先ほど書いた通り、学習にはいくつかの理論があります。これらを参考に、リハビリを組み立てていくことは非常に重要です。
ですが、ここで1つ重要なことが見落とされてしまうことが多々あります。それは…
【リハビリは病気を患ってしまった方を対象としていること】
どういうことでしょうか?つまり、学習理論がそのまま使用出来ない人が多くいるということです。
例えば、学習は今よりも効率よく出来るようになることが大切ですが、脳卒中などの疾患では効率よく出来るようになるではなく、動作をどんな方法でも出来るようになることが目的とされることがあります。
その代表例が分回し歩行です。股関節や膝関節が上手く動かせず、歩行の時に下肢を振り出せない時に骨盤から動かすことで振り出しを行おうとします。これは非常に効率が悪いはずですが、学習され定着していきます。
このように、効率面ではなく動作を何とかして行うことが目的となってしまうのです。このことに加え、脳に疾患をお持ちの方は、学習そのものが健常者とは異なる方法で行われる可能性があることを考えなければなりません。
- この患者さんはどうやって学習していくのだろう?
- 何が手掛かりなんだろう?
と考えて患者さんの解釈をしていくことが大切です。論文や知見をそのまま取り入れるだけではなく、患者さんのリハビリの参考にするという意識も大切です。