脳の右半球と左半球の違いを整理する

お読みいただいている皆さんありがとうございます。プロリハ研究サロンの理学療法士、唐沢彰太です。(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

<大脳皮質は左右にわかれている>

脳について勉強したことがある皆さんは、すでに知っている人がほとんどだと思います。左右の脳に役割がわかれていることでいろいろなことが同時に出来たり、スムーズに行為が出来たりしています。またこのことが、脳卒中後の後遺症の症状が異なったり、左下肢/右下肢どちらを骨折するかによって痛みに関する症状が異なったりしています。

ですが、脳の機能はまだまだわかっていないことが多く、日々アップデートされていて新しい情報の収集が非常に大変です。この新しい知識を臨床にいかしていくのは更に大変ですよね。

そこで今回は、研究からの知見と患者さんの症状からの情報を整理して、右半球と左半球の機能と臨床場面でいかしていく方法を紹介したいと思います。

半球間の関係と優位半球・劣位半球

こんな呼び方聞いたことありませんか?

  • 左半球を優位半球
  • 右半球を劣位半球

これは、人の特徴でもある【言語】の座(中枢)があるかどうかを優劣で表現しています。
では、右半球は左半球に劣っているのでしょうか?全くそんなことはありません。これは、左片麻痺の患者さんのリハビリを行ったことがある、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士(以下セラピスト)の方であればお分かりいただけると思います。空間認識や身体認識は右半球が重要な役割をになっていて左右どちらが大事かを決めることは出来ません。
よって優劣のようなイメージよりも大切したいのは、

  1. 左右それぞれ重要な役割がある
  2. 環境や文脈に応じて左右両方が機能することが大切

ということになります。
ですが左が働いている時に右が邪魔するのは避けたいですし、時には左右が連携して働かないといけない時もあります。その為、左右の脳は【脳梁】と呼ばれる非常に太い神経束によって結ばれています。この脳梁を介して左右の脳がお互いに協力したり、時には抑制したりしながら脳は活動しています。
ちなみに、最近よく耳にするようになった【半球間抑制】は、左右の脳がそれぞれ抑制をしあっているメカニズムになります。
このように、左右の脳がどう関係しているのかなどの脳全体の特徴を知ったうえで、左右半球それぞれの役割を知ることが大切です。

左半球は言語、右半球は…?

先ほど書いた通り、左半球は言語に深く関わっています。これは、ブローカが左半球に言語の中枢があることを発見したことから現在では多くの方に認知されています。また、臨床上でも左半球を損傷すると【失語症】といった言語障害が生じることからも経験できます。
その他にも行為記憶も左半球にあり、失行症が左半球損傷で生じることからも分かります。

では、右半球はどのような役割があるのでしょうか?失語症のように、脳損傷に伴う症状から考えると、半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect:USN)身体失認といったものがみられます。これらの点から考えると、右半球は<空間認識と身体認識>の役割があることがわかります。つまり目で見ている物を認識する、身体に生じた感覚から身体を認識するなどの能力です。
このままだとまだややこしいので…一言でいうと<空間認知能力>の基盤が右半球にあることとなります。前にも書いた通り、右半球だけで空間を認知しているわけではなく左半球と連携していますが、右半球が重要な役割を持っているイメージです。

下図は頭頂葉を損傷した時に生じる高次脳機能障害から、左右の機能(役割)をまとめたものになります。

頭頂葉の高次脳機能障害

左右半球の違いを臨床にいかす!

ここからは臨床へのいかし方について書いていきたいと思います。
ここまで書いてきた通り、左右の脳にはそれぞれ役割があり、特徴を持っています。これらを考慮して、患者さんの動作や姿勢を観察/分析し介入を行っていくとより深く臨床を組み立てることが出来ますのでその方法をご紹介します。

まず左半球損傷と右半球損傷は全く別の疾患だと考える必要があります。同じ脳でもその役割が全く異なっていて、どちらの脳を損傷したのかによって生じる症状が違ってくるためです。これらのことから、それぞれ行う観察、情報収集、介入をわけています。整形外科疾患と脳卒中で分けているのと同じイメージです。
さらに、患者さんとのコミュニケーションや介入中の声掛けまで全て工夫しています。例えば、失語症の方に言語を気を付けるのはもちろん、左片麻痺の患者さんでは右や左などの方向や空間を表す言語は極力使用しないようにしています。
高次脳機能障害においては、左右それぞれに生じやすいものを覚えておき観察に事前情報として得ておきます。また介入時には、【その高次脳機能障害を有している患者さんへの介入】としてプログラムに反映させます。
一方で、半球間抑制や脱抑制、また機能解離(詳しくはこちらから→脳損傷と機能解離)などを考慮して特に急性期や回復期においてはどの症状が見られてもおかしくないため、幅広く評価や検査を実施していきます。

「実際にどうやれば良いの?」と思っている方は、プロリハ研究サロンで詳しくお話していますので是非ご参加ください。

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