人の体に200以上ある関節は、1つ1つ形や大きさが異なっています。それは体重を支える、細かな作業を行うなど目的が異なっていることが大きく影響しています。また、関節をまたいで走る筋も、関節の動きに大きな影響を与えています。
例えば、肩関節と股関節はどちらも球関節で、多軸に動ける特徴を持っていますが、股関節は荷重の役割を持っており、肩関節は大きな可動域を持っています。
これらを考えると、同じ関節の構造(球関節、蝶番関節、らせん関節など)をしていても、役割によって異なる関節の構成要素(腱板など)によって、1つ1つ特徴を持っています。また、筋の影響で各関節は、複雑な構造をしていることが分かります。このことを頭に入れて、患者さんの体に触れ・動かさなければ、関節を痛めたり、緊張が入ってしまったりと、ネガティブなことが起こります。
学生の頃、骨標本を見ながら学生同士で関節を動かした記憶があるのではないでしょうか。もっとも基本的なところは、動いている時の骨同士の位置関係です。そうです、滑りと転がりです。
どっちの骨が固定されて、どっちの骨が動いているのか?
その動きの中で、滑りと転がりは適切か?
これらを動かしながら考えなければいけません。
さらに、
筋の伸張性によって関節の軸がズレていないか?
抵抗を感じないか?
も考えなければなりません。そうなんです。
患者さんの体を「動かす」時には、同時に「感じる」必要があるのです。
動かすための触れ方と動かし方
感じるための触れ方と動かし方
これら2つは文字にすると似ていますが、実際にやられてみるとやられている側の感じ方が全く違います。皆さんは、何のために触れて動かしていますか?