片麻痺のリハビリテーション

お読みいただいている皆さんありがとうございます。プロリハ研究サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。
現在日本では、180万人を超える脳卒中の後遺症を抱える方が生活しています。脳卒中の後遺症は、運動障害、感覚障害をはじめ、注意障害、失語症などの高次脳機能障害など多岐に渡っています。そのため、リハビリを行う側の理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)は、広く深い知識が求められます。
私が今まで担当してきた500人弱の患者さんの多くは、「片麻痺」と言われる顔・体幹を含む身体の半分が動かない・感じない方でした。このリハビリの中で得た経験から、片麻痺のリハビリでのポイントを紹介していきます。

片麻痺患者さんを見る時のポイント

1,麻痺側をみた上で、全身をみる

脳卒中の多くは、左右にわかれている脳の一側のみを損傷します。「右」被殻出血、「左」中大脳動脈の梗塞と言った具合です。その為、後遺症の運動麻痺や感覚麻痺の症状が現れるのは、身体の右側か左側の一側だけです。
よってリハビリでは、症状の現れている【麻痺側】をみていくことになります。麻痺側がどれくらい動くのか?感じにくさはないか?などの評価から始まり、動かす練習や感じられるようになるための介入に至るまで、麻痺側へのリハビリがメインになっていきます。
一方で、起き上がりや立ち上がりなどの基本動作は、全身を使用する動作なため、リハビリでは麻痺側だけをみていても足りません。特に、左右の下肢を交互に前に振り出す歩行や、両手を同時に使用する行為は、それぞれに特化した評価や介入が必要です。

2,片麻痺は脳の疾患

多くの片麻痺患者さんが、動かない・感じない症状が見られています。そのため、【身体に問題がある】と考えがちですが、脳卒中は脳の疾患であり、動かない・感じない原因は身体ではなく「脳にある」はずです。話せない・無視してしまうなどの高次脳機能障害は脳との関係性がイメージしやすいのですが、運動障害や感覚障害は簡単ではありません。
この壁を越えるためのポイントは、動かない・感じない原因を出来るだけ細かくしていくことです。失行症を例に考えてみます。失行症は、運動麻痺・感覚麻痺が無いにもかかわらず、目的に合わせて効率的に行為が出来ません。なので、PTやOTが患者さんの動きを観察した時には、麻痺による影響なのか?失行症の影響なのか?分かりにくくなってきます。もし、失行症の影響が強い場合、身体を動かす練習をいくらしても大きな改善は見込めません。つまり、失行症の場合、上手く動けない原因は身体にはありません。患者さんの動作をよく観察して、評価や検査の結果から「なぜ?」を深めていかないと、なかなか改善はみられません。

3,外から見えているのはごく一部

感覚をはじめ、片麻痺患者さんが自分の身体をどう感じているのか?高次脳機能障害の影響で、患者さんの認知機能はどう変化しているのか?は、患者さんの【中】にしか答えはありません。そのため、リハビリの臨床では、患者さんに【聞く】ことが非常に重要です。PT・OTが今までの経験や知見から決めつけてしまうのは非常に危険です。必ず患者さんの中にある答えを聞くようにします。

上肢・下肢・手に必要なリハビリ

1,上肢のリハビリテーション

肩関節から手部までを含む【上肢】のリハビリテーションは、麻痺側への介入と両手への介入の両方が重要です。また、上肢で行為をする時、座っている・立っている姿勢が多いため、体幹の安定性を獲得することも平行に行っていきます。

2,下肢のリハビリテーション

下肢は、上肢よりも両下肢への介入がメインになります。下肢の機能が特に求められる立ち上がりや歩行は、日常生活では片足で行うことはまずありません。つまり、麻痺側・非麻痺側両方を同時に動かす能力が必須になってきます。

3,手のリハビリテーション

上肢や下肢と大きく違うのは、道具を使用する点です。何かを持つ、操作するなど、物との相互作用する点を考慮してリハビリをしていく必要があります。

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