手のリハビリのポイント

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プロリハ研究サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。
(自己紹介はこちらから→唐沢彰太って誰?

骨折や脳血管疾患の方のリハビリで特に難しいのが手のリハビリです。
身体の中でも決して大きくないこの部位は、多くの筋や骨から構成されており、その神経系や血管も複雑な構造をしています。

さて、手の中でも特に重要なのは母指です。つまり親指です。
母指は、他の四指と構造が異なり、人間特有の構造をしています。
この特有の構造の核をなしているのが球関節であるCM関節です。肩や股関節と同じ構造になっており、ぐるぐる回せる構造です。
この母指の機能は手の機能そのものと言えるくらい重要で、つまむ・持つなどには母指が安定性や巧緻性をもたらしています。
つまり、リハビリにおいて、この母指の改善こそが必須課題になってきます。

そこで、母指のリハビリで重要なことは、

「CM関節がなぜ球関節なのか」

肩は手と物体、股関節は足と床のように空間的な位置関係を構築するために重要な関節です。
その肩や股関節と同じ構造を持つCM関節は、母指と他の四指との空間的な位置関係を構築する役割があると考えられます。

例えば、ペットボトルを握った時、母指は他の四指のどの前に位置するでしょう。
ほとんどの人が、中指の前に位置していると思います。
また、小さいものをつまむときは薬指や小指ではなく、示指とつまむと思います。

これらは手の構造が関係していますが、それ以外にも実は理由があります。
皆さん今、テーブルでPCで読んでいただいている方、電車でスマホで読んでいる方がいらっしゃると思いますが、自分のズボンの素材の手触りを確かめてみてください。

何指で触りましたか?ほとんどの方が示指なでるように手触りを確かめたのではないでしょうか。
そうです。示指は材質を確かめる触覚に優れています。

中指は掌や母指と協力して物を安定させることに優れています。

薬指は、物を握った時に物の傾きや摩擦を感じることに優れています。

小指は、手全体の力量のコントロールに優れています。

この様に、4指にはそれぞれ得意分野があり、それを考慮して母指がそれぞれの指と関係性を持っていきます。
手のリハビリではこのような特徴を理解して、介入を考えていく事が求められます。
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筋力トレーニングと運動学習を分けて考えよう!

筋力トレーニングと運動学習を分けて考えよう!タイトル

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リハビリテーション(以下、リハビリ)の臨床の中で組まれるプログラムには、筋力トレーニング(以下、筋トレ)がほぼ入っています。実際、私が学生の頃の実習から新人まで筋力トレーニングは<積極的>に行っていました。
この時の筋トレは、単関節の運動やキッキング(臥位や座位で蹴るような運動)、ブリッジ、腹筋などいわゆるトレーニングを指すことが多いです。これに加えて、動作練習=筋トレのようなプログラムもあります。つまり、たくさん立ち上がりを繰り返して、立ち上がりに必要な筋力を向上していくイメージです。

このように、リハビリと筋トレは切っても切り離せない関係ですが、ここに運動学習を絡めて考えて行くといろいろなことが見えてきます。
今回はこの点に関して考えて行きたいと思います。

筋トレは筋トレ

筋力を向上するためには、トレーニングが必要です。その人に合った負荷をかけてトレーニングすることで、筋出力を調整する3つの要素のうちリクルートメント(運動単位の動員数)の効率化がみられ見かけ上の筋力の向上がみられます。つまり、1つの運動神経で多くの筋を動かすことが出来るようになってきます。
 リハビリにおいて、廃用症候群のような筋力自体が低下して動作を安全に行うことが難しくなっている人や運動耐容能が低下している人は、筋力や基礎体力の向上が必要です。そのため、筋力トレーニングや有酸素運動をプログラムに入れていくことは大切です。

 一方で、運動器疾患の方に筋力トレーニングは必要なのでしょうか?この点を考えていく時に大切なのは、【あくまで筋トレは筋トレ】だということです。つまり、立ち上がりが出来ない人に立ち上がりに必要な筋力を向上するトレーニングを行えば、立ち上がりが出来るようになるわけではないということです。ここでいう立ち上がりが出来るようになるというのは、左右対称に荷重出来て安全に立ち上がることを指しています。

