随意運動に必須となる<皮質脊髄路>ですが、損傷すると運動麻痺を引き起こします。片麻痺は、一般的には運動麻痺のことを指しているため皮質脊髄路の損傷が主原因と言えます。この皮質脊髄路ですが、左半球の運動野を中心とした皮質を起始とした線維束は延髄の錐体で交差して身体の右側の運動を制御しています。右半球も同様に交差して、左側の運動を制御しています。これが影響して、損傷側とは反対側の身体に麻痺が生じるのですが、この交差は100%の線維側がしているわけではなく、10%前後(文献によって若干の前後あります)が交差していないことが分かっています。つまり左半球から出た神経束が身体の左側にも繋がっており、制御しているんです。
この<非交差の皮質脊髄路>が、非麻痺側が健側ではない1つ目の理由です。通常身体の左側は【左半球が10%】【右半球が90%】制御していますが、脳卒中によって左半球を損傷すると通常を100%とすると、【左半球の10%】が障害されている可能性が出てきます。このことから、健常時よりも非麻痺側の運動がやや行いにくくなることがあります。ですが、麻痺側の動かしにくさが顕著で比べたときに動かしにくさを実感できていないかもしれません。
よって非麻痺側であっても、自覚がなくても評価をすると問題があった場合は、健側とは言えません。