臨床を言語で表現するためには? -ロジカルリハビリテーション-

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。

リハビリの臨床は、理学療法士・作業療法士の体性感覚から得られる情報を重要視する傾向が非常に強いです。関節運動時の抵抗感や硬さなど実際に患者さんに触れなければ分からないことが多いのは確かにあります。

ですがそれらを言語化せず「昨日よりやわらかいですね」「動きがスムーズになりましたね」と患者に話しているだけで、PTOTの中で完結してしまうと根拠がない事柄になってしまいます。

そこで今回は臨床を言語化することの大切さとその方法「ロジカルリハビリテーション」について書いていきたいと思います。

なぜ言語化が大切なのか

エビデンスが重要視されている昨今、セラピストは論文を読まなければ臨床をするのが難しくなってきています。論文は、当然全て言語で表現されていてその中に書かれている文章を噛み砕き、自分なりに臨床に持ち込むことで根拠を作っていくことが出来ます。
この言語には専門用語はもちろん数字で構成されていて、根拠を示していくためには言語が必須であることが分かります。

導入部分で書いた通り、セラピストの体性感覚で感じられた変化は一見言語で表現されているように見えますが、根拠を持つことで大切なのは数字を用いることです。硬さは硬度計で計測できますし、スムーズさは時間や速度で測ることが出来ます。
一方で、数字で表現できない質の部分があることも事実です。この場合は、出来るだけ細かくその時の状況を描写し数字化出来る評価や検査結果と合わせておくことが重要です。

この時注意したいのが、理由を明確に言語化することです。やわらかくなった、スムーズになったのは数字で表現できますが、どうしてやわらかくなったのか・スムーズになったのかは数字では表現できません。言葉で書き記すしかないんです。ですが、この理由だけ言語化しようとしてもなかなか難しいのが実際で臨床すべてを言語化しておかなければなりません。

例えば患者さんの目標をはじめ、観察結果、評価・検査結果、分析結果、問題点、プログラム全てにおいて言語化していく形です。この方法は意外とやっておらず、一軒難しく感じますが、やり方さえ覚えれば誰でもできます。

ロジカルリハビリテーション

コミュニケーションの分野で、相手に伝えるためにロジカルシンキングを用いる方法が脚光を浴びています。論理的に順を追って説明していけば、無駄なく絶対に伝わるからです。

このロジカルシンキングをリハビリテーションに用いたのがロジカルリハビリテーションです。この方法には3つのメリットがあります。

1.臨床思考を整理する
2.患者さん・ご家族・他のセラピストに伝わりやすい
3.根拠を持って臨床を説明できる

論理的に説明するためには、材料となる情報収集をしっかり行わなければなりません。結果根拠が生まれます。また、1つ1つを言語化していくことで自分の頭の中が整理されて臨床で悩むことが無くなり常に考えて答えが出せるようになります。その結果、説明していく時に順を追って説明できるようになります。

このように、臨床を言語化して行っていくことは非常にメリットが大きく、自分の成長も目に見えて実感できます。一方で、やり方を知らなければなかなか身につかずいつまでも「なんとなく…」がなくならないリハビリになってしまいます。

プロリハ研究サロンでは、このロジカルリハビリテーションを軸に筋や関節、脳から高次脳機能までの知識をお教えしています!ぜひ1度ご相談ください。