 これはどういうことなのでしょうか?
筋力自体が足りない人は実際たくさんいて、筋力トレーニングは必要です。
このことと同じくらい、動作の学習も大切だということです。

動作の獲得には、運動学習が必須です。立ち上がりを実際に行い、大切なところに注意を向け、知覚し次の動作にいかしていく。このサイクルを回していくことで動作は学習されていきます。
つまり、筋力トレーニングを目的としたトレーニングと運動学習を目的とした動作練習の2つがセットで行わなければ、全く意味がないということです。もっと言えば、筋力向上を目的として立ち上がり動作を繰り返すことは、正しい立ち上がりが繰り返されていれば問題ありませんが、代償が出現している状態で繰り返されれば代償が固定化し、立ち上がりの改善を難しくしていきます。

このように、筋トレはあくまで筋トレであり、目標としている動作を獲得するためには、動作学習のための介入が別途必要になってきます。

脳血管疾患では筋トレは有効?!

ここまでは運動器疾患のような、脳に損傷がなく動作を行えば学習が生じやすい疾患について書いてきました。では、脳を損傷した場合はどうなのでしょうか?
結論から言います。脳血管疾患は、動作獲得のために筋トレは有効ではありません。

あくまで<動作獲得のために>はですが、立ち上がりがふらつく、歩行が不安定な方に筋力トレーニングを行ってもそれらが解消することはありません。
ここで大切なのは、筋力向上を目的に行ったトレーニングが、筋力向上以外の効果をもたらすことで動作が改善することはあるという点です。例えば、立ち上がりの時の股関節と膝関節の伸展のタイミングが、キッキングによって知覚でき【自分で】立ち上がりに応用できた場合がそれにあたります。

そうなんです。筋力トレーニングの時の動きを自分で考えて立ち上がりにいかせる患者さんは本当に稀です。更に、高次脳機能障害があるとほぼ不可能になります。
脳血管疾患における運動障害の本質は、筋力低下ではなく身体の動かし方、動いたことの知覚など他にあります。これらに介入しながら、異常な筋緊張の亢進や運動単位の動員異常、反射の亢進など脳血管疾患に特有な現象がみられない状態で動作を遂行できるようになって初めて、筋力が向上してきます。

筋が収縮しなければ萎縮して行きます。なぜ動かないのか?の原因を明確にしていく手続きを踏まずにただ動かす、ただ動作を行うなどの介入では本質的な問題点の改善は難しいです。

介入に至るまでの手続きが、脳血管疾患ではとても大切なのが少しでもおわかりいただけたでしょうか?参考になれば幸いです。

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人はなぜ歩くのか?

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記念すべき50本目のブログになります!

人とサルの大きな違いの1つ【2足歩行】は、進化の過程で獲得した非常に高度な行為です。
 リハビリテーション(リハビリ)においてこの歩行の獲得は非常に重要な要素で、歩行のことを詳しく知っているかどうかはリハビリの内容に大きな影響を及ぼします。

 そこで今回は、この歩行を運動学的な視点ではなく、少し違う視点から考えてリハビリにいかせないかどうかを考えていきたいと思います。

歩くとはどういうことか

人はなぜ歩くのか?

多くの人は【移動するため】と答えるのではないでしょうか?
 歩行は移動手段の1つとして捉えられ、車や電車などの移動手段と並列であると考えられます。
リハビリにおいても、移動手段の獲得として歩行を獲得することを目的に介入され、屋内なら可能、屋外では介助者が必要など評価していきます。

 ですが、人は移動の目的以外でも歩きます。
例えば散歩です。
散歩はここからどこかへ移動するために行うわけではなく、【歩くことを目的】に河原を歩いたり、公園を歩いたりします。
この散歩の目的は移動でないとしたら一体何なのでしょうか?

