注意の分配性って間違えやすい。大丈夫…??

お読みいただいている皆さんありがとうございます。プロリハ研究サロンの理学療法士、唐沢彰太です。(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?)
先日オンラインサロンのメンバーで症例検討を行っているなかで<注意機能>の話題になりました。昨日書いたブログにも書きましたが(注意障害には注意が必要?!)、注意機能には様々な種類があります。
その中で昨日話題にあがったのが、<注意の分配性>に関することでした。

注意を分配するってどういうこと?

注意の分配性とは、2つ以上の対象に注意を向けることです。
その2つの対象に対する注意の量は調整することができて、1:1、2:1などどちらかを多くしたり、少なくしたりが出来ます。
この配分量は、何に基づいて決まるかというと、<意図><難易度>によって決まります。

今から自分が何の目的でどう行動するのか?
そしてそれはどれくらい難しいのか?

によって、目的を達成するためには何に注意を向けなければならないのか?が決定されるということです。
例えば、食事の場面を想像した時に、左手で茶碗を持ち、右手で箸を操作しているとします。(もちろん左利きの方は反対です)この時、お茶碗を持っている左手と箸を操作している右手では、右手(正確には箸)の方が多く注意が向けられていると思います。

これは、箸で食べ物を掴み口に運ぶことが目的であり、より難しい操作が求められているためだと考えられます。この注意の配分と併せて話にあがるのが、ダブルタスク課題です。ダブルタスク課題は、2つのことを同時に遂行する課題で歩きながら話すなどがそれにあたります。これも注意の配分の機能が重要で、2つのことに適切な注意を配分する必要がある。と考えられますが…。

意識の制限と注意の分配の矛盾

ここで1つ気を付けなければならないのが、

【人は1つのことしか意識することが出来ない】

ということです。
つまり、歩きながら話すといった2つのことを同時に行っていたとしても、話している時は歩行は意識されていません。
先ほどの食事の時も、箸で食べ物を運んでいる時は、お茶碗を持っていることは意識されていません。
よって、注意の分配を考えていくと、2つのことに同時に注意を向けている中で、それぞれ異なる注意をしているということです。異なる注意とは何か?ですが、端的に言うと能動的注意と受動的注意になります。

  • 能動的注意とは、自分が意図的に注意を向けている状態で、食事場面でいえば箸を持っている側への注意になります。
  • 受動的注意とは、センサーの様な物で、食事の場面でいえばお茶碗を持っている側への注意で、お茶碗が落ちそうになったり、傾き過ぎたりした時に感知できるように働いています。つまり、いつでも注意を向けられる状態を保つ感じです。

このように、1つのことしか意識できない制限をクリアするために、人はいつでも意識する場所を変えられるようにセンサーを張り巡らせながら行動しています。
この意識の制限は他の方法でもクリアすることが出来ます。
例えば、股関節/膝関節/足関節が同時に動いた時、これらすべての関節の動きを知覚するためには、すべての関節に注意を分配しなければならないように思います。ですが、先ほど書いた通り意識できる関節は一つです。
ではどうすれば良いか…?それは、下肢全体を視覚的にイメージすれば可能となります。

詳しくはサロン内で話していますが、簡単にいうとイメージが各関節の運動覚に基づいているからと言えます。このように、注意と意識の特徴を捉えて、その制限をクリアし介入を考えて行く。そのためには、患者さんを正確に理解し、病態を解釈しなければなりません。みなさんは目で見える動作や運動だけではなく、目に見えない注意をどう考えていますか?

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