運動覚を評価する時のポイント

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法評価の感覚検査のうち、深部感覚検査はいろいろな患者さんに実施します。ですが私が学生の頃に授業で習った時も、実際に臨床で働いた後も【何のために行うのか?】については誰も教えてくれませんでした。
でも深部感覚の検査って凄く大切で、実は色々なことがわかるんです。

深部感覚には、運動覚と位置覚があります。特に【運動覚】の検査は目的別に方法が異なり、それぞれ得られる情報があります。そこで本記事では、深部感覚のうち特に得られる情報量が多い【運動覚】について整理していきたいと思います!

【運動覚】の検査方法

私が学生の時に習った運動覚検査は、上下肢の母指を動かして行う方法です。

1. 動いたと思ったら教えてください

2. 動いた方向を教えてください

の2つを聞いていく形でした。
ここで私が疑問に思ったのは、「どうして母指なんだろう…?」です。実際に理学療法士になって働いていくと、母指だけでは足りないと思うことは多くあって、検査方法を工夫していく必要を感じていました。
そこで運動覚の役割から、検査するべき項目は以下の5つです。

1. 動いているのがわかるか

2. どの関節が動いているのか

3. どの方向に動いているのか

4. どれくらい動いたのか

5. どれくらいの速度で動いたのか

1~5に関しては、患者さんによってわかることが異なっていて、1は分からないのに5はわかる場合もあります。
運動覚には注意や身体表象、イメージなど様々な高次脳機能が関与しています。その為、運動覚の検査と言っても、運動覚に関わる何を評価しているのかを意識して行う必要があります。

2の【どの関節なのかを問う】評価では、身体空間の処理を求めているし、5の速度を問う評価では筋緊張が影響してきます。運動覚は非常に高度な処理が行われている感覚なんです。
では、運動覚がとても不思議な感覚であることについて書いていきたいと思います。

運動覚は視覚イメージに集約される?

突然ですが、目を閉じた状態で、左手で右手を持って肘を曲げてみてください。
この時、「肘が曲がったり伸びたりしてる!!」と感じた人はいますでしょうか?
もしいたとしたら、その方は人間の体について勉強している人だと思います。理学療法士や作業療法士、整体師などの方々になります。

今行ってもらった肘の運動は、感覚的には手が顔に近付いたり遠ざかったりしている感じではないでしょうか?また人によっては、リアルタイムにイメージしていた方もいると思います。
そうなんです。

運動覚は、「肘が動いているリアルな感覚」ではなく、「肘が動いた結果身体の位置関係がどう変化したかを教えてくれる感覚

と言い換えることが出来ます。
これは、肘を曲げるという意図を持った状態で【自分で曲げる】時は、「肘を曲げるんだ!」という意識があるため、肘が動いているというリアルな感覚になります。

一方で、他動的に動かされる時には、「肘を曲げるんだ!」という意識がない中で運動覚が生じるため、手が自分の顔に近付いてくる(位置が変化する)というものになります。
加えると、視覚的なイメージ、つまり動いているのを見ているかのような映像が目を閉じていても浮かんでくるという特徴も持っています。

そうなると、運動覚の検査をすでに書いたような5つの項目を中心に行ったうえで、

1. 言語で動いている関節を説明できるのか

2. 肘が曲がると手が近付くという関係性が理解できるのか

3. 移動している身体部位(肘を曲げる時は手部)、動いている関節それぞれに注意が向くのか

4. これらが視覚的にイメージ出来るのか

などなどこれらを意識して評価を進めていく必要があります。
この検査結果から、患者さんが深部覚から何をすることが出来なくなっているのかがわかります。そのあと、患者さんの動作や行為を分析して、運動覚が分かりにくくなっていることが行為や動作に影響しているのかを考えていくことになります。
そのためにも、健常人において深部感覚がどういう役割を持っているのかを知る必要があります。

プロリハ研究サロンでは、
実際にどうやって評価していくのか?
その評価結果をどうやって介入にいかしていくのか?
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