロリハ研究サロンでは、その方法が学べる唯一の方法です。本当の意味で患者さんに合ったリハビリをやってみませんか?


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