4月頃のぽかぽかした陽気の中散歩する…
頭の中を整理するためにぼーっと歩く…
恋人と目的もなくただ歩く…
いろいろな場面が想像されますが、目的があったりなかったりしますね。

 歩くことは自由であると言い換えることが出来ます。
歩く速度も歩幅も自由ですし、歩き始めもいつ止まるかも自分で決めることが出来ます。
どこへ向かうかも自分で決めれますし、遠回りすることも出来ます。
この自由度は歩行にしかないのではないでしょうか?
つまり、その時の感情や意図などを全て表現できる行為、それが歩行なのではないでしょうか

 歩行には移動という側面と、自分の自由を表現できる行為としての側面両方を持っていると私は考えています。

歩けなくなることの本当のところ

この様な多面性を持つ歩行ですが、脳卒中や下肢の骨折など様々な理由で行えなくなることがあります。
もし歩けたとしても、長い距離が歩けない、疲れやすい、痛みが出る、思うように歩けないなどいろいろな原因から自由度が減ることが多々ありますね。

 歩けなくなるということは、移動が出来なくなると考えがちですが、車椅子などを使用すれば実は解決できることが多くあります。
実際、電動車いすで新幹線に乗っている方もいらっしゃいます。

 では、自分の足で歩くことの意味はどうでしょうか?
自由度が狭小化し、歩くことへの制限はその人にとって実は大きな意味を持っていると思います。
 私も学生の頃、バスケットボールをやっていてたくさんの怪我をしました。
足首の捻挫は歩行を大きく阻害し、松葉杖を使って歩けたので移動は出来たものの、移動範囲は狭まり、どこかへ行こうという気持ちすら起きてきませんでした。

 当然かと思われるかもしれませんが、リハビリではこの歩行の持つ自由についての考察が大きく欠落しているように思います。
 歩けないとつまらない。
患者さんに言われたこの言葉は、私の中で今でも強く残っています。
歩くことが楽しいなんて考えたこともありませんでした。
ですが、自分の経験を振り返ると、自由に歩けることがどんなに素晴らしいことなのか、歩けないとどんなにつまらないのかを感じていました。

 歩行を再獲得することはただ移動できるようになるわけではなく、自分の足で自由に生きていける喜びをまた感じることが出来るようになるのかもしれません。

 リハビリの持つ本当の素晴らしさは、もっともっとあるのかもしれません。

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学習と再学習からリハビリを考える

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リハビリテーションにおいて、学習はかかせません。

「○○が出来るようになる」

時には、学習が大きく関与しています。

ですが、リハビリにおける学習はそのほとんどが【再学習】によって行われます。
つまり、1度学習したことを再度学習することがほとんどです。

起き上がりや立ち上がりなどの基本動作は、脳卒中などを発症する前は無意識で行われていた動作です。
これらの動作をもう1度出来るようにするのがリハビリの目的になってきます。

この様にリハビリは再学習であることを意識して介入することは大切なのでしょうか?
今回はこの学習と再学習について書いていきます。

1度出来ていたことのメリットとデメリット

経験したことがないことが出来るようになる学習と、1度で来ていたことの再学習とでは何が違うのでしょうか?
学習にはいくつかの理論があり、学習自体の方法も様々です。
報酬を得るために、予測と結果にもとづいて洗練化していく過程をもつ学習は、今までの経験から様々な試行錯誤を行っていきます。

では再学習はどうでしょうか?
例えば立ち上がりを獲得したい時に、発症前の立ち上がりの記憶は役に立つのでしょうか?
答えはイエスです。
脳が損傷し、運動や感覚が発症前と異なっているとは言え、身体の構造などは発症前と当然変わらず、立ち上がりに必要な手順などの大切なポイントは変わりません。
つまり、発症前にどうやって立ち上がっていたのかを参考に、今の脳でどうやったら立ち上がれるのかを考えることは、再学習においてとても大切になってきます。

