運動にはイメージが必ず先行する【基礎編】

お読みいただいている皆さんありがとうございます。プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

運動にはイメージが必ず先行する

認知神経リハビリテーションを勉強している人なら必ずと言って良いほど耳にするこの有名な言葉は、【運動】に対する私の価値観を変えました。
この言葉と同じように、

<イメージが出来ない運動は行うことが出来ない>

<経験したことがないことを見てもミラーニューロンは活性化しない>

これらも私の中ではとても重要な言葉になっています。
今回は、

・運動とイメージはどう関係しているのか?
・そもそもイメージとは何なのか?
・これらのことをどう臨床でいかせば良いのか?

これらを2回にわけて書いていきたいと思います。

運動に先行するイメージの役割

運動に先行するイメージは実際どんな役割があるのでしょうか?このことを考えていく時に大切なのは、「身体が実際に動いた時にはすでに脳で様々な処理が行われている」ことを理解することです。
つまり、運動は氷山の一角でその下にはもっと大きな見えない氷が存在しています。この見えない氷の1つが運動に先行するイメージになります。

ホームセンターなどで食器を見ている時、見た目が気に入った食器を実際に手に取ると、

「おもっ!!(重い)」

となったことありませんか?この場合の「重い」は、【思っていたよりも重い】です。この【思っていた】は食器の重さを<予測>していた意味であり、何を手掛かりに予測していたのでしょうか?

1、見た目
食器の見た目を気に入って実際に手に取っているので、その食器の手掛かりは見た目です。ガラスなのか陶器なのか木なのかなど、材質や大きさなどが重さの手掛かりになっています。

2、今まで持ったことのある食器の重さ
1の見た目から食器がガラスだったとします。今まで持ったことのある食器の中で、同じような大きさ・形でガラスの食器の重さを手掛かりに、気に入った食器を持った時の重さを予測します。

この1と2から、まだ持ったことがない目の前の食器の重さを予測して、【どれくらいの力で持てば良いのか】をイメージします(一般的にシミュレーションやプログラミングと呼ばれる手続きに似ています)。
力の量や持ち方などがイメージに含まれていて、このイメージはさらに予測に含まれます(図1)。

予測とイメージと運動の関係図

図1 予測とイメージと運動の関係図

この時の力の量と食器の重さが一致すれば、【思った通りの重さ】になります。一方で、食器の重さに対して力が足りなければ【思っていたより重い】と感じます。

日常生活では、イメージが含まれた予測と実際の運動(行為)の結果から様々な認知が生まれています。重さ、熱さ、固さ、高さなどの価値観が一人一人異なるのは、予測に一人一人の今までの経験が含まれているからです。
この過去の経験と今の身体能力や認知能力が一致しなければ、正確な認知が行われず環境に適応して行為を遂行することが難しいのが少し分かっていただけたのではないでしょうか?

では実際に臨床ではこれらの知識をどう生かしていけば良いのでしょうか?次回をお楽しみに!!

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