<失行症>って聞くと、皆さんどんなイメージでしょうか?
私が学校で習った失行症で記憶に残っているのは、手で狐を作ってマネしてもらう検査だけでした…。(お恥ずかしい)
セラピストとして働き始めてから、高次脳機能障害について勉強し始めましたが、失行症に関しては検査はもちろん、介入が難しくなかなか臨床に持ち込めずにいました。
これは皆さん同じなのではないでしょうか?
最近では、失行症に関する書籍や論文が急増している事もあり、私が新人だった頃よりも理解を深めやすい環境かもしれません。
ですが、いまだに介入は確立されておらず、検査と実行為、介入と実行為の距離はあまり縮まっていません。
これは以下の3つの原因があります。
- 机上での検査がメイン
- 簡易的に行える検査の「模倣」と実行為との関係の情報が著しく少ない
- 介入方法が明確ではなく、検査をしても臨床で訓練として実施しにくい
1は失行症に限らずですが、冒頭で書いた通り高次脳機能障害の検査が机上で行われることが多いため、実行為との差が生じることです。
この事については、近日中に別記事で書いていきますのでそちらをご参考ください。
2は、私が学校で習った記憶のある、狐をマネしてもらうなどの【模倣検査】についてになります。
この模倣検査は、失行症の検査で最も簡易的に行える検査で、私も臨床の中でスクリーニングとして使用することが多いです。
ですが、この模倣検査にも落とし穴があります。
それは、模倣が出来ない原因を考えなければ意味がないということです。
この模倣検査を行い、何かしらのエラーが見られた時、【どうしてそのエラーがみられたのか】の原因を考えます。
その原因が、実行為におけるエラーの原因と関係性があれば介入の対象になっていきます。
つまり、
これらがわからないと意味がないということです。
失行症において、この点が最も難しく、重要な点になります。
2で書いたように、失行症は介入までの分析と考察が非常に重要になります。
加えて3の効果的な介入が未だに確立されていないことで、リハビリにおいて失行症はまだまだ難しい領域なのです。