ですが、発症前と「同じように」立とうとすると、内反や反射などの異常な反応が出現してしまうため、今の脳で身体を認識出来ていることが重要です。

脳卒中における学習の落とし穴

先ほど書いた通り、学習にはいくつかの理論があります。
これらを参考に、リハビリを組み立てていくことは非常に重要です。
ですが、ここで1つ重要なことが見落とされてしまうことが多々あります。
それは…

【リハビリは病気を患ってしまった方を対象としていること】

 どういうことでしょうか?
つまり、学習理論がそのまま使用出来ない人が多くいるということです。

例えば、学習は今よりも効率よく出来るようになることが大切ですが、脳卒中などの疾患では効率よく出来るようになるではなく、動作をどんな方法でも出来るようになることが目的とされることがあります。

その代表例が分回し歩行です。
股関節や膝関節が上手く動かせず、歩行の時に下肢を振り出せない時に骨盤から動かすことで振り出しを行おうとします。
これは非常に効率が悪いはずですが、学習され定着していきます。

 このように、効率面ではなく動作を何とかして行うことが目的となってしまうのです。

このことに加え、脳に疾患をお持ちの方は、学習そのものが健常者とは異なる方法で行われる可能性があることを考えなければなりません。

  • この患者さんはどうやって学習していくのだろう?
  • 何が手掛かりなんだろう?

と考えて患者さんの解釈をしていくことが大切です。

 論文や知見をそのまま取り入れるだけではなく、患者さんのリハビリの参考にするという意識も大切です。

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慢性痛のABC

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日本において、痛みは社会問題で二人に一人が何らかの痛みを抱えているとされています。
リハビリテーションにおいても、痛みを持つ患者さんには高頻度で出会い、痛みに適切に対応出来ることが非常に重要です。

そこで今回は、慢性痛に関する簡単な説明と、介入の進め方について書いていきたいと思います。
(本内容は、サロンで行っているセミナーの内容を要約したものです!)

痛みとは情動的体験である

国際疼痛学会によれば、痛みは情動体験とされています。
つまり、ただ痛いという感覚ではなく、同時に情動的体験を伴っていて、心理的な側面も考えて行く必要があります。

例えば、慢性痛を持っている人がマッサージを求める理由がこの心理的な側面にあたります。

「マッサージの後は楽になるけどすぐに戻る」

これは、実際に慢性痛の方がマッサージを受けた後に良く言われる言葉ですが、それでもマッサージを継続的に「受けたい」人は多くいます。
マッサージは、気持ちい良いという心理的な要素を多く含んでいます。
つまり、【リラクセーション効果】になると思いますが、慢性痛をお持ちの方は心理的なストレスを常に抱えているため、このリラックスを求めてマッサージを受けることが考えられます。

一方で、情動的体験であることは、様々な認知を引き起こします。
動きたくない、動いたら痛みが強くなるんじゃないか、痛いのは自分のせいだ…など、特有の認知によって慢性痛を更に悪化させていく可能性があります。

よって、痛みを持つ方とリハビリを進めていく時には、

  • 機能的に改善を目的とするプログラム
  • 心理的なサポートを目的とするプログラム
  • 認知的な改変を目的とするプログラム

の少なくても3つの内容が含まれなければなりません。

トータルアプローチとしてのリハビリテーション

ここまで書いてきた通り、慢性痛は患者さんにいろいろな影響を及ぼし、反対に心理的な問題や認知的な問題は慢性痛を引き起こす可能性が考えられます。

実際に痛みが生じているのは身体で、身体に問題があると考えるのは普通だと思います。
そこに、【あなたは身体ではなく、心理面に問題があります】と言われても、なかなか受け入れられる事ではないですよね。

よって、痛みの中でも特に慢性痛を持つ方とリハビリを行っていく時には、

  1. あなたの痛みと一緒に向き合いますという姿勢を必ず持つ
  2. 身体的な問題は、2次的なものを含めて必ずある為、評価を実施する
  3. 心理的・認知的な問題に対する評価を実施して、【身体の問題と心理的/認知的な問題もあるかもしれない】という可能性を示す

これらすべてを網羅していくのが理想です。
ただ、患者さんによってどの問題が最も痛みと関連しているのかが異なるため、実際は優先順位を決めて行っていくことになります。

