知覚の延長から考える【触覚とは何か】

お読みいただいている皆さんありがとうございます。プロリハ研究サロンを運営しております、理学療法士の唐沢彰太です。(自己紹介はこちら→運営者紹介
【知覚の延長】という概念をご存知でしょうか?動物実験で発見されたこの現象は、人でも生じることが分かっています。皆さんも、日常生活のいろいろな場面でこの知覚の延長を経験されていると思います。
そこで本記事では、この知覚の延長から「触覚とは何なのか?」について書いていきますので、ぜひ最後までお読みください。

道具と知覚の不思議

人は様々な道具を使用して、生活を便利かつ豊かにしてきました。その中で、道具使用に適した知覚を獲得してきたと考えられます。
例えば、箸を使って食事をしている時、食べ物がどんな材質なのか、実際に手で触れなくても箸で触れることで知ることが出来ます。硬さはもちろんのこと、摩擦(つるつる、ざらざらなど)や大きさも分かります。このように、実際に触れていなくても道具を通して環境を知ることが出来る現象が生じます。
リハビリテーションの現場でも、杖を使い慣れてくると床が平らなのか斜めなのかが分かったり、杖のついている位置が自分からどれくらい離れているのかまで分かる患者さんに出会います。また、杖先のゴムのどこが床に触れているのかもわかり、あたかも杖が自分の身体の一部になったかのように、色々なことを知覚出来るようになります。
この現象から、知覚は身体表面のみならず、道具を通してもいろいろなことを知覚出来る能力を持っていることが分かります。脳卒中後の患者さんの多くは、道具を持っている【手】に集中してしまい、本来持っている道具を通した知覚が出来なくなっています。これは、注意を向ける対象が道具ではなく自分の手になっており、実際の行為の時の注意の向け方とは異なってしまっています。日常生活の行為を改善していくためには、この辺も意識して訓練を行っていく必要があります。

道具を使用するために必要なこと

ここまで書いてきた通り、道具を通していろいろなことを知覚出来るためには、まず自分の身体を正確に知覚出来る必要があります。自分の手のどこに道具が触れているのかはもちろん、自分の手がどこにあるのかも重要です。これらが正確に知覚出来るようになってから、道具を通して環境を知ることが出来ます。
一方で、自分の身体に注意を向けるのが苦手だったり、高次脳機能障害の影響があったりすると、道具を通した方が知覚しやすい患者さんもいます。一見矛盾しているように感じますが、これらは異なる能力であり局所的に障害を受けることで生じてしまうためです。このような患者さんの場合は、道具を使用して訓練をすることで、自分の身体を知覚出来るようになっていくことが多いです。そのため、訓練でどう道具を使用するのかも重要で、これを見極めるためには患者さんをしっかりと評価して病態把握することが大切です。
知覚はとても複雑で、まだまだ知られていない能力があるかもしれません。そんな知覚を改善していくリハビリテーションには、試行錯誤がかかせません。そのためにも、仮説と検証を繰り返し患者さんをしっかりと観察・評価していくことが、知覚のリハビリテーションでは特に重要になります。

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