USNの多くは右半球損傷によって生じるため、反対の左側からの刺激を無視してしまうことになります。本や文献によく書かれているのは、
- 左側からの呼びかけに反応しない
- 食事の時にトレイの左側の食べ物を見落とす
などの現象です。USNと言えば、視覚性の無視を指すことが多く、先述したような左側を見落とす症状が取り上げられることが多くいです。
一方で、定義の中で無視する対象は【刺激】とされており、表在感覚や深部感覚などの体性感覚的な刺激も無視の対象となります。つまり、麻痺側の身体に対する刺激を【無視してしまう】状態もUSNに含まれることになります。
よって、臨床では『感覚麻痺』や『身体失認』などと見分けにくく、評価や検査を行って判別していく必要があります。
また半側空間無視は、先ほど書いた通り【視覚性】の無視を指しことが多く、左が見れるようになれば改善したと思われてしまいます。ですが、回復期で改善した【ように見えた】としても、実は代償的に左が向けるようになっただけで、注意できる【幅】は変わっていない患者さんが、生活期ではみられています。
これは、半側空間無視は刺激を受容できる空間が狭まる【空間認知の障害】であることが大きく影響しています。空間認知に障害がある状態で生活をすれば、体性感覚認知を始めとした様々な認知に影響が出てしまいます。