痛みは個人的な経験です。
まずは、患者さんの痛みを理解して、心理的な背景などを少しずつ共感していくことが大切です。

また、投薬などの治療と併せてリハビリを行っていく事も大切であるため、医師と連携して進めていくことも重要です。

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骨折後のリハビリへの違和感

お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法士の唐沢彰太です。
この挨拶恒例になっておりますが、何かキャッチフレーズを作りたい今日この頃です。

さて、今回は骨折後のリハビリについての「違和感」についてです。
この違和感は、遡ること12年。
実習先でのアドバイスから始まりました。

骨折したら杖が必須?

ある急性期で実習をしていた私は、大腿骨頸部骨折OPE後の患者さんをバイザーの方とみさせていただきました。
その患者さんにおいて、リハビリの目標を立てていく時のことです。
私は、その患者さんは骨折前はすたすたと歩かれていたため、リハビリも病前と同様の歩行を目指すための目標を設定しました。
ですが、症例検討会の時にある理学療法士の方より、

「頸部骨折の方の歩行の目標は、1段階下の歩行様態を目標にリハビリを行う

とアドバイスをもらいました。
つまり、簡単に言いますと、大腿骨頸部骨折(太ももの太い骨の最も細く折れやすい部分の骨折)の前は独歩だった人は杖が必要になるということです。

実際、論文にもこのような内容が書かれているものもあり、学生だった私は違和感がありながらもその目標に設定し、プログラムを立てていきました。

前に書いた通りその方は、骨折前は杖などを使用せず、歩行は自立されており、私としては再度補助具なしでの歩行獲得を目指すものだと考えていました。
ですが、アドバイス頂いた内容は一段階下げた目標でした。

もちろん、再転倒のリスクを出来るだけ下げることは大切であり、杖などの補助具を使用することも理解できます。
ですが…。
この違和感は、実際に現場に出てからもなかなか消えませんでした。

リハビリの目標はその人の目標!

正直今でもこの疑問は解決できていません。
エビデンスと固有性の間でさまよっている感覚です。

医療にはエビデンス(根拠)が求められる昨今、リハビリも例外ではありません。
その中で、様々な物事を一般化していく事は非常に重要なのだと思います。

ですが、他のブログや記事でも書いている通り、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、疾患に対してリハビリを行っているわけではなく、その人自身とリハビリを行っています。
この様な中で、一般化し精度を上げ、質を上げていける分野とどうしても患者さん個人を抜いて考えていくことが出来ない分野があると思っています。

その代表が目標ではないでしょうか。

患者さんをしっかりと評価して、機能や能力レベルを正しく把握した上で、論文などの知見を取り入れていく。
今回の患者さんで言えば、なぜ杖が必要になるのかを論文などの視点と、その患者さんの視点双方から説明していかなければなりません。
論文に書いてあるから…その知見に目の前の患者さんはいません。

エビデンスベースの考え方は絶対に必要です。
ですが、知見や情報は使い方が非常に大切です。

患者さんの可能性を最大限引き出していくためにはどうすれば良いのか?
その答えは、患者さんとリハビリをしている療法士が導き出さなければなりません。
骨折する前より能力が上がる患者さんを私はたくさん見てきました。
どうすればそうなれるのか?
ここを話し合うことが必要です。
未来を見据えた話し合いを。

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痛みをもつ患者さんとのかかわり方

お読みいただいている皆さんこんにちは。本サロンを運営しています、理学療法士の唐沢彰太です。

理学療法士や作業療法士では、痛みを持つ方とリハビリを行う機会は非常に多く、患者さんは痛みに悩まされています。
今回はそのような痛みを抱える患者さんとのかかわりかたについて書いていきます。

『痛み』とは?

理学療法士や作業療法士では、痛みを持つ方とリハビリを行う機会は非常に多く、患者さんは痛みに悩まされているます。
整形外科疾患、慢性疼痛、脳卒中後の痛みなど、痛みの原因や種類は多岐に渡っていて、それぞれリハビリの方法も異なっています。

【痛みとは情動体験である】

と国際疼痛学会では定義されていて、触れている・動いているなどの感覚とは異なっていることが重要視されています。
痛みを感じると、通常の感覚と同じ脳領域に加えて、情動に関する脳領域が活動することが報告されています。
つまり、<痛い>と感じたことと同時に、<嫌だな>と思うことになります。
これは、痛みにもいろいろなものがあり【いた気持ちい】という非常に絶妙な感じがあることも、情動が関わっている証拠になります。

痛みは大きく2つに分けることが出来ます。

  1. 原因の明確な急性疼痛
  2. 原因が不明確な慢性疼痛

です。
痛みが発症してからの期間で分けられていると勘違いされがちですが、原因が明確かどうかで分類がされています。

このように、原因や種類が様々であり、情動が関係している痛みは、リハビリにおいてとても難しい症状の1つです。
では、リハビリテーションの中で、痛みを持つ患者さんとはどのように関わっていけば良いのでしょうか?
本記事では、治療よりも関わり方にフォーカスしていきたいと思います。

 コミュニケーションの大切さ

痛みは個人的な経験です。
今患者さんが感じているその痛みは、本質的には感じている<その人>にしか分かりません。
どれほど知識を持っている人でも、他者である限り療法士には理解できない部分があるのが痛みです。

例えば、
○○の様な痛み
と患者さんが表現した痛みだとしても、100%理解し共感する事は出来ません。
「あんな感じの痛みなのかな」
想像し、抽象的な理解にとどまります。
これは、痛みが情動【経験】であることが関係しています。
「○○のような」という表現には、その人の経験が含まれていて、他者と共有できないことを含んでいます。
このことからも、この表現は経験的と言え、理解することには限界があります。

これらに対して、
ズキズキ、ヒリヒリ、ジンジン
など、感覚的な比喩で表現される痛みに関しては、<言語>という感覚レベルでの共通ツールを用いいていることで、経験的な表現よりは理解しやすくなっています。
療法士は、患者さんの痛みの表現方法がたくさんあることをまず知る必要があります。

  • 患者さんがどの表現で説明しているのか
  • 療法士側は、患者さんにどの表現で説明して欲しいのか

などをリハビリの中で明確にして、患者さんと関わっていく必要があります。
これは、コミュニケーションの基本となります。

痛みと真摯に向きう姿勢

このように、患者さんが話していただいた痛みに関することは、コミュニケーションにおいて非常に大切になってきます。
ですが、その時に注意しなければならないのが、「共感」です。
痛みがあくまで個人的な経験であることはすでに書きましたが、その経験に含まれた【辛さ】などのネガティブな情動は、

「自分にしか分からない」

と考えている患者さんも少なくありません。
もちろん、理解して欲しいと思う患者さんも多くいらっしゃいますが、その為には患者さんとの信頼関係を築くことが必要になります。

個人的な経験であるがゆえに、

「どうせわからないでしょ…」

と患者さんに思わせてしまっては、リハビリは上手くいきませんし、信頼関係は到底築けません。
つねに、相手がどんな内容でも話してもらえるような雰囲気や関係性を構築し、時に教育的に介入していく事が求められます。

この様に、少し考えただけでも療法士側の姿勢が非常に大切なことが分かります。
療法士が<唯一の理解者>となるケースもあるくらい、患者さんにとってリハビリはとても大切です。
我々療法士は、患者さんを知りたい、いろいろ教えて欲しいという姿勢で日々関わっていくことが求められています。

おわりに

本サロンでは、幅広い知識の提供や、実践的な思考方法などをみんなで向上していっています。

  • 患者さんの一人称をリハビリに活かしていく方法に興味のある方
  • コミュニケーションスキルから学びたい方
  • 臨床に新しい切り口を作りたい方

これらに1つでも当てはまる方、これら以外でもいろいろな人が一緒に勉強できる環境です。
ぜひオンラインサロンで一緒に勉強して、切磋琢磨していきましょう。

FAQもご参考ください。